恋の神様は襟足が長い

サカミキ

第二話 ままならない魂(脚本)

恋の神様は襟足が長い

サカミキ

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〇病室(椅子無し)
  ベッドで眠る奏羽のを覗き込む母。
  傍でその様子を伺う奏羽と夕凪。
奏羽の母「奏羽・・・よく眠ってる よかった・・・無事で」
  奏羽の頭を優しく撫でる母。
奏羽の母「また、明日来るからね」
  そっと病室を出て行く。
夕凪「相変わらず、いいお母さんだね 俺も子供の頃お世話になったな」
奏羽「そうだなぁ ウチにもよく遊びに来てたもんな」
夕凪「よかった。そーちゃんは死んでない。 早く体に戻んないと」
奏羽「俺、生霊ってこと? どーやって戻んの?」
夕凪「わかんないけど・・・ 『戻れー、戻れー』って念じてみたら?」
  自分が眠るベッドの脇に立ち、目を閉じる。
奏羽「戻れー、戻れー」
奏羽「無理みたい」
夕凪「何となく重なってみるとか?」
  自分の体に重なるようにそっと横になる。
奏羽「戻れー、戻れー」
奏羽「ダメみたい」
夕凪「そうだね そーちゃんが二重になってる」
  自分の体から離れ、夕凪に歩み寄る。
奏羽「立ち話も何なんで、とりあえず座る?」
夕凪「そうだね。でも、座れんの?」
奏羽「たぶんできるよ。ベッドに寝転がれたし」
  夕凪は空きベッドに近づき、座ろうとする。
夕凪「うわっ!」
  ベッドを通り抜け、尻餅をつく夕凪。
夕凪「痛っ!・・・くは無い」
奏羽「ハハハッ・・・」
奏羽「座ってるってイメージすればいいんだよ」
  ベッドに腰掛けた奏羽が得意げな顔をする。
夕凪「イメージねぇ」
  夕凪が奏羽の隣に腰掛ける。
夕凪「出来た! ・・・けど、安定しないね 座ってるっていうか浮かせてるって感じ」
奏羽「うん、疲れない空気椅子って感じだな」
夕凪「イメージしながら話すのも大変だね」
「・・・・・・」
  同時にベッドから立ち上がる。
  窓際に歩いて行き、並んで体育座りをする。
奏羽「ねぇ、ゆー君」
夕凪「なぁに、そーちゃん」
奏羽「床に座る方が楽だな」
夕凪「そうだね。新発見だね」
奏羽「自然にイメージできちゃうからかなぁ」
夕凪「そうかも」
夕凪「あのさ」
奏羽「何?」
夕凪「イメージすれば出来るんなら空も飛べるんじゃない?」
奏羽「そうだな やってみる?」
夕凪「うん」
  同時に立ちあがる。
「飛べー、飛べー」
(飛んでる、飛んでる 俺たちは飛んでる)
奏羽「無理だな」
夕凪「うん、1ミリも浮いてない」
奏羽「いや、ちょっとは浮いてるだろ?」
奏羽「ほら」
  ふわっ
夕凪「それ、ジャンプしただけじゃん」
奏羽「・・・」
夕凪「飛んだことないから、ちゃんとイメージ出来てないんじゃない?」
奏羽「それな」
「・・・・・・」
夕凪「今大事なのコレじゃなくない?」
奏羽「言い出したのゆー君じゃん」
  二人並んで体育座りをする。
奏羽「これからどうする?」
夕凪「幽霊になったの初めてだからなぁ」
奏羽「奇遇。俺も生霊になったの初めて」
夕凪「初体験だね」
奏羽「嬉し恥ずかしだな」
夕凪「なにぶん初めてだからシステムがわかんない」
奏羽「そだね」
夕凪「火葬とかされて肉体がなくなったら成仏するのかなぁ?」
奏羽「さぁ? じゃ、俺は?」
夕凪「俺が成仏したら呪縛が解けて体に戻れるかも」
奏羽「てか、俺、呪縛されてんの!?」
夕凪「知らんけど 呪縛って言ってみたかっただけ」
奏羽「フフッ・・・ 変わんないな、お前」
夕凪「えっ!? 何が?」
奏羽「いや、別に」
夕凪「明後日には火葬されると思うから とりあえずそれまで待ってみる?」
奏羽「それしかないかー」
夕凪「ないなー」

次のエピソード:第三話 奏羽の思い

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