エピソード3 奇妙な美青年(脚本)
〇地下室
謎の青年「・・・誰?」
〇謎の扉
ニュイ「え・・・」
〇地下室
???「あの・・・いきなりで悪いんだけど、 このかたがどなたか教えてもらえるかな?」
ニュイ「シャ・・・シャグ・・・シャグラン・・・ 王子さま・・・」
ニュイ(この国にいて 王子さまの死を知らないなんて)
ニュイ(そんなことありえるの・・・?)
???「ふむ。亡くなってから 一週間かそこらってところか」
???「若いのに気の毒に」
〇謎の扉
ニュイ(口ぶりから感情が読めない)
ニュイ(こういうのって、もし興味がなくても もう少し重々しく 言うもんなんじゃないの・・・?)
〇地下室
???「ところで・・・」
棺の外に踏み出てきた
???「僕はどうして王子様の棺の中なんかに 入っていたんだろう?」
???「怖がらないでくれ 僕は動く死体でも幽霊でもない」
ニュイ(つまり・・・もっと恐ろしいナニカ・・・)
???「触ってみるかい? ほら、生きているニンゲンだよ」
来ないで
???「僕はロワン。そうだな・・・ 旅人だ。君は?」
来ないで
ロワン「ここがどこだか教えてもらえないかな」
何デ近づいてくるノサ
ロワン「名前を教えてもらっていいかな」
ニュイ「・・・ニュイ・・・」
〇謎の扉
ニュイ(ああ・・・ 何で答えちゃったんだろう・・・)
ニュイ(本当に言いたかったのは名前じゃなくて)
ニュイ(来ナイデって言葉だったのに・・・)
気ガ弱イカラ押シ切ラレルンダ
ロワン「君がここにいるのはどうして?」
ほら、一つ答えたら二つ目も踏み込まれる
ニュイ(猫を捜して・・・)
ダメだ
答えたらサンクが
危ない目に遭うかもしれない
ニュイ「・・・・・・」
〇地下室
ロワン「僕は・・・ とても遠くから旅をしてきたんだ」
ロワン「本当に、すごく遠く」
ロワン「だからこの辺りのことはよくわからなくて・・・」
ニュイ「・・・・・・」
ロワン「夜の闇のせいで ここに迷い込んでしまったんだ」
ロワン「何せここは真っ暗だからね こんなことになっているとは思わなくて」
その人は気まずそうに
棺の蓋を閉めなおした
〇黒背景
〇暗い洞窟
ニュイ(ついて来てる・・・)
ロワン「・・・・・・」
ニュイ(いきなり襲いかかってきたりしないよね?)
ニュイ(大丈夫だよ! もうすぐ出口だもん!)
ニュイ(走り出したい)
ニュイ(でも、走ると危ない)
ニュイ(足もと暗いし、階段だし)
ニュイ(急に走ったら ロワンさんを刺激しちゃうかも)
ニュイ(早く霊廟から出たい)
ニュイ(早く日の光の中へ・・・)
〇岩穴の出口
半開きの扉から射す光の中に
さっきの番兵さんの影が見えた
ニュイ(ロワンさんのこと 番兵さんに何て説明しよう)
ニュイ(ううん、それは ロワンさんが考えることだ!)
ニュイ(そうだよ! 番兵さんに助けてって言って ロワンさんを任せちゃえばいいんだ!)
ニュイ(もうちょっとだし 一気に駆け上がっちゃえ!)
〇黄色(ライト)
〇養護施設の庭
ニュイ「死んで・・・る・・・」
ニュイ「番兵・・・さん・・・」
ニュイ「槍と木の枝を組み合わせた台に カカシみたいにくくりつけられて 無理やり立たされてる・・・!」
〇養護施設の庭
ニュイ「あ・・・あ・・・」
ニュイ「何で・・・!?」
ニュイ「町の人たちもシャグラン王子も もちろんアンヌ姉さんも こんなひどいことされてなかった」
ニュイ「あ・・・!」
〇岩穴の出口
足から力が抜けて
ぼくは後ろに倒れてしまった
空中で
ここが階段だったと思い出す
〇岩穴の出口
伸ばした手が空気を掴む
この体勢じゃ、どうやったって頭を打つ
長い階段を、このまま玄室まで
落ちていったら
玄室に着くころには、ぼくも・・・
〇不気味
ロワンさんの両腕がぼくを抱きとめた
・・・いくらぼくが子供だからって
羽のように軽いわけじゃない
それに倒れた分の勢いもある
なのにロワンさんは・・・
ニュイ(ロワンさんて、華奢に見えるのに・・・)
ぼくを横抱きに抱え上げて
そのまま霊廟の外に運び出した
〇養護施設の庭
ロワンさんにお姫さま抱っこをされたまま
番兵さんの遺体の横を通る
ハエが飛び回っている
ニュイ「誰が・・・何のためにこんな・・・」
ロワン「あれは・・・?」
〇血しぶき
〇養護施設の庭
ニュイ「デジール王子の剣だ!」
ニュイ「番兵さんは、デジール王子が霊廟に 入ったことを知らなかった」
ロワン「出てくるところを見たから 口封じされたのか」
ニュイ「でも・・・」
ニュイ「だからって何で遺体を・・・ こんな、さらしものみたいに・・・?」
ロワン「殺したのと遺体をいじったのは 別の存在なんだろうな」
ニュイ「ああ・・・そういうことなら・・・」
ニュイ「やっぱりわかんないよ いったい誰が・・・」
ロワン「ダークドヴェルグの仕業だろうね」
ニュイ「・・・!」
ロワン「あいつら、まだいるんだな」
ニュイ「・・・・・・」
ニュイ「あの・・・ロワンさん・・・」
ロワン「ん?」
ニュイ「下ろして・・・」
ロワン「まだダメ」
ロワン「靴が汚れる」
ロワンさんはぼくを抱き上げたまま
自分の靴の汚れは
気にする素振りも見せず
〇血しぶき
血溜まりをスタスタと踏み越えた