ファーストラブ セカンドチャンス

Oz

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〇男の子の一人部屋
コーヘイ「あぁぁーやっちまったなぁぁー・・・ ぅうう・・・マジかぁ・・・」
  夏休みも終盤に差し掛かった、
  とある昼下り。
  俺は自室のベッドで頭を抱え、
  文字通り悶絶していた。
コーヘイ「あーーなんで・・・ いきなりあんなこと言っちまったんだ・・・」
コーヘイ「はぁ・・・やっちまったなぁ・・・」
  ここ数日、同じ呟きを繰り返しながら、のたうち回っている。
  なんでこんな状況になっているかというと・・・

〇神社の出店
  それはクラスの仲のいい連中と、
  夏祭りに出掛けた時の話だ。
  メンバーの中には、俺が想いを寄せているマサミもいた。
  マサミとは4月に同じクラスになって、初めて喋るようになったが、
  これがまあ何というか、10年来の親友かと思うくらいに波長というか、ノリが合った。
  くだらない話を毎日するようになり、
  何人かで放課後遊びに行くようにもなった。
  仲良くなるのも・・・好きになるのにも
  大して時間はかからなかったな。
  ただ、生まれてこの方、
  彼女なんて出来たことのない俺には、
  告白しようにも作法?もわからないし、
  そもそもそんな勇気も持ち合わせていない。
  そんな悶々とした気持ちを抱いていたせいだろうか・・・
  
  この日、俺の口はまさかのセリフを滑らせた。
コーヘイ「俺と付き合っちゃう?」

〇神社の出店
コーヘイ「俺と付き合っちゃう?」
  どんな話の流れでこんなセリフが出てきたのか、全く憶えていない。
  クラスメイト達がめいめい出店へ買い物に散っていき、ふと二人きりになった時の出来事だった。
コーヘイ「(なぜそんなことを言った!?)」
コーヘイ「(だが待てよ・・・ 考えようによってはこれはチャンスだ!)」
  どうやって告白すべきか?
  悩んでいたのに、うっかりポロッと告白出来てしまった!
  若干チャラ男のような告白になってしまったのは気になるが・・・
コーヘイ「(向こうも、俺のこと嫌いではないはず! 普段アレで嫌われてたならば、もう人間なんて誰も信じられない)」
  頭の中はパニックと冷静のあいだを行ったり来たりしながら、マサミの反応を待つ。
  さすがに顔は見れない。
マサミ「・・・」
マサミ「・・・・・・」
マサミ「・・・・・・・・・」
コーヘイ「(え、ひょっとして・・・ これはどうやって断ろうか考えてる!?)」
クラスメイト「おーい、お待たせ!」
  そこでクラスメイト達が戻ってきてしまい、
  結局、返事を聞くことは出来なかった・・・

〇男の子の一人部屋
コーヘイ「はぁー・・・ 面と向かってフラれるよりは、 まだ良かったのか?」
  確かにそれはそれでダメージがデカい。
コーヘイ「ノリみたいな感じで、言っちゃったのも 良くなかったよなー」
コーヘイ「そもそも向こうにとっては、 ただの友達だったか!?」
  しかしどこか、
  「急に言われたので驚いて返事ができなかった説」
  を採用したい自分もいる。
  だが改まって
  「こないだの返事は?」
  なんて訊ねる勇気はそれこそ無い。
コーヘイ「何かいい方法はないか・・・」
  都合のいいタイムリープや繰り返しの能力なんて、もちろん俺にはない。
  でも何とかもう一度チャンスを・・・!
コーヘイ「・・・もう一度・・・チャンス・・・ そうだ!」
  俺はスマホを取り出し、慌てて検索を始める。
コーヘイ「あった・・・あったぞ!!」
  俺は目当てのものを見つけ、
  取りも直さずマサミへとメッセージを送る。
コーヘイ「ヘタレで申し訳ないが、 これが思いつく精一杯。 頼む・・・伝わってくれ!」

〇女の子の一人部屋
マサミ「はあぁぁぁんん、やってしまったぁ~!!」
  わたしは部屋のベッドで、
  枕を抱えながら悶絶していた。
マサミ「うぅぅぅわたしのバカバカー すごいチャンスだったじゃーん!」
マサミ「告白する勇気がなくて悩んでたのに・・・ まさかコーヘイから言ってくれるなんて!」
マサミ「なのになんで返事出来ないの、わたし~!」
マサミ「「うん」って言うだけじゃん、わたし~!!」
  嬉しさと驚きで声が出ない!
  なーんて乙女を発揮してしまった自分が
  恨めしい。
マサミ「コーヘイだって勇気必要だったよね・・・」
  若干チャラい感じで言われたのは気になるけど。
マサミ「変な間あいちゃったもんね・・・ どうやって断るか考えてる、って 思われちゃったかなぁ・・・」
  両想いだったのは嬉しい。
  けど、この状況から改めて返事をするのは、
  ある意味、告白するよりハードルが
  上がっている気がする。
マサミ「何かいい方法はないかな・・・」
マサミ「そうだ!!」
  わたしはスマホを取り出し、
  検索を始める。
マサミ「あったーー!」
  わたしはすぐにコーヘイへとメッセージを送る。
マサミ「今度はわたしが勇気を出して返事をする番なんだろうけど・・・」
マサミ「ごめん、これで精一杯! 察して~」

〇お祭り会場
  数日後・・・
  俺たちは二人、地元からは1時間半以上離れた神社にいた。
  もう一度告白のやり直しがしたかった
  俺達が思い付いたのは、
  「もう一度夏祭りに誘う」
  という方法だった。
  問題は8月の終わりに、
  開催される夏祭りがまだあるかどうか。
  何とか見つけたのが、この遠く離れた町の夏祭りだった。
  マサミにメッセージを送った直後、
  向こうからも同じ内容のメッセージが
  届いたのには驚いたけど。
  でもそれで、
  マサミもあの告白をやり直したいんだ、って気付いた。
  今度の告白にはノリも勇気もいらない。
  答えはもうわかってるから。
  だからハッキリと言うんだ。
コーヘイ「俺と付き合って下さい!」

コメント

  • このもどかしいかわいい感じこそ青春っていう感じで、キュンキュンしました。お互いに悩んでるのも、同じこと思いつくのも、本当に波長が合うんだなぁってのが伝わってきましたよ。

  • 大切な瞬間の失敗って、後ですごく後悔するものですよね。
    でも、お互いが悩んでるところの描写もすごく良かったです。
    今度は上手くいったのかな?

  • お互いにその瞬間を失敗した!と感じていたとしても、すでに気持ちが通じ合っていたというのが素敵でした。二度目の告白のシーンは是非二人が待ち望んでいたものになってほしいですね。

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