Amen(脚本)
〇草原
慈しみ深き友なるイエスは、罪とが憂いを取り去りたもう
心の嘆きを包まず述べて、などかは下ろさぬ負える重荷を
〇渋谷の雑踏
慈しみ深き友なるイエスは、我等の弱きを知りて憐れむ
悩み悲しみに沈める時も、祈りに答えて・・・
『ギャハハハハハ!』
〇教会の中
マダムL「あんたも言う時は言うわねえ~!」
マダムM「そしたら旦那ったら真っ青になって・・・」
マリア「・・・」
〇田舎の教会
『祈りに答えて・・・どうしてくれるんだっけ?』
〇歌舞伎町
武藤「・・・」
ヤカラ「お、まだ倒れねーんだ。粘るねー」
ヤカラの女「ね~もう止めたげなよ~。可愛そうだよ~」
ヤカラの女「からの~」
ヤカラ「オラァ!」
武藤「・・・」
ヤカラ「オッケー!クリア!」
ヤカラ「釣りいらねーから」
ヤカラの女「カッケー!」
武藤「・・・ありがとうございました」
慈しみ深き友なるイエスは、変わらぬ愛もて導きたもう
武藤「・・・歌?」
武藤「いよいよ頭おかしくなっちゃったか」
〇教会の中
マリア「世の友我らを棄て去る時も、祈りに答えて・・・」
マリア「祈りに答えて・・・」
マリア「・・・」
マリア「AMEN!」
〇歌舞伎町
あなたのパンチ受け止めます。
千円均一(男性一発。女性二発)
武藤「いらっしゃいませ・・・」
武藤「いらっしゃいませ・・・」
武藤「・・・」
武藤「そろそろ死のうかな」
武藤「・・・つって」
〇黒
場末ノZ
〇綺麗な港町
愛「観光客のみなさーん!御光(ごこう)町へようこそー!」
美咲「ちょっと止めてよ!マジ恥ずかしいし!」
拓也「ひゃははは!いいぞもっとやれ!」
愛「町のPRじゃ~ん!きゃはは!」
マリア「・・・」
〇荒れた公園
美咲「せーの!ドーン!」
凌平「お、いいパンチ」
凌平「当たればね~」
拓也「んだよ、本気出すぞコラ」
マリア「ぷは~」
愛「マリ~降りてきなよ~花火しようよ~」
美咲「アンタはうちらにしか見えない妖精かー?」
マリア「やめなよーきんじょめいわくだよー」
美咲「感情ゼロだし」
拓也「ボディーガラあき~!」
凌平「いって~」
凌平「うっぜ!お前うっぜ!」
愛「ジャングルジムから降りないと芸名で呼んじゃうぞ~」
愛「シスターマリアー!」
マリア「芸名って言うな」
愛「お!」
愛「カワイ子ちゃんはっけ~ん!」
凌平「あ?」
拓也「あ?」
凌平「やんのか?」
拓也「殺すよ」
凌平「あ?」
拓也「あ?」
美咲「もー!すぐバトるー!」
美咲「はいはい何があった?お姉さんに話してみ」
愛「段ボールのおうち狭いよねー」
愛「でもウチ、マンションだからアレなんだー」
愛「はいどんどん食べて~。うめやふやせや~」
愛「あーっ!」
愛「ちょっとオジサン!」
???「え?」
美咲「なに?今度そっち?」
愛「オジサン?オジイサン?」
拓也「どーした?」
愛「どっちでもいいけど、ここゴミ箱じゃないんですけど。この子のおウチなんですけど」
???「す、すいません」
愛「空き缶ポイ捨てなんてダメでしょ。常識でしょ」
???「常識・・・」
『花火禁止!』『野良猫の餌やり禁止!』
???「・・・」
愛「だ、だからなんなのよ~!」
美咲「え?何その攻撃?」
凌平「オイオイ、俺ら喧嘩売られてる?」
拓也「売ってるよねオッサン」
???「喧嘩・・・って?」
拓也「オッケー。舐めてるね」
拓也「はい死んだァ!」
拓也「・・・んだよ」
凌平「うわ!よけられてやんの!寒っ!」
拓也「おい俺がスベッたみてーじゃねーかよ!」
???「・・・うう」
拓也「大人しくボコられろや!」
凌平「おい、もうやめとけって」
???「ううう・・・」
〇モヤモヤ
???「ううう・・・ううう・・・」
〇荒れた公園
???「ううう・・・」
凌平「お、おい何かヤベえよコイツ。行こうぜ」
拓也「気持ち悪いんだよ!」
???「ううう・・・」
美咲「ちょ、這ってる這ってる!キモイ!」
愛「マリー!行くよー!」
マリア「何やってんのよもう!」
???「ううう・・・」
「ううう・・・」
マリア「・・・」
マリア「あの、大丈夫ですか?」
「ぐあああ・・・!」
マリア「・・・!」
マリア「だ、大丈夫ですか!大丈夫ですか!」
Z「・・・」
マリア「え?」
Z「あああ・・・あああ・・・」
マリア「いやあああーっ!」
Z「・・・」
Z「・・・?」
〇車内
愛「歌かけてよー」
美咲「なんか冷めちゃった。どうするこれから?」
愛「歌かけてよー」
凌平「解散でいいんじゃね?」
愛「歌かけてよー」
拓也「じゃあ解散ね。お疲れー俺ー」
凌平「お疲れじゃねーよ。運転代われよ」
愛「デデデデデン。クッキー1等チョコレート2等3時のおやつに」
マリア「ゾンビ」
愛「ゾンビ?」
マリア「・・・何でもない。疲れてるだけ」
マリア(疲れてるだけ。この町の全部に・・・)
〇病院の診察室
Z「・・・」
毒取「お帰り」
毒取「・・・くらいは言ってやろう。一応な」
Z「・・・」
毒取「どうした?窓に何か映ってるか?」
Z「・・・」
毒取「じゃあ、診るぞ」
Z「あ・・・ああ」
毒取「何だ?」
Z「あああ・・・」
〇寂れた雑居ビル
「ほら~見てみ~」
〇レトロ喫茶
「どこがゾンビなの?普通に白髪のオッサンじゃん」
マリア「あれ?確かにあの時、顔グチャグチャで」
マリア「目とかも飛び出してて、口も裂けてて」
美咲「てかあんたいつ動画なんて撮ってたの?」
愛「だって変質者じゃん。晒さないと」
美咲「殴ってんのこっちだよ。炎上するよ」
愛「え?変質者って殴っても罪にならないんじゃないの?」
マリア(そうよね。やっぱいつも『アレ』か)
マリア「ごめんね。変な話して」
〇原宿の通り(看板無し)
美咲「大体さ、疲れすぎなのよ」
愛「そうそう。ドスッピンで街歩くんじゃない」
マリア「いいの。仕事前に仕上げるから」
愛「お!『愛しの君』はっけーん!」
マリア「言い方」
愛「で、そろそろ声くらいかけたの?」
マリア「ふ、普通に歌、聴いてるだけよ!声かけるとか意味分かんないし」
奏太「?」
マリア「!」
美咲「と、いいつつ影に隠れる」
愛「やっぱ眉毛くらい書いとけば良かったんじゃな~い?」
マリア「住む世界が違うの。ああいう人と私は」
美咲「ホラ見とれてないで。お勤め遅れるよ」
マリア「じゃあね」
愛「頑張ってね。シスターマリア」
愛「シスターか・・・」
愛「『セイ』職者も大変だ」
愛「ゾンビの幻覚見るなんて。クスリでもキメてたりして」
美咲「そういうこと言わない。友達でしょ?」
愛「え?友達なの?」
美咲「友達なの?」
〇入り組んだ路地裏
マリア「・・・」
御影町の住人「あ~シスターだ~。一緒に飲もうぜ~」
御影町の住人「教会まで送ってやろうか~?」
御影町の住人「シスタ~。慰めてくれよ~」
〇水玉2
『シスター』『シスター』『シスター』
『シスター』『シスター』『シスター』
『シスター』『シスター』『シスター』
〇時計台の中
『いーつくしみふかーきとーもなるイェスはー』
『つーみとがうれいーをーとーりさりたもうー』
『かでとらるNO1シスター!マリア!』
ファン「おおあの鍛え上げられた肢体。まさに女神」
ファン「うるせえよ!黙ってろ!」
ファン「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
手下「ダンスパート、随分長いですね」
塚越「結構じゃないか。盛り上がってるんだから」
手下「ちょっと甘やかしすぎじゃないですか?」
手下「あれも所詮ただのストリッパーなんですよ」
塚越「ただの?」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)
不思議な世界感から、少しひもが解ける女性とZのぶつかる物が、散るごとに心を揺さぶりました
こんばんは!面白かったです^^
最期の花束を何度も差し出すシーン、とても素敵でした!
初めマリアがZに対して反発したのは、これほど似通った感受性をもっていることに、まるで自分を鏡でみているようだったからなのでしょうね。とことん悲しい愛がとても二人にふさわしく感じます。