グッドジェネレーション

アシッドジャム

エピソード3 Good difference(脚本)

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〇時計台の中
オリバー・アンダーソン「久しぶりだね、Mis.アオヤマ」
アオヤマ レイコ「お久しぶりです。大統領」
オリバー・アンダーソン「キミが言っていたように王様とオオカミは現れたよ」
アオヤマ レイコ「そうですか」
オリバー・アンダーソン「本当にキミは何者なんだい?」
アオヤマ レイコ「お調べになったんでしょ?」
オリバー・アンダーソン「それでもわからないんだよ」
アオヤマ レイコ「大統領は何もかもお見通しなのかと」
オリバー・アンダーソン「よしてくれ。私は自分の娘のことすらよくわかってないんだからな」
アオヤマ レイコ「申し訳ありません。ただの八つ当たりです」
オリバー・アンダーソン「キミは預言者か何かなのかだと本気で思っているよ」
アオヤマ レイコ「預言者ならよかったんですけどね。でも違います。私はただ同じ時間を繰り返してるだけなんですから」
オリバー・アンダーソン「それはどういうことだ?」

〇教室
  三人は美術室を出て最初に出会った教室へ戻ってきた
  一人ずつ教壇に立ってそれぞれの考えと今後どうすべきかをお互いに発表することにした
アオヤマ ユウジ「じゃあまずは俺から。なんかちょっと緊張するわ」
ハンダ シュウ「がんばれ!」
アオヤマ ユウジ「おう!がんばる! まぁ考えってほどのものかはわからないんだけど」
アオヤマ ユウジ「俺の場合朝から変なことが起きてて、知らない女の子が親父とパフェ食べてたり」
アオヤマ ユウジ「学校に来る途中も親娘が後ろ向きで歩いて、よくわからない言葉を喋ってたり」
アオヤマ ユウジ「学校に来てからもおかしな事ばっかりだし」
アオヤマ ユウジ「そもそも普通の理屈で説明できる事じゃないと思うんだよな」
アオヤマ ユウジ「ありえない出来事に対してはありえない理屈で考えないとわからないっていうか・・・」
アオヤマ ユウジ「例えば夢って起きてから考えるとおかしなことばっかりって思うだろ?でも夢を見てる時はおかしいなんて感じてないよな?」
アオヤマ ユウジ「それは夢を見てる時は夢の論理で考えてるからなんだと思う」
アオヤマ ユウジ「ここが夢なのかわからないけどな。さっきほっぺたつねってみたけど起きないし」
アオヤマ ユウジ「でも夢の中でほっぺたつねって起きたこともないからわからないけどな」
アオヤマ ユウジ「何でほっぺたつねったら夢から覚めるって言われてるのかな?誰か実際それをやった人がいたのかな?」
タナカ タイチ「おーい脱線してるぞー」
アオヤマ ユウジ「こりゃ失敬。夢の中かどうかは置いといても考え方のヒントにはなると思うんだよね」
アオヤマ ユウジ「今のこの状況が夢とか、もしくはフィクションじみてるんだよな」
ハンダ シュウ「フィクション?」
アオヤマ ユウジ「そう!小説とか映画とか漫画とか」
アオヤマ ユウジ「そういうフィクションにはフィクションの時間とか論理があって現実とは違う理屈で動いてるんだと思う」
タナカ タイチ「でも結局は作者が意図した通りに作られてるだけだろ?」
アオヤマ ユウジ「それはそうだけど、でも作者が全てをコントロールできるわけじゃないって聞いたことあるよ」
アオヤマ ユウジ「例えば登場人物が勝手に動くとかね」
ハンダ シュウ「勝手に動いちゃうの?!」
アオヤマ ユウジ「書く前に全部決めて、それに沿って書くんじゃなくて書きながらどんどん変わっていくってことなんじゃないかな?」
ハンダ シュウ「ほーほー」
アオヤマ ユウジ「こういう状況で閉じ込められる感じの話もまぁよくあるし」
タナカ タイチ「どんな話があるんよ?」
アオヤマ ユウジ「誰かの精神世界に閉じ込められてたとか、時間の狭間に入り込んだとか、誰かが仕掛けたデスゲーム的なのとか、」
アオヤマ ユウジ「時間がループしてたり、時空の狭間に閉じ込められたり、ドッキリでしたってパターンとか」
アオヤマ ユウジ「でも一番最悪なのは夢オチか」
ハンダ シュウ「え?そう?夢だったらよくないか? ああー変な夢見ちゃったわ!ってなるだけじゃん!」
アオヤマ ユウジ「いや、フィクションだったらって話だよ」
タナカ タイチ「あとはデウス・エクス・マキナとか?」
アオヤマ ユウジ「おお!よく知ってんじゃん!」
ハンダ シュウ「デウス巻き巻き?」
アオヤマ ユウジ「デウス・エクス・マキナ 要するに複雑化して収拾つかなくなった物語を神様みたいなのが出てきて収束させちゃうって感じだな」
アオヤマ ユウジ「まぁ夢オチもその一種だけどね」
アオヤマ ユウジ「ちょっと色々脱線しちゃったけど、俺が思うにこの状況は夢でもないし現実でもないような場所なのかなって」
タナカ タイチ「どうゆうこと?」
アオヤマ ユウジ「夢だとしたらこの状況を夢の論理で考えるはずなんだよ」
アオヤマ ユウジ「でも今の俺の思考は起きてる時の論理で考えてると思う」
タナカ タイチ「でもそれは夢の中だとわからないんじゃね?」
アオヤマ ユウジ「まぁこれはあくまで俺の感覚でってこと。証明できないからね」
アオヤマ ユウジ「それでこの空間はフィクションに近い気がする」
アオヤマ ユウジ「もちろん俺たちがフィクションって事じゃなくて世界設定的にってことだけど」
アオヤマ ユウジ「ゲームに近いのかもな」
アオヤマ ユウジ「作られた世界の中でプレイするってことはプレイヤーが現実にゲーム内に入るわけじゃなくて」
アオヤマ ユウジ「アバターを操作するんだから、目が覚めた状態で夢を見ているみたいな感じだな」
タナカ タイチ「うーん。やっぱよくわかんないな」
アオヤマ ユウジ「俺もよくわかってないよ。ただよくわかんない状況に対抗するにはよくわからない考え方も必要かなって思ってさ」
ハンダ シュウ「ハハハ! さすが小説家の息子だな!」
アオヤマ ユウジ「え?小説家の息子ってなに?」
ハンダ シュウ「だってユウジの母ちゃん小説家じゃん」
アオヤマ ユウジ「うちのおふくろは小説家じゃないと思うよ?10年前にいなくなっちゃったし」
タナカ タイチ「それって失踪ってこと?」
アオヤマ ユウジ「そうだね」
ハンダ シュウ「え?でも俺ユウジから母ちゃんの小説かりて読んだぜ!?」
タナカ タイチ「シュウとユウジは前から知り合いだったのか?」
ハンダ シュウ「何言ってんだよ!タイチもユウジも俺も同じ中学じゃん!」
アオヤマ ユウジ「ええ!?」
ハンダ シュウ「まじで面白くねーぞ!その冗談!」
タナカ タイチ「いや、冗談とかじゃなくて俺たちの認識では俺たち三人とも今日初めて会ったはずなんだよ」
ハンダ シュウ「じゃあ証拠見せるから」
  シュウはスマホを取り出して写真を見せた
  そこには三人で一緒に撮られた写真が何枚もあった
アオヤマ ユウジ「これどういうことだよ?」
タナカ タイチ「シュウさっきまでスマホ持ってないって言ってたぞ?」
アオヤマ ユウジ「見たことすらないって言ってたし」
ハンダ シュウ「はぁ?何言ってんだよ!俺はずっと持ってるよ!」

〇オフィスの廊下
  雑誌編集部の井上栄子がオフィスの廊下の真ん中で呆然と立ち尽くしていた
  そこへ同じ編集部の結城美沙が通りかかった
結城美沙「ちょっと栄子どうしたのよ?こんなところで」
井上栄子「幽霊・・・」
結城美沙「え?」
井上栄子「幽霊が出るの」
  そう言って井上栄子は泣き崩れた
結城美沙「ちょっと大丈夫?!」

〇カラフルな宇宙空間
  さまざまな惑星が過ぎ去った

〇クリスマス仕様の教室
  ユメは気がつくと教室の中にいた
ニシキザカ ユメ「うーん、ここは・・・」
ニシキザカ ユメ「どこ?」
  周りを見回すと教室の中央に穴が空いている
  穴の奥は暗く深いからかよく見えない
ニシキザカ ユメ(一体何?)
  教室の扉が開いて誰かが入ってきた
配達員「どうもー!お届けものです!」
ニシキザカ ユメ「は?」
配達員「ニシキザカ ユメさんですよね? ここに印鑑かサインいいですか?」
ニシキザカ ユメ「え?ああ、はい」
  ユメは言われるがままにサインをすると小包を渡された
配達員「それじゃあ!ありがとうございます!」
  配達員はユメを手で押した
  押されたユメは穴の中へ落ちていった

〇暗い洞窟
ニシキザカ ユメ「キャー!!!」
  ユメが落ちると穴は消えた

〇川に架かる橋
  家に幽霊が出ると言う栄子
  美沙は体調の悪そうな栄子を心配して今日は栄子の家に泊まることにした
結城美沙「大丈夫?」
井上栄子「うん。お陰で少し落ち着いた」
結城美沙「そう。それならいいけど」
結城美沙「幽霊はいつから見えるようになったの?」
井上栄子「それがなんだかはっきりしないのよ」

〇玄関内
  家の玄関の扉を開けた瞬間に栄子は叫んだ
井上栄子「きゃー!」
結城美沙「どうしたの?」
井上栄子「ほら!そこに男の幽霊がいるのよ!」
  美沙は部屋の奥を見た
  そこには栄子の息子が立っていた
結城美沙「あれはあなたの息子よ!」
井上栄子「何言ってるのよ!違うわよ!」
  そう泣き叫んで栄子は外へ走って出ていった
結城美沙「一体どうなってるの? 信雄君、大丈夫」
井上信雄「わぁー」
  信雄も泣くばかりで何も答えない。美沙は茫然と玄関先に立ち尽くしていた

〇おしゃれなリビングダイニング
  15年前
結城美沙「アオヤマ先生、本日はインタビューを受けてくださりありがとうございます!」
アオヤマ レイコ「こちらこそわざわざ自宅まで来ていただいて」
結城美沙「お子さんが産まれたばかりの大変な時に無理言ったのはこちらですので、どこへでも行きますよ!」
アオヤマ レイコ「大丈夫よ。あの子シャンパンみたいに勢いよく産まれたんだから!楽なものだったわ」
結城美沙「それは何よりです!」
結城美沙「それで、早速なんですが、本日は先生の最新作「GOOD GENERATION」について伺いたいと思います」
アオヤマ レイコ「・・・」
結城美沙「まずこのタイトルにはどういった意味があるのでしょう?」
アオヤマ レイコ「私は基本的には自分のためにしか小説を書いてこなかったわ」
アオヤマ レイコ「でも今回は違う。これは息子のために書いた小説なのよ」

〇村に続くトンネル
  GOOD GENERATION
  to be continued

次のエピソード:エピソード4 Good book

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