エピソード4 Good book(脚本)
〇田舎のバス停
近藤「近藤はバス停のベンチに座っていた」
近藤「何時間もかけてここまで来たが、近藤には目的がよくわかっていない」
近藤「近藤は目を開けてバッグを見た」
近藤は一人でいる時、独り言のようにぶつぶつと自分のナレーションをする癖があった
その癖は年々酷くなっている
近藤「あの男にこのバッグをここまで運ぶように近藤は言われた」
近藤「バッグの中身は見るなと言われている」
近藤「バッグに鍵はかかっていない。しかし見ればそれがバレるような仕掛けがあるのかもしれない」
近藤「中身が何であろうと、どうと言うことはないと近藤は考えていた」
近藤「きっちり仕事をすれば問題は何も起こらない」
近藤「これまでも近藤はそうしてきたし、これからもそうするだろう」
近藤「近藤は運び屋稼業に誇りを持っている」
近藤「バッグの内部と外部は全く別の世界なのだ」
近藤「内部と外部は混ぜるな危険なのだ」
近藤「一度開けてしまえば、内と外の境界線がなくなってしまう。それは良いことではないと近藤は考えていた」
近藤「しかし今回は誰にいつ渡すのかがわかっていない」
近藤「ならばそれが来れば必ずわかるようになっているはずだと近藤は考えた」
近藤「誰もいない道の向こうから誰かが歩いてきた」
近藤「少しずつ姿が見え・・・」
近藤は思考が停止した
時間が止まったようにも感じたが、実際には止まっていない
思考をフルに回転させようとするが洗濯物の入っていない洗濯機のように空回りするだけだった
自分にそっくりな男が来た
近藤にそっくりな男はバッグを近藤から奪いとる
近藤「あんたはなんだ?」
近藤のそっくりさんはそれには応えずに、バッグを開けて中身を見た
近藤「おい何やってんだ?開けちゃいけないんじゃないのか?」
近藤のそっくりさんは満面の笑みを浮かべて黙っていた
二人は1分ほど何も言わず黙っていた
そして近藤のそっくりさんが変な音の屁をこいて、バッグを持って歩いていった
近藤「なんか臭いと近藤は思った」
〇田舎のバス停
前田はバス停のベンチに座っていた
一台のトラックが通りかかった
配達員「こんなところで大丈夫ですか?もう今日はバス来ませんよ」
前田「ああ」
配達員「もしよければ駅まで乗って行きますか?」
前田「いや大丈夫。ちょっと人を待ってるんでね」
配達員「そうですか。まぁ気をつけてくださいよ?ここら辺なんかやばいもの出るらしいんで」
前田「うーん。なるほど」
誰も来なかった
〇謁見の間
K(ん?どこだここは?)
K(さっきまでタクシーに乗ってたよな?)
K(それで空に何か飛んでいて光で目が眩んで、そこから記憶がない)
ガイアス・ローグ「王よ。どうかされましたか?ご気分でも悪いのですか?」
K(何だこいつ?何でそんな格好してんだ?スラブ系っぽい言語だが、どこの言葉だ?)
K「ココ ドコ ド」
ガイアス・ローグ「申し訳ございません!もう一度お聞かせ下さい!」
ガイアスは跪いた
K(くそ、やっぱりわからない。どうするか。それになんか身体もしんどいし)
Kは窓ガラスに映る自分を見て驚愕した
K「げ!なんだよこれ?!」
ガイアス・ローグ「王!今何と?言葉がわかりませぬ!」
K「ちくしょう!どうなってんだよ!Qはどこだよ!」
Kは叫びながら部屋を出ていった
ガイアス・ローグ「一体どうされたのだ?」
扉が開きイプキスが入ってきた
イプキス「ガイアス、何があったのですか?王が何やらお怒りのようでしたが」
ガイアス・ローグ「イプキス殿、それがわたしにもわからないのです。急に表情が変わって全く聞いたことのない言葉を喋り出したのです」
イプキス「なんと!それはまずい・・・」
ガイアス・ローグ「何か知っているのですか?」
イプキス「おそらく隣国のルードヴィッヒ共和国で今流行っている病だと思われます」
ガイアス・ローグ「なんと!どうにかならないのですか?」
イプキス「その病に関しては我が国も対岸の火事では済まないと考えていたので、マルガリータに調査をさせています」
ガイアス・ローグ「そうですか・・・」
〇図書館
3人は図書室にいた
シュウが言っていたユウジの母親の本を探していた
アオヤマ ユウジ「なぁ、シュウ 本の内容はどんななんだ?」
ハンダ シュウ「うーん なんか難しくてよくわかんなかったんだけど SF?みたいな感じ?」
アオヤマ ユウジ「タイトルは「グッドジェネレーション」だっけ?どういう意味なんだろう?」
ハンダ シュウ「確かタイトルの意味も書いてあったような気がするけど・・・ 忘れちった」
タナカ タイチ「まぁその本だけじゃなくても、 今のこの状況を打開するのに参考になる本があるかもしれないし」
タナカ タイチ「探してみるか」
アオヤマ ユウジ「そうだな・・・」
3人はそれぞれ本を探し始めた
アオヤマ ユウジ(母親のことなんて全然記憶にないなぁ 母親が小説家だったなんて話も聞いたことないし)
アオヤマ ユウジ(親父も母親の話なんてしてくれなかったよな)
アオヤマ ユウジ(写真すら見たことないよな)
アオヤマ ユウジ(でも考えてみたらそれもおかしいよな)
アオヤマ ユウジ(息子なら気になるよな普通は)
アオヤマ ユウジ(親父が隠してた? いやそういうわけじゃなく 俺自身、母親の事なんて全く聞こうとしてこなかったよな)
アオヤマ ユウジ(今の今まで母親のことなんて気にもしてなかったけど、それって異常じゃないか?)
ユウジは何気なく本を手に取った
アオヤマ ユウジ「世界の美しい島ね〜 いいな〜 南の島とか行きたいな〜」
アオヤマ ユウジ(あれ? なんかこの島見たことあるような気がするけど、)
アオヤマ ユウジ「おーい! 何かいい本あったか〜?」
ユウジは図書室の中を見回した
アオヤマ ユウジ(あれ?)
二人の姿が消えていた
アオヤマ ユウジ「どこ行った?」
ユウジは図書室の奥へ行った
アオヤマ ユウジ「ええ?!!」
〇暗い洞窟
図書室の奥の壁が不自然に崩れていた
壁の先は外のはずなのに、奥まで見えないほどの空洞になっていた
崩れた壁の破片が浮き上がって空洞の奥へと吸い込まれて消えていく
アオヤマ ユウジ「何なんだよこれは?」
アオヤマ ユウジ「おーい! シュウ!タイチ!」
アオヤマ ユウジ「二人ともこの中に入っちまったのか?」
〇島
〇アマゾン川のほとり
東十条 実篤「ここが例の島なんだな」
ヤギヌマ「左様でございます」
レベッカ・トレイシー「わざわざあなたが来てくれるとは思わなかったわ、実篤」
東十条 実篤「レベッカ、私は自分の目で見たものしか信用しないんだよ」
レベッカ・トレイシー「そうね あなたはそういう人だったわね」
クロード・バルト「やあ!実篤!レベッカ!」
東十条 実篤「クロード 久しぶりだな 例の球体について色々わかったんだろ?」
クロード・バルト「実篤は興味深い物を見つけてくれたよ」
東十条 実篤「それでは早速教えてもらおうか」
クロード・バルト「ウィ! それじゃあ歩きながら説明しようか」
〇薄暗い谷底
クロード・バルト「君がエジプトで発見した球体は地球上には存在しない物質でできている」
クロード・バルト「しかも発掘された地層は人類が誕生するより前のものだ」
クロード・バルト「完全な球体ということを考えても人が作れるものじゃないよね」
クロード・バルト「というより、完璧な球体なんて地球じゃ存在できない」
クロード・バルト「地球の重力に影響を受けて球体は歪んでしまうからね」
クロード・バルト「つまりこの球体は重力の影響を受けないのだと考えた」
クロード・バルト「しかしそれも少し違った」
クロード・バルト「重力の変化を与えると球体の形が変わった 無重力では液体に変化した」
クロード・バルト「そこから完全な真空状態にするとさらに変化した」
クロード・バルト「完全に消えた 気化したわけでもない 今の僕たちじゃ観測できない何か ダークマターのようなものとしか言えないかな」
クロード・バルト「真空と無重力を解くとまた元の球体に戻った」
クロード・バルト「この完全な球体を地球の重力に影響されずに存在させている力はなんなのか?」
クロード・バルト「この球体を床に置くと少しだけ浮く 手に持つことはできても表面に触れることができない」
クロード・バルト「球体の表面と接地面の間にあるわずかな隙間」
クロード・バルト「それは時間だよ そしてこの球体はなんなのか? 僕の考えではこれは本だよ 無限にも近い情報を持つ書物だ」
クロード・バルト「そして」
〇暗い洞窟
クロードは球体を巨大な穴の中へ投げ入れた
穴の中から音がしはじめた
〇暗い洞窟
石のかけらが浮いては暗闇に消えていった
東十条 実篤「面白い」
クロード・バルト「だろ?」
レベッカ・トレイシー「球体を穴に入れることで音、電波、そしてこの石の浮遊にも規則性があるの」
東十条 実篤「こうやってこの本を読むわけか」
クロード・バルト「その通り!」
クロード・バルト「今、世界中で発生しているシンクホールに球体を入れることで違う情報が得られる」
レベッカ・トレイシー「つまり地球自体が巨大な本になっているとも言えるわね」
東十条 実篤「なるほど」