〇教室
　　【連続ドラマ】二面教師
天崎太陽「あーあ、バレちゃったか。 俺が昔、詐欺師だったってこと」
園山リカ「なんで嘘ついてたの？」
園山リカ「先生、ここに来る前は隣町で塾講やってたって言ってたよね？」
天崎太陽「ふふっ、可愛い君と仲良くなりたかったからね」
園山リカ「・・・・・・ねえ」
園山リカ「私のこと、少しは好きだった？」
天崎太陽「ん？どういうこと？」
園山リカ「それとも子供だからってバカにしてたの？」
天崎太陽「へぇ？俺の君への気持ちまで疑うんだ」
天崎太陽「今まで一緒に過ごした時間も、交わした言葉も、全部が嘘だって言いたいのかな？」
園山リカ「ちゃんと答えてよ、はぐらかさないで」
園山リカ「私のこと、少しは好きだった？」
天崎太陽「うん。 可愛い君のことが、俺は本当に──」
天崎太陽「大嫌いだったよ」
園山リカ「・・・・・・そっか、うん。よかった」
園山リカ「最後に、嘘つきの貴方から・・・ 本当の言葉が聞けて」
園山リカ「さようなら」
天崎太陽「はははっ、君に嫌われたくなくてついた嘘だったのに」
天崎太陽「嫌われちゃったなぁ」
天崎太陽「あれで最後にしようって決めていたのに」
天崎太陽「ついちゃった、君に２回目の嘘」
天崎太陽「大っ嫌いだ・・・キミの事なんて」
天崎太陽「大嫌いだ」

〇撮影スタジオのセット
監督「はい、カットー!! 今日の撮影はここまで！」
監督「今の演技凄くよかったよ！」
天崎太陽「ありがとうごさいます・・・」
スタッフ１「やっぱ天崎くんにハマり役だよね！ 裏表のある役!!」
スタッフ２「わかる、全天崎ヲタが見たい天崎くんだったわ」
スタッフ２「てか、小野がマネージャーになってから、天崎くん仕事増えたよね」
小野 楓「ありがとうございます!!」
小野 楓「私の使命ですから！ 天崎さんを人気者にするのは！」
スタッフ１「仕事熱心だねぇ、小野は」
小野 楓「ふっふっふ～、マネージャーたるもの天崎さんの一番のファンで一番良さを理解していなくてはいけませんからね！」
天崎太陽「マネージャー」
小野 楓「私が天崎さんをこの勢いで一気にトップ俳優へと・・・―」
天崎太陽「おい、聞いてんの？」
小野 楓「わっ！すみません!!」
天崎太陽「早く帰りたいんだけど。 俺の荷物どこ？」
小野 楓「お疲れ様です！ すぐにお持ち致します！」
天崎太陽「はあ・・・話あるからこっち来て」
小野 楓「はっ、はい！」
スタッフ２「あ、小野が連れてかれちゃった・・・」
スタッフ１「天崎くん、顔は良いんだけどねぇ・・・」
スタッフ２「うんうん。 でも、性格にちょっと難があるよね・・・」

〇川に架かる橋
小野 楓（今日も遅くなっちゃったな・・・）
小野 楓（でもでも、もっと頑張らなきゃ！）
小野 楓（デビュー時から応援してた推しのマネージャーになれたんだから！）
小野 楓（それに、なんやかんやあって・・・ー）

〇玄関内
小野 楓「ただいまー！」
天崎太陽「おかえり～！」
天崎太陽「撮影終ったあと、僕言ったよね？ 今日は早く帰って来てって」
小野 楓「ご、ごめん。 仕事が長引いちゃって・・・」
天崎太陽「ううん、謝らないで。 僕のために頑張ってきてくれたんだよね」
天崎太陽「でも、頑張りすぎないでね」
天崎太陽「君が僕のことを大切に思ってくれているのと同じくらい」
天崎太陽「いや、それ以上に・・・ー」
天崎太陽「僕は君のことが大切で、大好きだから」
小野 楓「あ、ありがとう」

〇高級マンションの一室
小野 楓「ごちそうさまでした」
天崎太陽「どうどう？ 今日は早く帰れたから君の好きなハンバーグを作ったんだ～♪」
小野 楓「すっごく美味しかったよ！」
天崎太陽「ほんと!?よかった～」
小野 楓「私、毎日こんなに天崎くんに甘やかされてていいのかな・・・」
天崎太陽「甘やかしてるつもりはないけど、君がそう思ってくれているなら嬉しいな」
小野 楓「どういうこと？」
天崎太陽「直近の僕の目標は、君を・・・」
天崎太陽「もう２度と、僕以外の奴と付き合えないくらいダメにすることだから」
天崎太陽「僕の大好きが君にちゃんと伝わるように、言葉以外でも伝えたいからね」
天崎太陽「だからまずは胃袋をがっちりつかもうと思って・・・なんてね！」
小野 楓「・・・・・・」
小野 楓（そんなことされなくても私は・・・）
天崎太陽「僕の顔ジッと見つめてどうしたの？」
小野 楓「あ、えと、笑顔が素敵だなって思って・・・」
天崎太陽「ふふっ、なにそれ」
天崎太陽「それならもっと近くで見せてあげる」
天崎太陽「ほら、僕の膝の上、空いてるよ。 こっちおいで？」
小野 楓「う、うん」
天崎太陽「素直でよろしい～。いい子、いい子」
　　天崎くんの膝の上に座すと、後ろから優しく抱きしめられた。
天崎太陽「そういえば、あの詐欺師の役、僕にハマってるって言ってたよね？」
天崎太陽「そんなに僕って信用のない男なの？」
小野 楓「や、えっと、そういうわけじゃないんだけど」
小野 楓「天崎くん、現場ではあんまり笑ったりしないし感情が読めないって言うか」
天崎太陽「だって、君と２人きりの時しか楽しくないんだもん、僕」
小野 楓「それに、やっぱり私は騙されてるんじゃないのかなーとか思っちゃってて」
小野 楓「推しのマネージャーってだけでも夢みたいなのに、その・・・」
天崎太陽「推しの女になれるなんてもっと夢みたい??」
小野 楓「う、うん・・・」
天崎太陽「はぁ・・・」
天崎太陽「僕は君のものなのに、君は全然僕のモノになってくれない」
天崎太陽「どうすれば僕のことを好きになってくれる？」
天崎太陽「信じてくれる？」
小野 楓「だ、大好きだよ！ デビューした時から天崎くんのこと追ってるし・・・」
天崎太陽「本当に？」
天崎太陽「顔を逸らさないで、ちゃんと僕の目を見て」
小野 楓「本当だってば・・・」
天崎太陽「僕が言ってるのは、『推し』としてじゃなくて」
天崎太陽「男として、人間としてオレのことを好きになれって言ってんの」
天崎太陽「その『天崎くん』って呼び方もすげー距離感じんだよねぇ、僕」
小野 楓「えっと・・・じゃあ・・・」
小野 楓「太陽くん・・・」
天崎太陽「うん、よくできました♪」
天崎太陽「ちゃんと僕のマネージャーとして、彼女として、一番近くで見ていてね」
天崎太陽「僕が有名になって、君を幸せにするその日まで」