グッドジェネレーション

アシッドジャム

エピソード1 Good morning(脚本)

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〇暗い洞窟
本間 正(どういうことなんだ?)
  突如出現した巨大な穴から音がしていた
  音が聞こえているのに、録音しようとしても、この音を録ることができない
ジャック・ストーン「ミスターホンマ」
本間 正「大佐」
ジャック・ストーン「こちらが今回依頼したレベッカ・トレイシー博士、数学者だ」
レベッカ・トレイシー「よろしく。ミスターホンマ」
本間 正「よろしくお願いします。トレイシーさん、現段階でわかっていることはありますか?」
レベッカ・トレイシー「そうね、従来の数学的にはありえない答えが出てしまった、と言えるかしらね」
本間 正「具体的にはどういうことでしょう?」
レベッカ・トレイシー「コラッツ予想、チューリングの停止性問題、アルゴリズムの崩壊とでも言えばいいのかしらね」
本間 正「よくわからないですね」
レベッカ・トレイシー「まぁ、例えていうなら1+1の答えが2ではなくなったというところかしら。根本的な概念自体が変質しているような感じね」
ジャック・ストーン「世界規模でのシステムに影響するかもしれない事案だ」
レベッカ・トレイシー「でもそれだけじゃない」
ジャック・ストーン「そうだな」
本間 正「というと?」
レベッカ・トレイシー「この影響は経済だとか交通だとか、そう言ったことだけではないのよ」
レベッカ・トレイシー「おそらく、世界そのもの宇宙そのものに影響を与える」
本間 正「その影響の一つがこの穴ということですね?」
ジャック・ストーン「そうだ。これが始まりとも言える」

〇怪しげな部屋
アオヤマ ユウジ(やばい!もうこんな時間かよ!)
アオヤマ ユウジ(入学式から遅刻はさすがにまずいよな)

〇おしゃれなリビングダイニング
  ユウジがリビングに入ると父親とその隣に見知らぬ女が座って朝食を食べていた
アオヤマ ユウジ「え?誰?どういうこと?」
  女も父親も何も言わずに、テレビを観ながら朝食を食べ続けている

〇荒廃した改札前
  4月6日8時16分8時16分
  現在一部の地域で原因不明の電波障害が起こっております
  付近の住民からの情報によるとデジタル機器の故障やデータ消失、データの改竄などの現象が見られるとのことです

〇ゆるやかな坂道
  次のニュースです
  東京都港区の住宅地に陥没穴が発見されました
  原因はわかっていませんが、特に負傷者はいないということです

〇暗い洞窟
  穴の直径は10メートルほど、深さに関しては確認が取れていません。警察と消防で詳しく原因を調べています
  このところ世界中でこのような陥没穴、いわゆるシンクホールと呼ばれるものが多数報道されています

〇おしゃれなリビングダイニング
アオヤマ ユウジ「なぁオヤジ!きいてんのか?」
  父親はテレビを観たまま食べ続けていた。隣の女がこちらを睨んで舌打ちしてきた
アカイ ユメ「ち!」
アオヤマ ユウジ(え〜、何で俺睨まれてんの?)
アオヤマ ユウジ(この子が誰かって言うのも気になるけど、)
アオヤマ ユウジ(何でオヤジ髪の毛赤くしてんだよ?)
アオヤマ ユウジ(それに)
アオヤマ ユウジ(何で朝からそんな甘ったるいもん食べてんだよ?)
アオヤマ ユウジ(ああ!もう時間ないわ!)
アオヤマ ユウジ「いってきます」

〇住宅街の道
  ユウジは高校の入学式に走って向かっていた
  すると前に母親と娘らしき二人組が歩いていた
アオヤマ ユウジ(ん?)
アオヤマ ユウジ(何であの親娘、後ろ歩きしてるんだ?そういう健康法か何かか?)
錦坂妙子「バビビビグラントラブりんふヴァ」
錦坂ユメ「じゅみょふりはんげるごす」
  親娘とすれ違う瞬間にこちらに向かって何か言われたが、ユウジには何を言っているのかわからなかった
アオヤマ ユウジ「すいません!ちょ、ちょっと急いでるんで!」
錦坂ユメ「じゃくぶるめりりんぐろ」
アオヤマ ユウジ(なんなんだよ?)

〇学校の校舎
アオヤマ ユウジ(ハァハァ、なんとか間に合った!)
アオヤマ ユウジ(誰もいないな)
アオヤマ ユウジ(生徒も先生もいないけど、どこに行けばいいんだ)
アオヤマ ユウジ(入学式だから体育館とかかな)

〇体育館の中
アオヤマ ユウジ(あれー?)
アオヤマ ユウジ(体育館にも誰もいない。まじか)
アオヤマ ユウジ「教室に行ってみるか? 一年の教室ってどこだ?」
アオヤマ ユウジ「むしろ職員室行った方がいいのかな?」

〇散らかった職員室
アオヤマ ユウジ(なんだよ。ここにも誰もいない)
アオヤマ ユウジ(やっぱ教室か)

〇まっすぐの廊下
  ユウジは違和感を感じていた
  何かがおかしい
  でも何がおかしいのかがわからない
  入学式なのに学校に誰もいないという事だけじゃない
  口内炎が気になるのにどこに口内炎ができているのかわからないような感じだった
アオヤマ ユウジ(ここが一年の教室か)

〇教室
  ユウジが教室に入ると二人の学生がいた
アオヤマ ユウジ「あ!やっと人に会えた!君たちも一年っすか?」
タナカ タイチ「そうだよ」
ハンダ シュウ「君も一年?」
アオヤマ ユウジ「俺も一年!アオヤマ ユウジ!よろしく!」
タナカ タイチ「タナカ タイチだ!よろしくな!」
ハンダ シュウ「俺はハンダ シュウ。よろしく!」
アオヤマ ユウジ「よかったよ。ギリギリだって思って来てみたら誰もいないからさ」
タナカ タイチ「俺たちも似たようなもんだよ」
ハンダ シュウ「ただね。ちょっとおかしいんだよ」
アオヤマ ユウジ「おかしいって?」
タナカ タイチ「ええっとアオヤマくんさ」
アオヤマ ユウジ「ユウジでいいよ」
タナカ タイチ「じゃあ俺はタイチで。そんでユウジはスマホ持ってる?」
アオヤマ ユウジ「持ってるよ?」
タナカ タイチ「ちょっと見せてもらってもいいかな?」
アオヤマ ユウジ「いいよ?」
  ユウジからスマホを受け取って画面を見たタイチはため息をついた
ハンダ シュウ「それってみんな持ってるんだ?」
アオヤマ ユウジ「まぁ、みんなってわけでもないけどね。ハンダ君は持ってないんだ?」
ハンダ シュウ「俺もシュウでいいよ!俺は持ってないっていうか、見たことも無かった!俺も欲しい!」
アオヤマ ユウジ「へー!そうか!買ったら連絡先教えてよ!」
ハンダ シュウ「おお!」
タナカ タイチ「それでさ」
タナカ タイチ「問題なのはこれなんだよ」
アオヤマ ユウジ「ん?」
タナカ タイチ「今日って何日だと思う?」
アオヤマ ユウジ「入学式だから4月6日だよね?」
タナカ タイチ「俺もシュウもそう思って来たんだけど、日付が違うんだよ」
  ユウジはスマホの日付けを見ると4月5日になっていた
アオヤマ ユウジ「え!嘘だ!そんなはずは・・・」
タナカ タイチ「こんな間違いするなんて。でもありえないんだよ」
アオヤマ ユウジ「そうだよね。昨日も日付け確認してるし、今日の朝だってテレビで日付け確認してるし」
ハンダ シュウ「三人とも間違えるっていうのはなかなかありえないよな!もしくは俺たちが相当間抜けなのか?」
タナカ タイチ「絶対ありえないんだよ!」
タナカ タイチ「俺の妹の誕生日が4月5日なんだよ。昨日妹の誕生日会開いたんだぞ!」
タナカ タイチ「俺も俺の家族も妹の友達もみんな日付間違えたなんてあり得るか?」
アオヤマ ユウジ「さすがに、それは」
  三人は沈黙した
ハンダ シュウ「またこの音。朝から鳴ってるけど何の音なんだろうな?」
タナカ タイチ「音?」
アオヤマ ユウジ「音なんて聞こえないけど?」
ハンダ シュウ「うそ?二人とも聞こえない?ゴゴゴって結構でかい音だけど?」
タナカ タイチ「いや?」
アオヤマ ユウジ「聞こえないな?」
ハンダ シュウ「えー!まじで?おかしいな。空耳?うーん?」
  ユウジは何気なく窓の外の校庭を見た
アオヤマ ユウジ「おい!みんな!あれ見てみろよ!」
  ユウジが校庭を指差し二人も外を見る
  三人が見た先には

〇グラウンドのトラック
  校庭に老人と大きなケモノがいた
  老人もケモノも微動だにしない
  空をじっと見つめているようだった
  ユウジたちも様子を黙って見ていた
  黙ってしばらく見ていたがケモノも老人も動かない

〇教室
  三人はしばらく呆然と窓の外を見ていた
アオヤマ ユウジ「あれって犬?なんかデカくない?」
タナカ タイチ「いや、あれはオオカミだよ。俺、昔家族でアラスカに行ったことあるんだけど、その時一度だけ見たことあるんだ」
ハンダ シュウ「まじで!」
タナカ タイチ「ああ、でもその時のオオカミよりもでかいんじゃないかな」
アオヤマ ユウジ「何でこんな日本の普通の学校にオオカミがいるんだろうな」
タナカ タイチ「オオカミの迫力すごくて、隣の爺さんにツッコミ入れるの忘れるよな」
ハンダ シュウ「たしかに忘れるわ」
アオヤマ ユウジ「でも本物のオオカミだったらあの王様みたいな格好したじーちゃんもやばくない?」
タナカ タイチ「確かにそうだな!とりあえず警察に電話しよう!」
アオヤマ ユウジ「なんでだ?全然繋がんない」
タナカ タイチ「俺もかけてみる」
タナカ タイチ「こっちもダメだ」
ハンダ シュウ「とりあえずあのじーちゃんに話しかけてみるか!」
  シュウは窓を開けようとした
  しかし窓は開かない。鍵が掛かっているわけでもないのに、何故か開かない。
  三人で開けようとしたがびくともしない
  窓を叩いて大声で外の老人に話しかけてみても聞こえている様子はない
アオヤマ ユウジ「なんでだよ!?」
タナカ タイチ「とりあえず下に行ってみよう」
ハンダ シュウ「そうだな!」

〇階段の踊り場
  一年の教室は三階にあった。三人は階段を急いで降りていった
  しかし降りても降りても一階に着かない
アオヤマ ユウジ「これはさすがにおかしいだろ!」
タナカ タイチ「なんか変だよな?夢でも見てるのか?」
ハンダ シュウ「夢なら誰の夢だよ!早く目を覚ませ!」
  三人は下に降りるのを諦めて外を見た
  校庭にはもう老人もオオカミもいなくなっていた
タナカ タイチ「ハァハァ、あのさ、一つ言っていいかな?」
アオヤマ ユウジ「ハァハァ、何?」
ハンダ シュウ「ハァハァ、どうした?」
タナカ タイチ「最初から気になってたんだけど」
タナカ タイチ「俺たち三人とも微妙に学ランのデザイン違くね?」

〇教室
  GOOD GENERATION
  to be continued

次のエピソード:エピソード2 Good cat

コメント

  • アシッドジャムさんこんばんは!
    タイトルのインパクトとGOODが入ったタイトル、読む前からわくわくします!
    学ランの赤ラインのデザイン、お父さんの赤毛!何か関連が?など考察しがいがありそうですね!伏線が沢山ありそうだし、イラストデザインに何かヒントがないか見ながら読めて楽しいです!

  • 最後の制服のくだりにゾワッとしました。
    時間が逆行しているようで、それだけでもないような・・・こういう不可思議なSFものは大好物です!
    散りばめられた謎がこの先どのように結びついていくのか、次回以降も楽しみにしています^^

  • これからの展開が楽しみ。女の子は。ストーリーかっこいいですね

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