ぼくらの就職活動日記

大杉たま

エピソード7(脚本)

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〇広い改札
真田紅音「なんだ、これ・・・」
若山柿之介「お祭りだべか?」
真田紅音「たくさん人がいたらなんでもお祭りだと思うのやめろ」
駅員「えー、エリートピア選考のため、当駅ただいま乗車規制をさせていただいております」
駅員「一度にお乗りいただけないため、順番に案内しております。列になってお並びくださいますよう、お願いいたします」

〇広い改札
若い会社員「えー、なんだよこれ」
中年会社員「毎年のことだよ。昔エリートピアの受験生が駅で押し合って怪我人がでてから、選考会の日は規制かけてんだよ」
若い会社員「どんな影響力だよエリートピア」
中年会社員「あそこの受験生はどいつも目がギラついているからな、こんぐらいしないと押さえらんねえんだろ」

〇広い改札
  チラリと腕時計を見る紅音(くおん)。
  『12:25』の表示。
若山柿之介「待ってる間、おらの村の歌でも歌うべ」
真田紅音「ばか。新大久保まで20分、すんなり行ってもギリギリなのに、こんなの待ってたら確実に間に合わない」
  紅音、あたりを見回すと、学生たちがスマホで電話している。
「あ、お母さん、すぐ来て。 うん、そう、水道橋」
「悪い、ちょ、水道橋まで来て。 お、動画見てた? さすが心の友よ」
真田紅音「・・・っ」
若山柿之介「おらたちも、車がいいべか?」
真田紅音「そんなのはわかってる!」
若山柿之介「あ、紅音さ!」

〇駅前ロータリー(駅名無し)
  タクシーを見かけるたびに声をかける紅音。
  しかし、どれも人が乗車している。
真田紅音「くそ」
若山柿之介「父ちゃか母ちゃは、車運転できねのが?」
真田紅音「どうせ今から呼んでも間に合わない」
真田紅音「ああやって呼んでる奴らは、事前に親が車で近くに待機してるんだよ、少しは考えろ!」
若山柿之介「紅音さ、落ち着くべ。 梅干しでも食って」
真田紅音「とりあえず、新大久保方面に向かおう。 途中でタクシーを拾うんだ」
真田紅音「駅付近でなければ、きっと拾える」
若山柿之介「あ、紅音さ、その途中にスカイタワーは何本あるだか」

〇繁華な通り
  全力疾走している紅音と柿之介。
真田紅音「ハァッ・・・ハァッ」
若山柿之介「紅音さ、大丈夫だか?」
真田紅音「か、柿之介、なんで、そんなに、余裕、そうなんだ」
若山柿之介「いやー、山と違って平らだし、空気も薄くねえ」
若山柿之介「うまぐはねえけどな」
  紅音、立ち止まると、ガードレールにもたれかかって腕時計を確認する。
  『12:45』の表示。
真田紅音「・・・あと15分」
  道路を見ると、タクシーが走っている。
  表示に『空車』とある。
真田紅音「あ、た、タクシー」
浅野祐二「ヘイ、タクシー!」
真田紅音「ちょ、あ、浅野くん」
浅野祐二「あー、紅音くん、奇遇だねぇ」
真田紅音「君も会場に向かうんだろ、場所はわかってるの?」
真田紅音「まあ、僕はわかってるから、よければ案内して——」
浅野祐二「いやいや、紅音くん勘違いしてるって」
浅野祐二「僕ね、もう『合格者発表』で落ちてるんだわ」
真田紅音「そ、そうなんだ」

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