化ケ城‐BAKEJIRO‐

ヤミヲミルメ

エピソード2 王家の嘆き(脚本)

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〇けもの道
ダークドヴェルグ「出ていけ!」
ダークドヴェルグ「立ち去れ!」
ダークドヴェルグ「逃げるなら今のうちだぞ!」
ニュイ「ひっ・・・!」
ダークドヴェルグ「出テイケ!」
ニュイ「ううう・・・っ」
ダークドヴェルグ「立チ去レ!」
ニュイ「ぼくだって本当はもう逃げたいよぉ・・・」
ダークドヴェルグ「逃ゲルナラ今ノウチダゾ!」
ニュイ「でもサンクはトロワーヌ姉さんが かわいがっていた猫で・・・」
ニュイ「もしかしたらトロワーヌ姉さんには もう二度と逢えないのかもしれないのに」
ニュイ「そのうえサンクまでいなくなったら・・・」

〇黒
ニュイ「本当の子供じゃないぼくが パパとママのところに どんな顔して帰ればいいのさ」

〇けもの道
ダークドヴェルグ「出テイケナイ」
ダークドヴェルグ「立チ去レナイ」
ダークドヴェルグ「モウ遅イ」
ニュイ「うわあああっ!?」

〇黒
サンク「ニャアー!!」

〇けもの道
サンク「ニャ!」
ニュイ「サンク!」

〇黒背景

〇霧の立ち込める森
ニュイ「サンク・・・この森・・・」
ニュイ「もうずいぶん奥まで来たけど まだ進まないといけないの?」
ニュイ「あ!」

〇養護施設の庭
ニュイ「ここは・・・」
ニュイ「王家の霊廟!?」
ニュイ「こんなのぼくみたいな一般人が 来ていい場所じゃないよ・・・」
ニュイ「またサンクを見失っちゃった・・・」
兵士「うわあ!?」
ニュイ「えっ?」
兵士「ダークドヴェルグ!!」
ニュイ「えっ? えっ?」
兵士「あれ? 何だ、人間の子供か」
ニュイ「あの・・・」
兵士「君は・・・城下町の子かい?」
ニュイ「はい・・・あの・・・ごめんなさい 勝手に森に入って・・・」
ニュイ「ぼく、猫を捜していて・・・」
兵士「ふーん」
兵士「猫ねぇ・・・」
兵士「おお! そうだ!」
兵士「見たよ見たよ、猫!」
兵士「いや、本当に猫だったかは 定かじゃないんだけどね」
兵士「ついさっき、私がほんのちょっと・・・ 本当にほんのちょぉぉっとだけ 目を離した隙に」
兵士「誰かが霊廟に入っちゃった みたいなんだよねー」
兵士「まさかお化けなわけないし」
兵士「ましてやダークドヴェルグなんてものが 現実に存在するわけないしー」
兵士「あれってきっと、猫だったんだろうなー」
兵士「猫だよ、猫! よく考えたら猫に決まってる! 間違いない!」
兵士「困ったなぁ 王家の霊廟は本当は見張りの僕でさえ 気安く入っちゃいけない場所なんだけど」
兵士「大事な猫をこのままにしておくわけには いかないからねぇ」
兵士「特別に許可する! 入って猫を捜してきたまえ!」
兵士「これは本当に特別な許可だから 誰にも絶対に言っちゃいけないよ!」
兵士「絶対に秘密だよ! すべては君と猫のためなんだからね!」
兵士「私がお化けを怖がってるなんてことは 断じてないんだからねっ!」

〇黒背景
ニュイ「霊廟の中にいるのは 危険な墓泥棒かもしれない」
ニュイ「ダークドヴェルグかもしれない」
ニュイ「だけどサンクかもしれない」
ニュイ「お墓に入るのは怖イケド・・・」
  ヤダ
ニュイ「・・・って・・・」
ニュイ「やっぱり、言えなかった・・・」

〇暗い洞窟
  下り階段の先に扉があった

〇謎の扉
ニュイ(扉の隙間から光が漏れてる)

〇黒背景
ニュイ(見つからないように、こっそり覗こう)

〇地下室
デジール第二王子「黙れ!!」

〇謎の扉
ニュイ(あ・・・ ぼくに言ったんじゃないみたいだ・・・)
ニュイ(気づかれてない・・・)

〇地下室
デジール第二王子「これが欲しいんだろ!? ほら! 持ってきたぞ!!」
デジール第二王子「だからもう・・・」
デジール第二王子「だからもうヤメロってば!! もう何も言わないでくれ!! 頼むから・・・・・・!!」

〇謎の扉
ニュイ(誰と話してるんだろう?)
ニュイ(ぼくにはデジール王子の声しか 聞こえない・・・)

〇黒背景
  デジール王子は宝石のようなものを
  棺に放り込むと、
  慌ただしく蓋を閉めた。

〇地下室
デジール第二王子「ハハ・・・ハハハハ・・・ 兄上・・・安らかに眠ってくれ・・・ オレはあんたを・・・」
デジール第二王子「誰だ!?」

〇謎の扉
ニュイ(しまった!)
デジール第二王子「おまえ・・・まさか・・・ ゆうべのガキか!? 何でこんなところに!?」
デジール第二王子「・・・おまえもバケモノなのか!?」
ニュイ「うわあ!?」
  デジール王子の剣がぼくの服をかすめた
  そのとき・・・
  ギギギギギギ・・・

〇地下室
  デジール王子がおそるおそる振り返る
  ギギギ・・・ギギギ・・・
  シャグラン王子の棺の蓋が
  ゆっくりと開いていく
  棺の中から伸びた手が、蓋を押し開けた

〇謎の扉
デジール第二王子「あ・・・兄上・・・」
デジール第二王子「うわああああああっ!!」
ニュイ「痛い・・・」
ニュイ「あ・・・あああ・・・!」

〇地下室
  棺の中から出てきたのは
  見たこともないぐらい整った顔をした
  男の人だった

〇黒
ニュイ「シャグラン王子じゃ・・・ない・・・」
  亡くなったシャグラン王太子殿下も
  男のぼくが見てもびっくりするぐらい
  綺麗な顔をしてらしたけど
  そういうのとは違う
  生前のシャグラン王子のはあくまで
  この世のものの美しさだった

〇地下室
  この人の美しさは、
  そういうのじゃなかった
  精霊か、天使か
  悪魔・・・
  そんな、現実離れした美しさだった

〇黒
  棺の中には王子さまの遺体が
  ものも言わずに横たわっている
  それを立ち尽くしたまま
  じっと見下ろす
  この人はいったい誰なんだ?

〇地下室
  その人が、今さら気づいたように
  ぼくのほうを見た
ニュイ「あなたは・・・」

次のエピソード:エピソード3 奇妙な美青年

コメント

  • サンク強い…!
    今のところ一番頼りになるのがサンク…!

  • ますます謎が増えましたね。
    サンクが死んだと思ったときは悲しかったけど、今回はどこに連れて行かれるのか、鳴き声が怖いです。
    ニュイは自分の意志を閉じ込めてしまうコなんですね。
    姉たちの中で男の子1人だからかな?
    きっと優しいんですよね。
    それがこれからどうなるか、楽しみです。

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