りんぐ~シャダ子の肝試し~

moyushi

最初で最後の肝試し(脚本)

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〇お化け屋敷

〇怪しげな部屋
シャダ子「う~ら~め~し~や~」
カップル女「キャー!」
カップル男「大丈夫だって、お化け屋敷だから。 ほら。俺の手握って?」
カップル女「うん・・・!ありがと!」
  イチャイチャ
シャダ子「ふぅ」
シャダ子「(実は私は本当にお化けなんだけどね)」
新太「ちっす」
シャダ子「新太(あらた)君、また遅刻だよ?」
新太「いいんすよ。 どうせこんなとこ来るカップル、イチャつきたいだけですから」
新太「この前なんか俺が指パッチンしただけで女が怖がって彼氏に抱きつきましたよ?」
シャダ子「女はそういう生き物なのよ」
シャダ子「っていうか指パッチンなんかで仕事済ませないで」
新太「『怖かった~~』」
新太「『よしよし』」
新太「『キュン♪』」
新太「じゃねーよ。 マジ理解不能」
シャダ子「キュンキュンできるうちが女の華なんだから」
シャダ子「(ユーレイになったらキュンと動く心臓も無くなっちゃうんだから)」
新太「ってか先輩、いつも全力で仕事しますよね」
シャダ子「新太君はしなさすぎ」
新太「だって驚かせたからってバイト代上がるわけじゃないし」
シャダ子「・・・よし。分かった」
新太「何が?」
シャダ子「新太君は一度お化けの怖さに触れる必要があるわね」
新太「そんなもん信じてねーっすよ」
シャダ子「今日のバイト終わり、ちょっと付き合ってよ」
新太「え~」
シャダ子「先輩命令だぞっ」
新太「仕方ないっすね。 この辺で先輩にも媚び売っとくか」
シャダ子「聞こえてるぞ! あ、お客さん来たよ。せーの、」
「う~ら~め~し~や~」
カップル女2「・・・プッ!うらめしやだって!」
カップル男2「いまどきそんなセリフ言うお化け屋敷あるんだな!」
シャダ子「(そんなセリフ言ってる私は本物のお化けですけど?)」
新太「うーん。今日も指パッチンでいーか」
シャダ子「・・・」

〇墓石
シャダ子「どう?雰囲気あるでしょ?」
シャダ子「(私が住んでる墓地よ。ユーレイ友達の力も借りてビビらせてやるんだから!)」
新太「そっすね」
シャダ子「さぁ行くわよ!」
  テクテクテク
新太「先輩はユーレイ信じてるんすか?」
シャダ子「(信じてるも何も・・・)」
シャダ子「そうね。 やっぱりお化け役として信じないわけにはいかないわね」
新太「そーゆーもんすかね」
伽耶っ子「(お~い。シャダ子~)」
シャダ子「(伽耶っ子!いいところに! 今からそこの墓石でドミノしてちょうだい!)」
伽耶っ子「(そんなことしたらバチあたるよ~)」
シャダ子「(私たちユーレイに当たるバチなんか無いわよ)」
新太「どうかしました?」
シャダ子「い、いや、あそこ嫌な感じがするな~って思って。 ちょっと見てきてくれない?」
新太「はぁ。 まあいいですけど」
シャダ子「(伽耶っ子!行ったわよ!)」
伽耶っ子「(も~扱いが雑なんだから~)」
新太「ここですか?」
伽耶っ子「(仕方ないな~。えい!)」
  バタバタバタバタ!
シャダ子「(よし!)」
新太「・・・」
シャダ子「あ、あの・・・新太君? 怖かったね、急に墓石倒れて」
新太「・・・どうせ倒れるようになってたんでしょ? ほら、直しますよ」
シャダ子「え? いや、今のはユーレイの力が・・・」
新太「こんなことしてるとバチ当りますよ? まぁ俺はバチあたりも信じてないですけど」
シャダ子「・・・ごめんなさい」
伽耶っ子「(・・・ごめんなさい)」
新太「よし、こんなもんか。これで終わりですか?」
シャダ子「ま、まさか! 奥にもっと怖い場所があるのよ!」
新太「今度は被害が無いやつにしてくださいよ」
シャダ子「うん・・・ってわざとじゃないから!」

〇枯れ井戸
シャダ子「(その後、多くのユーレイの友達に手を借りるも徒労に終わった)」
シャダ子「(この子・・・恐ろしい子!)」
新太「終わりっすか?」
シャダ子「(もう残っている手(ユーレイ)は無いわ・・・)」
シャダ子「そうね、かなり奥まで来ちゃったし、 そろそろ戻ろうか?」
シャダ子「それにしても新太君、ホントに怖くないんだね」
新太「先輩の企みかと思うと勝手に怖くなくなるもんですよ」
シャダ子「(・・・クッ! 実際には本物のユーレイ現象なのに!)」
新太「?」
シャダ子「どうしたの?」
新太「奥のあの井戸は見なくていいんですか?」
シャダ子「!」
シャダ子「あ、あれはやめといたほうがいいんじゃないかな? 今までで一番強い邪気が出てるかも・・・」
新太「? なら余計俺のこと怖がらせられるんじゃないですか?」
シャダ子「い、いや それはその・・・」
新太「・・・」
  テクテクテク・・・
シャダ子「ちょ、ちょっとぉ」
新太「!!!」
新太「人の爪が落ちてる・・・」
シャダ子「(私の生きてた頃の爪だ・・・)」
新太「もしかしてこの井戸の中に・・・」
シャダ子「! 新太君どうする気!?」
新太「もし誰かいたら助けなきゃ!」
シャダ子「し、死んじゃってるに決まってるじゃん。 この爪かなり古いよ?」
新太「見てみなきゃわかんないでしょ?」
シャダ子「分かるよ!!」
新太「? なんで先輩が分かるんですか?」
シャダ子「! いや・・・それは・・・」
新太「とにかく見てきます」
シャダ子「危ないよ!」
シャダ子「(嫌、だって下には・・・)」
  ・・・
シャダ子「新太君! 戻ってきて!」
  ・・・
シャダ子「新太君?」
新太「・・・人骨があります」
シャダ子「あ」
シャダ子「(・・・だから見られたくなかったのに)」
シャダ子「(私のカラダ・・・気持ち悪いよね・・・)」
新太「・・・」
シャダ子「?」
新太「ウッ・・・ウッ・・・」
シャダ子「新太君?」
新太「この人・・・ここで誰にも気づかれずに死んじゃったのかな・・・」
シャダ子「・・・」
新太「俺がもっと早く先輩出会って肝試ししてたら助けられたのかな・・・」
シャダ子「・・・」
シャダ子「ううん。新太君のせいじゃないよ」
シャダ子「(私は昔、この井戸で死んじゃっただけなの)」
新太「なんでだろう・・・先輩の声聞くと・・・涙が止まらない」
新太「ウッ・・・ウッ・・・ ウワーーーン!」
  ドキッ
シャダ子「(嘘・・・私今ユーレイなのにドキッとした・・・? 心臓の音なんか聞こえないのに・・・)」
新太「ウワーーーン!センパーーイ!」
シャダ子「・・・」
シャダ子「(ずっと不思議だった。 恨みがあるわけじゃないのに、なんで成仏しないんだろうって)」
シャダ子「(もしかしたら・・・私は今日のためにユーレイになったのかもしれない)」
新太「ウワーーーン!どうやって上に戻るのーー!」
シャダ子「そっち!?」
シャダ子「ウフフ」
シャダ子「(・・・キュンとしちゃった♪)」
新太「ウワーーーン!」

コメント

  • 幽霊と相性のいい人間、二人の関係がはじめはとにかくコミカルで面白く楽しかったけど、シャダ子がキュンとしたところから少し幽霊の哀愁を帯びていて、彼女の叶わぬ想いにこちらがキュンとさせられました。

  • 幽霊と人間との交流って、読んでて楽しかったです。
    幽霊さんはあそこの井戸で亡くなったんですね…それに涙を流す彼の優しさが心に染みます。

  • 楽しかったです、まさか本物がバイトするなんて、、、面接とかどうやった?とか色々イメージしました。笑いました、発想が素敵ですね。

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