廻香記 〜白栴咲話〜

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空聖との出逢い(脚本)

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〇木の上
白栴(・・・ヤバイ。迷った・・・。 ここ・・・どこら辺だろう?)
  白栴(はくせん)は、森の中を彷徨っていた。
白栴(まさか・・・珍しい花を取ろうとしたら・・・崖が崩れるなんて・・・。 不注意だったわ・・・)
  ポタリ。
  
  そんな白栴に追い討ちをかけるように俄雨が降ってきた。

〇木の上
白栴「わわっ!? 雨? ツイてないっ!」
  白栴は、小雨の中を走る。
  
  そして、たまたま見つけた崩れた祠に避難する。

〇荒廃した国会議事堂
白栴「し、失礼しまーす・・・!」
  不気味な廃墟のような祠に恐る恐る入ると・・・。
  バチッ!!︎
  祠に張り巡らされていた鎖とお札が弾け飛んだ。
  
  そして、祠の中心から・・・
  ブワリ!!︎と
  風が吹く。
  白栴はその風をまともにくらい、階段から足を滑らす。
白栴「わわわわわわっ!?︎」
  目を瞑り、痛みの衝撃を予感する白栴。
  
  だが、痛みの衝撃はなく・・・代わりに腕を掴まれたと思ったら・・・。
空聖「オイオイ・・・。 ッと、危ねぇーな?」
  そう言って、男は自分の方に白栴を引き寄せた。
  
  階段から滑り落ちる事なく、白栴は助けてくれた男にお礼を言う。
白栴「ありっ!ありがとうございますっ!」
空聖「ハハッ! 危なかったな!? ま、無事なら良かったぜ?」
  そこで、白栴は祠の中心にあった石像がなくなっている事に気付く。
白栴「あ、あれ? さっきまであった石像が・・・ない?」
  そして・・・まじまじと石像があった石座と男を見比べる。
白栴(ま、まさかね・・・?)
  男は、ボキバキと肩を鳴らしながら腕を回す。
空聖「いっやぁー! 久々に体、動かすと疲れんな・・・。 あー、こっちこそ礼を言うぜ? 封印を解いてくれてありがとよっ!」
白栴(ふ、封印・・・?)
空聖「っにしても・・・? さっきから・・・なんか甘い香りが漂って・・・?」
  男は、すんすんと鼻を鳴らして白栴の腕を掴む。
空聖「ここからか?」
白栴「さっ、触らないでっ!!︎」
  白栴は、包帯が巻かれた自分の腕を守るように引っ込める。
  
  破れた包帯から垣間見えたのは・・・蓮の花のような痣。
  男は、ニヤリと笑いながらその腕を見つめる。
空聖「匂いの元は・・・そこからか。 封印を解いた事といい、その痣と匂い・・・。 オマエ・・・」
白栴「よっ・・・! 妖魔退散っっっ!!!」
  白栴は懐から、一枚のお札を取り出し、男の額にビシッと貼り付けてその場を逃げ出した。

〇森の中
白栴「はぁっ!はぁっ!!」
白栴「やっぱり・・・私・・・! 家の敷地から・・・出ちゃいけなかったんだ・・・! 早くっ! 早く戻らないとっ!」
白栴「この痣の香りが・・・妖魔を引き付けてしまう・・・!」
妖魔1「ヘッヘッヘッ!! 美味そうな匂いがしやがるぜ?」
  ガサリと茂みの中から、狼のような妖魔が白栴めがけて飛び出してくる。
  妖魔が一声吠えると白栴の周りを妖魔の仲間が取り囲む。
妖魔1「ヘッヘッヘッ! ヤベェくらい美味そうじゃねーか! イッタダキマース!!︎」
妖魔1「ガゥッ!!!!!」
  白栴は、目を瞑る!
  バキッ!!!!!
空聖「オレ様の獲物に手ぇ、出すんじゃねーよっ!!!」
妖魔1「ギャウンッ!!」
空聖「ワンコは大人しく寝ぐらに帰ってねんねしなっ!」
  先程の男に、妖魔は蹴散らされて白栴は事なきを得る。
  
  尻もちをついていた白栴に男は手を貸す。
空聖「大丈夫か? ・・・安心しな。 一応、オレ様はアンタの味方だ!」
白栴「あ、ありがとう・・・ございます・・・」
空聖「その顔・・・まだ信用してねーな?」
  男は、そう言って・・・自分の服を鎖骨あたりまでめくる。
  すると、男の胸元に白栴と同じような蓮の花の痣が見てとれた。
白栴「あ! その痣・・・!!」
空聖「ヘヘッ! オマエ・・・姿形は変わっちまってるが・・・ "アイツ"と同じ気配がする」
白栴「⁇」
空聖「その様子じゃ、覚えてねーか・・・」
空聖「あの時の"約束"も忘れちまったか・・・?」
白栴「"約束"?」
  "約束"
  
  その言葉に白栴の心に波紋が広がる。
空聖「ま、いいか! 一応、名乗ってやるぜ? オレ様は空聖(くうせい)! オマエの名は?」
白栴「えっと・・・怪しい人に名乗るのは・・・ダメだって爺様から言われてるけど・・・。 助けてくれたし・・・いいかな?」
  白栴が黙っていると・・・空聖は歌うように口を開く。
空聖「白檀香は芳しく妖魔を退散す・・・」
  空聖は、その言葉を呟くとニッと笑う。
空聖「名は体を表す。 オマエの名は "白檀"か・・・”栴檀”か・・・? 合わせて・・・”白栴”って感じだな?」
白栴「ど、どうして・・・?」
空聖「ふふん。 当たり・・・みてぇだな? "空を悟る"。 ま、オレ様の特技みてーなモンだ!」
  白栴が驚くと、空聖は笑いながら話を続ける。
空聖「ところでよ・・・オマエ、帰り道が分かんねーんだろ?」
白栴「えっ!えっと・・・はい。そうなんですけど・・・」
空聖「オレ様が家まで送ってやんよ!」
  その言葉に白栴は、目の前の空聖が神様のように思えた。
白栴「ほ、本当ですかっ!?」
空聖「あぁ!安心しなっ!」
  空聖は、そう言うと・・・髪の毛を1本抜くと・・・それにフッと息を吹きかける。
  
  すると、ブワリッと花びらが舞い・・・!
  白栴は空聖に抱えられ、雲に乗る。

〇雲の上
  白栴が驚く間に、気付けば・・・そこには空が広がっていた。
白栴「わわわわーっ!?」
空聖「さぁて♪ 空の散歩と洒落込もうぜ? これで、帰れるだろ?」
  空聖に抱えられた白栴は、空聖にしがみつく。
白栴「た、高いーー! 怖いーー!」
空聖「ん? あ、みっけ!」
  そう言って、空聖は山間に鎮座する一軒家に降りて行く。

〇古いアパートの居間
  山間にある一軒家で、白栴の爺様は茶を啜って白栴の帰りを待っていた。
  ドンッ!!
  豪快な音と共に、天井を突き破り落ちて来たのは・・・!
白栴の爺様「は、白栴っ!?」
白栴「じ、爺様っー! ただいま!!」
  白栴は、目の前の爺様に抱きつく。
白栴の爺様「ずいぶんと派手な帰宅じゃな?白栴? ・・・で?こちらの御仁は?」
  空聖は、キョロキョロと家の中を見渡しながら名乗る。
空聖「空聖だ! ま、迷子の子リスを送り届けてやった親切な人?って事にしといてくれ!」
  白栴の爺様は、その言葉に察する。
白栴の爺様「空聖殿。 苦労をかけたようじゃな。 白栴を送り届けてくれた事、感謝する。 して、礼は如何程すれば良いかの?」
  そこで、空聖はニヤリと笑う。
空聖「礼はいいぜ? でも、そのかわり・・・ここに用心棒として住まわせてくれ!」

次のエピソード:第二話 泉の妖魔

コメント

  • 日本人にとって馴染みの無い様で何故か懐に落ち着くチャイニーズファンタジー!
    悟空の如き彼の今後のストーリーに期待しています。

  • テンポの良いストーリー展開にすっかり引き付けられてしまいました。興味深い複線がいっぱいの第一話、次話以降も楽しみになります!

  • 突然現れた人にびっくりしますよね。
    しかも何か関係があるみたいな感じで…この二人の関係が気になります。
    不思議なお話で、続きが気になります。

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