エピソード1 嵐の夜の目覚め(脚本)
〇宇宙空間
落ちた、落ちた、王子様が落ちた
塔の窓から落ちたの何で?
きっとキミにも聞こえるはずさ
闇の子供(ダークドヴェルグ)の
笑い声がね
「ウヒュヒャヒャヒュヒャヒャヒャ!!」
〇雷
深夜、雷の音で目を覚ました
〇簡素な部屋
ニュイ「あれ? サンク?」
サンク「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ニュイ(じっと窓の外を見ている)
ニュイ(何を見ているんだろう)
〇中世の街並み
アルミュール王国の首都ミューリア
〇城壁
ニュイ(誰かが城壁を乗り越えてお城から出てきた)
〇簡素な部屋
ニュイ「もしかしてドロボウ!? どうしよう、サンク!!」
ニュイ「サンク?」
ニュイ(いつの間にかいなくなってる)
〇中世の街並み
ニュイ「サンク!? 外に出ちゃったの!?」
ニュイ(こんな大雨なのに・・・ 風邪ひいちゃうよ・・・)
〇簡素な部屋
ぼくはパパやママや
姉さんたちを起こさないよう
足音を忍ばせて外に出た
〇中世の街並み
ニュイ「サンクー! どこだー!」
〇噴水広場
中央広場
ニュイ「いた! サンク!」
サンク「フーッ!」
若い男性「・・・・・・」
ニュイ(この人・・・ さっきお城から出てきた・・・)
サンク「ニャアアッ!」
「!」
ニュイ「ええっ!?」
ニュイ「王子・・・さま・・・!?」
〇黒
見間違えるはずがない
ついこの間、事故死した
シャグラン第一王子のお葬式
棺を森の奥にある
王家の墓所へ運ぶ行列
ぼくは街道から見てた
この人は
今にも倒れそうな王さまを
支えようとして
王さまに手を振り払われてた
〇噴水広場
デジール第二王子「クソッ! 顔を見やがったな!」
ニュイ「剣を抜いた!?」
サンク「フニャー!」
デジール第二王子「邪魔だ!」
ニュイ「サンクーーー!」
デジール第二王子「フン! 次はオマエだ!」
ニュイ(何が何だかわからない)
ニュイ(どうしたらいいんだ・・・)
ゴゴゴゴゴゴ・・・
デジール第二王子「何だ? この音は?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
デジール第二王子「なっ! 何だ? どうなってるんだ!?」
〇西洋の城
ニュイ「お城が・・・」
〇西洋の城
ニュイ「動いてる・・・!?」
〇城壁
ニュイ「お城が・・・」
〇城壁
ニュイ「城壁を踏みつぶした」
〇中世の街並み
ニュイ「お城が・・・」
〇中世の街並み
ニュイ「城下町を踏みつぶしていく」
〇噴水広場
ニュイ「お城が・・・」
ニュイ「こっちに・・・」
ニュイ「どんどん近づいて・・・」
デジール第二王子「何なんだいったい!?」
デジール第二王子「うわああああああ!!」
ニュイ「ぼくも逃げなきゃ・・・」
水たまりで転んでしまった
〇西洋の城
起き上がったときには
お城はすぐ目の前に迫ってきていた
〇黒
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
〇黒
ニュイ「・・・・・・」
ニュイ「瓦礫に埋もれて動けない」
ニュイ「・・・・・・・・・・・・」
ニュイ「このまま死んじゃうのかな」
ニュイ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
町の人「おい! ここにも誰かいるぞ!」
町の人「こっちだ! 早く来てくれ!」
〇荒廃した街
町の人「大丈夫か? 怪我はないかい?」
町の人「君は確か食堂の息子の・・・ あの辺りも・・・ かわいそうに・・・」
ニュイ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ニュイ「言葉が、出なかった」
〇基地の広場(瓦礫あり)
地形の関係で南北に異様に細長い
ミューリア城下町
お城は町の一番北から
町の中央まで動いてきていた
途中にあった家々を
跡形もなく踏みつぶして
〇荒廃した街
ニュイ「ぼくの家・・・」
ニュイ「こっち・・・」
ニュイ「早く帰らなくちゃ・・・」
ニュイ「パパもママもきっと心配してる・・・」
ニュイ「姉さんたちも・・・」
町の人の声が聞こえる
町の人「私の家が! 私の家族が!」
町の人「お父さーん! お母さーん!」
町の人「城が・・・! 何で・・・!? 城が・・・城が・・・」
町の人「王さまは何をやっているの!? どうしてお城から出てこないの!?」
町の人「私の息子が お城の厨房で働いているんだ・・・ 息子は無事なのだろうか・・・」
町の人「私の家は南の端にあるので無傷だが 弟の一家が・・・」
〇西洋の城
町の真ん中で動きを止めたお城
その足もとに積み上がった瓦礫の山
本来なら城壁の奥で
兵士たちに守られているはずの王城の壁が
手を伸ばせば届く場所にあって
だけど扉も窓も
ピシャリと硬く閉ざされていた
〇荒廃した街
ニュイ「お城の入口の前に 人がいっぱい集まってる」
町の人「出てこーい!」
町の人「誰か出てきてー!」
町の人「どうして誰も出てこないんだ!? 出てきて説明をしろ!!」
町の人「王さまやー! 出てきてくだされー!」
兵士「中に入れてくださーい! 私です! 番兵ですー!」
ニュイ「お城の周りはこんなに騒がしいのに お城自体は死んでるみたいに静かだ」
ニュイ(そんなのぼくにはどうでもいい! 早く家に帰るんだ!)
〇街外れの荒地
ニュイ「お城に踏まれた場所とその手前とで 町の景色がスパッと分かれている」
ニュイ「ぼくの家は」
ニュイ「お城に踏みつぶされていた」
パパ「ニュイ! 今までどこに行っていたんだ?」
ママ「ああ、ニュイ! あなただけでも無事でよかったわ・・・」
ニュイ「え・・・? ぼくだけって・・・?」
デューヌ姉さん「ウヒャヒャヒャヒャ!」
ママ「かわいそうに・・・ デューヌは瓦礫で頭を打ったんだ・・・」
パパ「それでもアンヌに比べればまだマシだ アンヌは・・・」
パパとママの視線の先には
白い布に覆われた細長い何かが
横たわっていた
ニュイ「そんな・・・アンヌ姉さん・・・」
パパ「トロワーヌは行方不明だ それにサンクも・・・」
サンク「ニャー」
ニュイ「サンク!?」
ニュイ「あ・・・」
ニュイ「行っちゃった・・・」
ニュイ(デジール王子に 剣で斬られたように見えたけど 大丈夫だったのかな)
ニュイ(どうしよう 三人の姉さんのことで パパもママもこんなに落ち込んでるのに)
ニュイ(ゆうべぼくが王子さまに 襲われたなんて話せない)
ママ「もしかしたらサンクは トロワーヌの居場所を 知ってるのかもしれないね」
パパ「私たちはもう少しこの辺りを捜してみる ニュイ、お前はサンクを追いかけてくれ」
ニュイ「・・・・・・」
〇黒
ヤダ
〇街外れの荒地
ニュイ(ここにいたい・・・ パパとママのそばを離れたくない・・・)
パパ「ニュイ?」
ニュイ「ううん、何でもない」
ニュイ「ぼくに任せて!」
ママ「ニュイ・・・」
デューヌ姉さん「ウヒャヒャウヒャヒャウヒャウヒャヒャ!」
〇市場
サンク「ニャー!」
ニュイ「待ってよサンク! 待ってってばー!」
ミューリア城下町 南端
ニュイ(この辺りには全然被害が出ていない)
ニュイ(同じ町の中だなんて思えない感じだ)
サンク「ニャー!」
ニュイ「あ!」
ニュイ(町の外壁を乗り越えて外に行っちゃった)
ニュイ(どうしよう・・・ サンクを追いかけたいけど)
ニュイ(町の外は狼や野盗がいて危ないから 子供だけじゃ出してもらえないよ)
〇荒野の城壁
サンク「ニャー」
ニュイ「壁の向こうから声がする」
サンク「ニャー」
ニュイ「まるで壁が鳴いているみたいだ」
ニュイ「ニャー ニャー ニャー」
ニュイ「ぼくを呼んでる・・・?」
〇洞窟の入口(看板無し)
ニュイ「町の外壁に穴が開いてる 狭いけど、ぼくなら通れそうだ」
ニュイ(外に出るの・・・)
ヤダ
ニュイ(一人デ行クノ、怖イ・・・)
サンク「ニャーッ!」
ニュイ「サンク・・・」
ニュイ「・・・わかったよ・・・」
〇美しい草原
〇けもの道
サンクがぼくを導いたのは
『嘆きの森』と呼ばれる場所だった
この森の奥に王家の霊廟がある
ニュイ(サンクにすっかり置いてかれちゃった)
ニュイ(シャグラン王子の葬列が通った跡が まだハッキリと残ってるから 道に迷うことはないけれど)
ニュイ(薄暗いし不気味だよぉ)
???「ウヒュヒャヒュヒャヒャヒャヒャ!」
ニュイ「誰!?」
???「ウヒュヒャ!」
???「ヒュヒャヒャ!」
???「ヒャヒュヒャ!」
???「ヒャヒャヒャ!」
ニュイ「まさか・・・!」
闇の子供(ダークドヴェルグ)・・・!
〇黒
ニュイ「まさか・・・だってそんな・・・」
ニュイ「闇の子供(ダークドヴェルグ)なんて おとぎ話の中だけの存在なんじゃ なかったの?」
???「ウヒャヒャ!」
???「ヒュヒャヒャヒャ!」
ニュイ「怖イ・・・誰カ助ケテ・・・」
サンクはどこへ行っちゃったんだ?
そもそもトロワーヌ姉さんを
捜さなくちゃいけなかったのに
サンクは何のために
ぼくをここに連れてきたんだ?
お城が動いたことと
シャグラン王子が亡くなったことには
何か関係があるの?
誰カ教エテ・・・
ボクハ ドウスレバイイ?
ウヒュヒャヒュヒャヒョヒャヒュヒュヒャヒョヒャヒャヒャ!!
おおっ、ファンタジーな世界観の舞台ですね。
サンクが可愛い。でも何考えてるかわからないし、何故生きているのか…。
少しずつ読ませていただきます。
こんばんは!
サンクが無事で本当に良かったです😂👍
大事件の予感ですね!
あの笑い声とても癖になります!姿が見れなかった…!
謎が謎を呼ぶ展開!
幾多の困難がニュイを待ち受けていそう(恐らくいるのでしょう)で、先が気になります😄