エピソード2 Good cat(脚本)
〇ピラミッド
GOOD GENERATION
東十条 実篤「ふむ。面白い」
ヤギヌマ「坊っちゃま。どうなされました?」
東十条 実篤「ヤギヌマか。これを見てみろ」
ヤギヌマ「これは?」
東十条は球体をテーブルに置いた
東十条 実篤「よく見てみろ」
球体を見るとテーブルから微妙に浮いている
ヤギヌマ「これは一体?」
東十条 実篤「これは完璧な球体だ」
ヤギヌマ「完璧な球体ですか?」
東十条 実篤「球体はどんなに精巧に作ったとしても接地面をゼロにはできない」
東十条 実篤「通常は球体に微小な平面があるからテーブルに置けば接地する」
ヤギヌマ「つまりこの球体には全く平面部がないから浮いているということでしょうか?」
東十条 実篤「そうだ。完璧な曲線には接地する面がない。だからテーブルに付かずに浮いている」
東十条 実篤「普通にある球体の表面は曲面に見えるだけだ。拡大すれば微小な平面の集合でしかない」
東十条 実篤「どんなに精巧に作ったとして誤差が生じる。接地面をゼロにすることはできない」
東十条 実篤「もし作れたとしても地球の重力で歪む。だからこれが存在することはありえない」
東十条 実篤「完璧な球体に一番近いのは太陽らしいがな」
東十条 実篤「太陽の神がいる国でこんなものが発見されるというのも中々面白いじゃないか」
東十条 実篤「ヤギヌマ、レベッカ・トレイシーに連絡をしろ。彼女は今日本にいるはずだ」
ヤギヌマ「承知いたしました。何とお伝えしましょう?」
東十条 実篤「見つけたと言えばわかるはずだ」
ヤギヌマ「かしこまりました」
〇学校の廊下
三人はお互いの制服を見比べていた
確かに微妙な違いがある
アオヤマ ユウジ「みんな学校の指定通りだよな?」
タナカ タイチ「そうだな」
ハンダ シュウ「うん」
アオヤマ ユウジ「何かの手違いかな?」
ハンダ シュウ「そんなことあるのか?」
タナカ タイチ「それよりここから出ないとな」
アオヤマ ユウジ「親とか友達とかに電話してみるわ」
タナカ タイチ「俺もしてみるよ」
しかしどこにもつながらなかった
ハンダ シュウ(またあの音だ。みんな聞こえてないんだよな?どうして俺だけ聞こえるんだ)
ハンダ シュウ(なんかこっちから音が聞こえたような)
タナカ タイチ「だめだ。誰も出ないよ」
アオヤマ ユウジ「SNS経由で連絡できるかな?」
タナカ タイチ「なるほど。俺もやってみる」
アオヤマ ユウジ「うわ!何だこれ?!」
タナカ タイチ「どうした?」
アオヤマ ユウジ「フォロワーが増えてる」
タナカ タイチ「何だよ?そりゃよかったじゃん」
アオヤマ ユウジ「356万」
タナカ タイチ「え?」
アオヤマ ユウジ「フォロワーなんて昨日まで10人くらいしかいなかったのに、356万人に増えてる」
タナカ タイチ「まじ?」
アオヤマ ユウジ「まじ・・・」
アオヤマ ユウジ「何だ?」
タナカ タイチ「あれ?シュウは?」
アオヤマ ユウジ「さっきまでいたはずだけど・・・」
タナカ タイチ「さっきのシュウの声か?」
〇まっすぐの廊下
シュウは音がする方へ向かっていった
ハンダ シュウ(こっちから音がした気がするけど・・・ 気のせいか?)
ハンダ シュウ「ん? 誰かいるの?」
物音がした教室の中を覗く
〇クリスマス仕様の教室
教室の中は煙っていた
何故か季節外れな飾り付けがしてある
煙の中に人がいる
見るとそれは自分にそっくりだった
〇タクシーの後部座席
アオヤマ コウジ「お客さん、どちらまで?」
K「とりあえず首都高乗ってもらっていいかい」
アオヤマ コウジ「了解です」
Q「それで、ゴーストはどうなったの?」
K「とり逃した」
Q「なるほど。それでどうするつもり?」
K「どうもしないよ」
Q「拗ねちゃった?」
K「拗ねてはいないよ」
Q「あなたのそういうところ良いと思うわよ」
K「やれやれ」
Q「ところで、ハッキングされたのは北京?」
K「詳しいところはわかってないよ。ただゴーストを捕まえるのに力を入れてるということは、そういうことなんだろ」
アオヤマ コウジ「あれは何だ?」
〇UFOの飛ぶ空
タクシーから外を見ると空に何かが浮いていた
強い光の後、タクシーの中の3人は消えた
〇まっすぐの廊下
二人はシュウを探していた。しかし中々見つからない。
タナカ タイチ「シュウのやつどこ行ったんだよ?」
アオヤマ ユウジ「この学校の構造どうなってんだろうな?なんかさっきから同じ所をぐるぐる回ってるような感じだし」
タナカ タイチ「そうだよな。上に行っても下に行っても終わりがないなんて。外から見た感じだと3階くらいしかなかったような気がするけど」
アオヤマ ユウジ「そういえばタイチは元々シュウと知り合いだったのか?」
タナカ タイチ「いや、そんなことないよ。今日初めて会った。何で?」
アオヤマ ユウジ「なんとなくそういう感じがしたってだけだよ」
タナカ タイチ「そっか。でも不思議とシュウともユウジとも気が合うような気がしたよ!」
アオヤマ ユウジ「そっか!俺もだよ!」
タナカ タイチ「ん?なんか音楽聴こえね?」
アオヤマ ユウジ「ほんとだ?聴いたことある曲だな」
音楽は教室の中から聞こえる。美術室と書かれていた。二人は中に入る
〇美術室
美術室の奥の方から音がしていた
音楽はスマホの着信音だった。
アオヤマ ユウジ「スマホか。電話かかってきてるな」
タナカ タイチ「学校の外と連絡が取れるかも・・・」
タイチは少し躊躇したが、スマホを手にとり通話をスライドさせた
タナカ タイチ「もしもし」
タナカ タイチ「あ!えっと。 Could you speak more slowly, please?」
タナカ タイチ「Yes・・・ Why?」
タナカ タイチ「Who are you?」
タナカ タイチ「え?really?ちょ!」
タナカ タイチ「切れた・・・」
アオヤマ ユウジ「なになに?なんで英語?英語喋れるの?」
タナカ タイチ「いや、喋れるってほどじゃないけど。子供の頃にアメリカに住んでたからさ」
アオヤマ ユウジ「へー!英語!カッケー!」
タナカ タイチ「でも、意味わかんない電話だったな」
アオヤマ ユウジ「いたずら電話?」
タナカ タイチ「いや、そうとも言えない」
アオヤマ ユウジ「どうゆうこと?」
タナカ タイチ「オオカミと王様を見たか?って訊かれたんだよ」
アオヤマ ユウジ「まじ?この学校にいるのか?」
タナカ タイチ「相手が言ってたことが本当なら日本にはいないと思うけどな」
アオヤマ ユウジ「電話の相手は名乗ったのか?」
タナカ タイチ「ああ」
アオヤマ ユウジ「なんて?」
タナカ タイチ「オリバー・アンダーソン アメリカ合衆国大統領だってさ」
〇休憩スペース
鮫島「やれやれ」
宮田「先輩、どうしました?」
鮫島「喫煙所が消えた」
宮田「なるほど。それは事件ですね」
鮫島「刑事とタバコはセットだろうが!冗談じゃない!」
宮田「僕はやめましたよ」
鮫島「そんなんで捜査ができるかよ」
宮田「時代の流れですよ。負け戦はしない主義なもんで」
鮫島「そうかよ・・・」
宮田「錦坂さんのことは聞きましたか?」
鮫島「聞いたよ。たく、あのやろう」
宮田「結局どういうことだったんですか?」
鮫島「ノイローゼだよ。嫁と娘がよくわからない言葉で話し出したんだと」
宮田「なんなんですかね?」
鮫島「知らねぇよ。お陰で皺寄せがこっちに来てんだろ」
宮田「僕の方にも来ましたよ」
鮫島「老人が大勢失踪したっていうやつだと。何で最優先なんだ?」
宮田「総務省からのお達しらしいですね」
鮫島「はあ?総務省だと?何でそんなとこが出てくんだよ?」
宮田「さぁ?そこまではわかりませんね」
〇美術室
タナカ タイチ「これからどうすっかな〜」
アオヤマ ユウジ「だな〜」
タイチは窓の外を見ていた。道路が見えたが誰も歩いていないし車も通っていない。普段なら交通量はそこそこある道だった
ユウジは美術室の中にある絵を何気なく見回していた。その中に気になる絵があった。それは女の子が描かれた絵だ。
アオヤマ ユウジ「この子知ってる!」
タナカ タイチ「急にどうした?」
アオヤマ ユウジ「この絵だよ!」
ユウジは女の子の絵を指差した
〇村に続くトンネル
〇美術室
タナカ タイチ「この絵の子がどうした?」
アオヤマ ユウジ「今日の朝、俺の家で朝飯食べてた子だよ!」
タナカ タイチ「朝飯?」
アオヤマ ユウジ「そう!うちの親父と一緒に朝からパフェ食ってた!」
タナカ タイチ「朝からパフェって、」
アオヤマ ユウジ「あの子は誰だったんだろう・・・」
タナカ タイチ「他の家族の知り合いとか?」
アオヤマ ユウジ「うちは俺と親父だけ。まさか親父の新しい彼女?!」
タナカ タイチ「ユウジの親父さんすげーな」
アオヤマ ユウジ「さすがにあんな若い子。俺と年そんなに変わんなそうだったし」
アオヤマ ユウジ「静かだな」
タナカ タイチ「だな」
ロッカーから物音がした
タナカ タイチ「何だ?!」
アオヤマ ユウジ「誰かいるのか?」
ロッカーの扉が開いた。中からシュウが出てきた
ハンダ シュウ「わぁぁ!」
タナカ タイチ「シュウ!どこ行っていたんだよ!?」
アオヤマ ユウジ「探したぞ!」
ハンダ シュウ「なんか気がついたらこの中にいた」
タナカ タイチ「おいおい泣くなよ」
ハンダ シュウ「急に真っ暗でめちゃくちゃ怖かった」
〇アパートの中庭
神林 寛三「今日は気持ちいい天気だな!」
神林 寛三「ん?」
神林 寛三「何だあれは?」
庭に穴があるのを見つけた
神林 寛三「誰だ穴なんぞ掘って!」
神林 寛三「妙だな」
神林 寛三「穴を掘った時の土がない」
神林 寛三「うわ!」
穴が勝手に少し大きくなった
神林 寛三「どうなってるんだ?」
神林 寛三「埋めた方がいいな」
神林 寛三「おわ!」
穴から何かが飛び出した
神林 寛三「まさか」
ミミ「ニャー!」
神林 寛三「猫?」
神林 寛三「この首輪は!そんなバカな!」
神林 寛三「おい!ちょっとこっちきてくれ!」
神林 美津子「あんたどうかしたの?」
神林 寛三「ほら!ミミだよ!10年前にいなくなったミミだ!」
神林 美津子「そんなわけ・・・ あら本当にミミちゃんそっくり!? でも似てるだけなんじゃない?」
神林 寛三「これを見てみろ!」
神林 美津子「それは!」
神林 寛三「特注の首輪だぞ!ここにミミって書いてある!うちの住所もな!」
神林 美津子「信じられないけど。でも帰ってきてくれたのね!おかえりミミちゃん!ママは嬉しいわよ!」
神林 寛三「しかしこの穴はなんなんだ?おまえ知ってるか?」
神林 美津子「穴?あら本当に穴がある」
神林 寛三「この穴からミミが出てきたんだよ」
神林 美津子「ええ!」
穴はまた少し大きくなった
神林 寛三「おわ!まただ!この穴大きくなってやがるんだよ!」
ミミ「ニャ!」
〇暗い洞窟
to be continued