メタリアルストーリー

相賀マコト

エピソード15(脚本)

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〇岩山
エルル「さっきは勝手な行動をして、すみませんでした!」
  エルルはニルとアイリに向かって思い切り頭を下げた。
  すっかり晴れた天気のもと、アイリはフリューゲラスのパーツを整理しながら目を細める。
アイリ「頭を上げて。 アンタの気持ちは分かったわ」
アイリ「本気で、コレクターを目指すのね?」
エルル「・・・はい」
  顔を上げて頷(うなず)いたエルルの瞳は彼女の決意を物語っていた。
  エルルはニルに向き合い、また頭を下げる。
エルル「ニルさんも助けてくださってありがとうございました」
ニル「気にしなくてもいいよ、助け合うのが仲間だって俺も最近気づいたから」
  ニルは、ちらりとアイリを横目に見る。
  アイリはその視線に気づいて照れたように肩をすくめた。
アイリ「ま、無事にコアも手に入ってよかったわ」
ニル「・・・でもメイザスさん、本当に剣を作ってくれるかなぁ」
  弱気なニルの発言に、アイリは腕を組む。
アイリ「ここまで来たんだから作ってもらえなきゃ困るわよ」
アイリ「・・・あの素材、メイザスさんにしか扱えないんだから」
エルル「・・・あのう・・・素材って、なんですか?」
  エルルの問いに、アイリは少し考えたあと表情を緩めて息をついた。
アイリ「・・・アンタには話してもいいかしらね」
アイリ「使うのはニルが倒したネームドのパーツよ」
エルル「えっ!? ニルさんがネームドを!?」
ニル「うん、この前のコレクター試験のときにね」
エルル「じゃ、じゃあもしかして試験でネームドを狩って一気に中級に昇級した新人コレクターっていうのは・・・」
ニル「ああ、俺のことだよ」
エルル「あの噂、嘘じゃなかったんだあ・・・!」
  エルルは驚いた表情をしたあと、キラキラとした目をニルへと向けた。
エルル「まさかニルさんがあの“名滅(めいめつ)”だなんて・・・」
ニル「めいめつ・・・?」
エルル「はい! “名”を“滅”するものと書いて、“名滅”です!」
エルル「みんなその新人コレクターのことをそう呼んでるんです!」
ニル「そ、そうなんだ・・・」
  羨望(せんぼう)の眼差しを受けるエルルにニルは少し恥ずかしくなって頰をかいた。
  聞きなれない呼び名が、ソワソワと落ち着かない。
  エルルは憧れの存在だった“名滅”・・・ニルを、目を輝かせながら見ている。
エルル「あ、それじゃあ・・・」
エルル「たしか、まだおじいちゃんにパーツは見せてませんでしたよね?」
ニル「うん、断られちゃったし、そうだね」
エルル「なるほど・・・」
  エルルは数回頷いたあと、ニルににっこりと笑いかけた。
エルル「そのネームドの素材、もう一度うちに持ってきてもらえませんか?」

〇鍛冶屋
  クエストの報告を終えて、3人はメイザスの鍛冶屋へ向かった。
  エルルは緊張したように荷物を握りしめ、音を立てて唾液を飲み込む。
ニル「ちゃんと気持ちを伝えれば、大丈夫だよ」
アイリ「ええ・・・アンタならやれるわ」
  エルルの背中を押すようにニルとアイリは声をかけた。
  エルルは深く頷いて、一歩踏み出す。
エルル「・・・おじいちゃん、ただいま」
メイザス「ああ、帰ったか。 おかえり」
エルル「うん。あのね、おじいちゃん。 話があるんだけど、聞いてくれる?」
  エルルは拳を握り、話を始めた。
  メイザスはなにか作業をしていてエルルの方を見ようとしない。
エルル「・・・本当は素材集めのためにテンガム鉱山に行ったんじゃないの」
エルル「ギアーズを狩って、私がコレクターになることをおじいちゃんに認めて欲しくて」
  エルルの言葉に、メイザスはジロリと彼女を睨(にら)みつけた。
  エルルは負けじとメイザスを睨み返す。
エルル「・・・ずっと、自分の人生に疑問を抱いていたの」
エルル「鍛冶は嫌いじゃないけど、本当にやりたいことじゃない気がして」
エルル「今回、ニルさんとアイリさんと一緒にクエストに行って、自分がまだまだ力不足なこともよく分かった」
エルル「でも、ひとりじゃ乗り越えられない困難も仲間と一緒なら乗り越えていけると思うの」
  メイザスは、顔をしかめながら言葉を紡ぐエルルをじっと見つめていた。
エルル「・・・私、コレクターになりたい」
エルル「そしてもっと、もっもっと広い世界が見たい」
  メイザスはエルルから目を逸(そ)らし、長いため息を吐いた。
エルル「おじいちゃん!」
  少しの沈黙のあと、メイザスが呟(つぶや)く。
メイザス「・・・子供ってのは親が知らぬうちにでっかくなりやがるが、それは孫も同じだな」
エルル「え・・・」
  ふっと眉間のしわを緩めて、メイザスは顔をすくめた。
メイザス「勝手にしな」
エルル「・・・!!」
  ぱああ、と目を輝かせるエルルにニルとアイリは駆(か)け寄った。
アイリ「やったじゃない!」
ニル「エルル、良かったね!」
エルル「はい・・・!」

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