坂口さんと百合の華

イヴェール

第1章 坂口さんの恋愛(脚本)

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〇黒
  女に生まれると小さい頃から悩まされる。
  太ってるとか、目が一重だとか……。
  その人にとっては重要かもしれない。
  でも、私にはその悩みでさえ羨ましかった。
  だって、太ってることも一重も
  変えようと思えば、変えられるんだもの。
  でも、私は違う。
  だって、私は……。

〇遊園地
坂口「今日はありがとう。 とっても楽しかったよ。」
ボーイフレンド「どういたしまして。 このあと、どうする? 飯食いにいく?」
坂口「あ、ごめん。 今日はもう夕飯作ってあるの。 だから、ご飯はいいかな……。」
ボーイフレンド「いつもそれじゃん。 何回もデートしてるのに、 どうして飯だけは一緒に行ってくれないの?」
坂口「そ、それは……。」
ボーイフレンド「あと、マスクしてるのも気になる。 もう風邪治ったでしょ?」

〇黒
  彼は、私のマスクに手を伸ばした。
  抵抗したつもりだったが、
  一瞬耳にかけていた紐が取れる。

〇遊園地
  私は慌てて付け直し、彼を確認する。
  しかし、すでに顔は青ざめ、
  見開いた目が私を見つめていた。
ボーイフレンド「……ぎ……。」
坂口「ぎ……?」
ボーイフレンド「ぎゃあぁあぁあぁあぁあぁ!!!!! く、口裂け女だぁあぁぁあぁ!!! き、キモい、キモすぎるぅうぅうぅ!!!」
坂口「え、ちょっと、待って……。」
  私が最後に見たのは、
  時々転びながら泣き叫びながら
  逃げる彼の背中だった……。
坂口(やっぱりダメだった……。 誰かが好きになってくれるなんて……。 好きっていうのもよく分かんないし。)
坂口(そもそも、こんな顔だし……。)

次のエピソード:第2章 坂口さんの現状

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