この初恋に命を捧ぐ

彩京みゆき

#1. ヴァンパイアと恋!?(脚本)

この初恋に命を捧ぐ

彩京みゆき

今すぐ読む

この初恋に命を捧ぐ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇雪山の森の中
  木々の間を歩く二つの人影
ルカ「大丈夫か? アンジェロ」
アンジェロ「ああ、 何とかな・・・」
  アンジェロは剣で斬られた怪我を負っている
ルカ「こんな雪では 小さな事が命取りだ・・・」
ルカ「アンジェロ、 どこか宿を探そう」
アンジェロ「あればいいけどな 俺達でも泊まれるところが・・・」
ルカ「そんな事言うな・・・」
アンジェロ「ルカ、 一人で逃げろ。 兄弟だからって気を遣うことは無い」
ルカ「兄さん・・・」
アンジェロ「俺たちはお尋ね者のヴァンパイア・・・」

〇海沿いの街
アンジェロ「いわれの無い差別で迫害されて来た。 一族も滅びかけているじゃないか」

〇戦場
アンジェロ「一部のサイコキラーのような 変種ヴァンパイアのせいで、 善良な仲間まで人間に惨殺され」
アンジェロ「俺たちの両親までも 殺されてしまった」
アンジェロ「ほとんどのヴァンパイアは 人間を襲う事なんて無く、 人と同じような生活をしているというのに・・・」

〇雪山の森の中
アンジェロ「ただそうだな、 違うところと言えば、人間の方が儚く一瞬の命だという事だ」
アンジェロ「我々は怪我の回復力も早く、 寿命も人の何倍も生きられる」
アンジェロ「ヴァンパイアだと疑いをかけられれば、 魔女裁判のように迫害されるであろう・・・」
アンジェロ「ルカ、 人間を、決して信じるな お前は情にもろすぎるところが心配だ・・・」
ルカ「分かってる・・・」
  遠くに家の灯りが見える
ルカ「こんなところに 立派な屋敷がある」
アンジェロ「驚いたな・・・」
ルカ「この天気ではさすがに体力が持たない・・・ あの家に声をかけてみよう」
アンジェロ「仕方がないな 決して正体を悟られるなよ」
ルカ「分かってる」

〇西洋の城
  ルカが、
  コンコンと扉をノックすると、
  のぞき穴が開かれる
ハンナ「何のご用でしょうか?」
ルカ「旅の者です。 道に迷い困っております。 納屋でも結構ですので、どうか一晩泊めて頂けないでしょうか?」
  奥から若い女性の声が聞こえる
サラ「あら、どうしたの? ドアを開けて差し上げて」
  扉が開かれる
ハンナ「サラお嬢様!? 勝手に開けてはいけません」
サラ「あら、大丈夫よ」
ハンナ「まあ!? この金色の髪の方・・・ ルシウス様にそっくり!?」
サラ「ええっ!?」
ハンナ「お嬢様、 こんな事って・・・」
サラ「・・・」
サラ「どうぞ、 お上がりになって」
ハンナ「旦那様と奥様の許可を頂かないと」
サラ「大丈夫よ、 二人とも私のやる事には大抵反対しないのだから・・・」
ルカ(ルシウス・・・?)

〇幻想空間
ルカ(何ということだ・・・!!)
ルカ(なんと、 美しい姫君なんだ・・・!!)
ルカ(胸の鼓動が高鳴る 一体これはどうした事なのか!?)
ルカ(目と目が合った瞬間、 心を奪われた・・・)
ルカ(こんな事は 生まれて初めてだ)

〇貴族の応接間
サラ「まあっ、大変 そちらの方は怪我をされているのね 手当をしなければ」
ルカ「いえっ、 心配には及びません、 手当はしております。 ただ宿さえお貸し頂ければ」
サラ「怪我をされているのですから 一晩と言わずに しばらくゆっくりしていらして」
サラ「あいにく、このヴァンパイア騒ぎで 使用人達も出払っていますので」
ルカ「えっ!?」
サラ「大したお構いも出来ませんが、 部屋は自由に使って頂いてけっこうですわ」
ルカ「そうなのですね・・・」
ルカ「わたくしが言うのも何ですが、 だったら尚さら私たちのような者を入れては不用心なのでは・・・」
サラ「あら、お優しいのね。 お気遣い無く。 これでも武道は一通りたしなんでますのよ」
ルカ(このお嬢様は、 なんという無防備で 根っからの・・・)
(お人好しっ!!)
ルカ「では、ご迷惑でなければ、 お礼に わたくしを使用人だと思って使ってくださいますか?」
ルカ「掃除洗濯、家事全般慣れておりますので。 料理は貴族の方のお口に合いますかどうか分かりませんが」
サラ「まあ、それは心強いわ なんてハイスペックなお方なのかしらっ・・・」
(ハイスペック!?)
ハンナ「お嬢様、 旦那様がお帰りのようです」
サラ「あら・・・」

〇洋館の玄関ホール
父「なんと、 客人が見えたという事だな」
父「このヴァンパイア騒動の真っ只中だ 簡単なテストをさせてもらうが、 気を悪くしないで頂けるかな」

〇貴族の応接間
(テスト!?)
父「さて、 ここに用意した」
父「十字架、  ニンニク・・・」
(迷信迷信! セーフ!)
父「銀の弾丸の銃・・・」
(これは、 ヴァンパイアで無くても 撃たれたら)
(死ぬっ!!)
父「・・・なんて、 すまなかったね・・・」
父「こんな雪では猟にも出られないし、 猟銃の出番も無いだろうな」
ルカ「はははっ、 まったく、生憎な天気ですね」
父「悪いが朝になったら 雪かきの手伝いをお願い出来ないかね? 人手が足りないもので」
ルカ「はい、 もちろんです」
ルカ(日光も大丈夫・・・ 真夏のカンカン照りは苦手だけど)
父「怪我人の方は ゆっくり休むといい」
ルカ「はい ありがとうございます」
父「では、 お邪魔したね」
サラ「まあ・・・ お父様ったら、つまらないご冗談を」
(今のは絶対 本気だった・・・!!)

〇城の会議室
ルカ「食事の準備が出来ました」
サラ「まあ、 豪華ですわね ありがとうございます」
サラ「不思議なのですが、 ルカさんは 初めて会った気がしませんわ・・・」
ルカ「えっ!?」
サラ「皆さんをお呼びいたします」

〇空
ルカ(まさか、 まさかな・・・)
ルカ(きっと、 深い意味なんて無い・・・)

〇城の廊下
ルカ(アンジェロの分も 持って行かねば)
ルカ「アンジェロ、 入るぞ」

〇城の客室
アンジェロ「ありがとう、ハンナ 君はとっても魅力的だ」
ハンナ「アンジェロさま・・・」
ルカ「!!」
ルカ(アンジェロの特別スペックは、 女性に優しいところ・・・)
ルカ(比較的、 誰にでも・・・)
ルカ「アンジェロ、 食事を持って来たぞ」
アンジェロ「ああ、 ありがとう、ルカ」
アンジェロ「では、 ハンナに食べさせてもらおう」
ハンナ「えっ!?」
ルカ(勝手にやってくれっ・・・)
アンジェロ「ルカも、 欲しいものがあったら 確実に手に入れなければな」
ルカ「えっ!?」
ルカ(どういう意味だよっ)

〇城の廊下
ルカ「我が兄ながら、 あれで生き残って来た部分もあるからな・・・ 俺には無いスペックだ・・・」

〇空
アンジェロ「♪恋は儚きもの  愛は尊いもの♪」
アンジェロ「♪愛を知ったのなら  君にこの命捧げよう♪」

〇城の廊下
サラ「おはようございます、アンジェロさん 怪我のお加減はよろしくて?」
アンジェロ「おはようございますサナお嬢様 ええ お陰様でだいぶ楽になってきました」
サラ「それは何よりです サナで結構ですのよ」
サラ「先ほどの 素敵な歌ですね」
アンジェロ「古い歌です」
アンジェロ「私もいつかは 命を懸けるような恋をしたいものですね。 あなたのような素敵な女性と・・・」
ルカ「!!」
ルカ(全く、 油断もスキも無いっ・・・)
ルカ(そして同族ながら 驚異的な回復力っ・・・)
アンジェロ「ああ、ルカ おはよう・・・」
ルカ「おはよう、アンジェロ」
アンジェロ「だから言っただろう」
アンジェロ「欲しいものは 必ず手に入れろと・・・」
ルカ「えっ!?」
アンジェロ「兄弟で 恋のライバルってとこだな・・・」
ルカ「ええっ!? 何をっ・・・」
サラ「まあ、嫌だわ、 アンジェロさんったら・・・ お上手ね」
サラ「私は恋なんてしなくってよ そう心に決めてしまいましたもの・・・」
サラ「私に関わった殿方は 皆さん不幸になられますので・・・」
ルカ「えっ!!」
サラ「いけないわっ、 わたくしハンナに用がありましたのっ では・・・」
ルカ(どういう事だ!?)
アンジェロ「ルカ、 ちょっとこっちへ・・・」
ルカ「え・・・?」

〇洋館の階段
アンジェロ「こっちを見るがいい」
ルカ「この絵はっ!?」
アンジェロ「ルカに そっくりだろう? サラのお兄さんだそうだ」
ルカ「えっ!?」
ルカ「ああ それで・・・」
ルカ(初めて会った気がしないとは そう言う事か・・・)
アンジェロ「落馬事故で亡くなったそうだ サラをかばう形になって・・・」
ルカ「!?」
アンジェロ「サラは自分のせいだと思い 自分を責め続けているそうだ それで自分に関わると不幸になると・・・」
ルカ「そんな・・・」

〇空
ルカ(それは 言い尽くせないほどに 辛かったろうな・・・)
ルカ(サラは、 俺の顔を見て どんな気持ちだっただろう・・・)

〇洋館の玄関ホール
ルカ(情報源はきっと 女性(ハンナ)だな)
  玄関から
  男の声がする
ニコラ「サラ、 サラはいないのか?」
ハンナ「ニコラ様 お待ちくださいませ」
ニコラ「まあ良いではないか・・・」
ニコラ「わたくしはサラの・・・」
ニコラ「婚約者なのだから!!」
ルカ(えっ!?)

次のエピソード:#2. 勝負だ!!

コメント

  • ストーリー展開がテンポ良く、夢中になってタップしておりました!登場キャラがみんな可愛くて楽しいです!続きも読ませていただきます!

  • 上品な雰囲気の本格的な出だしなのに、読みやすくて、効果音も気分を盛り上げてくれます。すっかり世界観につれていかれました。

  • なるほど…もう今後は正体を隠し続けなきゃいけないのですね…。そんな恋が一番残酷な気がします…。
    叶わぬ恋、叶わぬことだから憧れるのかもしれませんが。

コメントをもっと見る(7件)

成分キーワード

ページTOPへ