始まりは終わりの始まらないかもしれない!?(脚本)
〇教室
佐藤沙緒理「友哉先輩・・・」
佐藤沙緒理「二股してるって本当なんですか──」
〇黒
私は先輩が好きで仕方なかった……。
でも、同じぐらい嫌いだった。
〇女子トイレ
トイレの鏡の前でたむろい、いつまでも化粧をする女達。
トイレの鏡の前でたむろう女「えぇ〜!私だったら・・・♥️」
なんて綿毛のように軽く安い言葉を私の彼氏は買った──
私はただ手が洗いたかった──
私達は3か月で別れた。
〇学校のプール
鬱陶しいぐらい暑すぎ……
スポーツ飲料水や制汗剤のCMのような恋愛なんてこの世に存在しない。
本音と建前を脳内戦争させ、涙をインクに描いたニコちゃんマークを顔に貼り地べたを這い蹲る屍。
キラキラ輝くビー玉のような淡く煌めく思い出もない。
思い出は燃えることのない腐りきった生ゴミだ。
嫌なことばかり鮮明に覚えている。ある意味新鮮か──
佐藤沙緒理「ちっ…こんな時に出てくるなよ──」
そしてそこから二年後の夏…。
〇女の子の部屋(グッズ無し)
適当に恋愛ごっこをしながら先輩とつかづ離れずの関係を繰り返し、私から彼を奪ったあの女と別れさせた。
やっとハッピーエンドが迎えられる…!!
そう、思っていたのに…。
佐藤沙緒理「次はこの子か…また自分と真逆のタイプね」
無表情で匂わせったーを眺めていると──
二度と会うことはないと思っていた
市川大和からfwitterをフォローされた。
フォローを返すとメッセージが来た。
「久しぶり、直接会って謝りたいことがある」
私は可笑しくて笑ってしまった・・・
佐藤沙緒理「ふっ!グッドタイミング過ぎるっしょ」
神様は私を甘やかしすぎなんじゃないか?いや、ある意味嫌がらせか。
私の中で何かがプツンと音を立てて切れた。
そして決心した──
佐藤沙緒理「先輩が新しい彼女を作る前に私はこいつと付き合ってやる、そしてありったけ可愛い彼女を演じてから最終的に・・・」
「あなたが私に言った言葉と同じ言葉を今度は直接私があなたにプレゼントしてあげる」
佐藤沙緒理「だって私が好きなのは……」
ふと中学時代の私が脳裏をよぎり口が止まった。
私は早速日付と時間と場所を指定した。
さほど待たずに携帯の通知音が鳴った。
了解の文字に胸が高鳴る──
佐藤沙緒理「決戦は8月5日、楽しみになってきた…」
佐藤沙緒理の復讐はここから始まる──
〇神社の石段
2016年 8月5日…
ついに待ちに待ったこの日がやって来た。
佐藤沙緒理「少し早く着きすぎたかな・・・」
ここは中学時代の通学路の途中にある神社。
佐藤沙緒理「懐かし……?!」
真っ赤な大きなバイクが私の目の前を横切っ…らなかった?
ヘッドライトで目が痛い──
佐藤沙緒理「もうっ…眩しすぎる!」
佐藤沙緒理「いつになったら来るわ…けぇえぇぇえええええ!?」
市川大和(特撮ヒーロー)「僕、参上!久しぶり沙緒理!」
………………。
佐藤沙緒理「嫌ァァァァァァアアア!?? こっち来ないで変態っ!!!!!!!」
市川大和(特撮ヒーロー)「おいおい!ちょっ…待て待て待て!! 俺だよ?大和だって!!」
佐藤沙緒理「無理無理無理ぃぃぃい!! いや、絶対に無理!!!!!!!!」
市川大和(特撮ヒーロー)「久々の再会にそんな悲しいこと言うなよ… うぅぅぅう…グズんっ…ぐぇっ!」
佐藤沙緒理「勝手に近寄って来ないで!!」
市川大和(特撮ヒーロー)「わりぃ、レディーに対して失礼な事をした!」
市川大和(特撮ヒーロー)(やばいぐらい可愛いなぁあ……)
佐藤沙緒理(うぅ…気持ち悪い…!! けど、ここで怖気付いちゃ駄目だ……)
気まずい沈黙が続く──
市川大和(特撮ヒーロー)「沙緒理、真面目な話…してもいい?」
佐藤沙緒理「うん、うちも大和と話がしたい…」
ツッコミどころ満載だがそんな事はこの際どうだっていい。
いやいや、良くないだろ!??
これは良くないよ…ねぇ?
市川大和(特撮ヒーロー)「いくよ!シュパット!」
……はぁ?
市川大和(特撮ヒーロー)「俺は君と誓う、愛の為に、幸せの為に!!」
はぁぁああああぁぁああ?!
いや、言ってる意味が分からない!!
さぁ、ここからどうする──