それぞれの半年間(脚本)
「アイドルstruggle シーズン3」で敗北した「Pass☆Tell」は、
約半年間の活動自粛期間に入った
〇カフェのレジ
マリン「いらっしゃいませ」
あらー、可愛らしい!
新しいバイトさん?
マリンの母「うちの娘なんですよ〜」
そうなの!
いいわねぇ〜親孝行な娘さんね♪
マリンの父「おーい、食パンの作り方教えるぞー! ちゃんと見ておけよー!」
マリン「はーい!」
〇一人部屋
──であるからして、損益分岐点とは・・・
両親が経営しているパン屋でアルバイトをし、大学の授業をオンラインで受けて
歌とダンスは自主練、2週に1回全体練習、その他今後の活動について打ち合わせなど、意外と忙しく動いていた
高校時代の友人は、キャンパスライフを満喫しているのだろう
疎遠になってしまったが、私は私で、充実した日々を送っていた
〇大きな木のある校舎
モモ、見たよ〜!!
最後惜しかったねぇ
モモ「ありがとう〜!」
あれって、デビューできなかったらしばらく芸能活動禁止なんだっけ?
モモ「うん、放送終了後から3ヶ月は活動禁止されてる」
モモ「でも、グループで集まって歌やダンスの練習はしてるけどね♪」
そっか。
もし興味あったら、ウチらが行ってる演劇のワークショップ参加してみない?
モモ「えっ!?」
練習だけなら問題ないよね?先生結構有名な人だし、演技も体験してみたら?
新しい発見があるかもしれないよ♪
モモ「ありがとう!行ってみたい!」
〇殺風景な部屋
モモ「よろしくお願いします♪」
講師「あぁ、君が例の」
はい、ウチらと同じクラスの、アイドルの子です!
講師「まぁ、今の時代、アイドルから女優になる子も多いからね」
講師「表現力や発声方法とか、何か少しでも盗んでいってよ」
モモ「はい! ご指導お願いします!」
〇ケーキ屋
撮るよー!
3・2・1
ヒマ「わ、いい感じに盛れてる〜! これインスタにあげるね♪」
さすが、やっぱ芸能人は違うね〜!
あっという間にインスタのフォロワー1万人超えだもんね!
ヒマ「ふふんっ♪ 毎回いいねやコメントくれるファンもいるから、なるべく毎日更新しないと!」
いやーまさか、本当にアイドルになるなんてねぇ。有名になっても友達でいてよね!
ヒマ「あ、当たり前じゃん!! アタシ、みんながいたから、東京の空気にも馴染めたんだし!」
〇カラオケボックス(マイク等無し)
ヒマ「〜♪」
89点
ヒマ「あぁもう!全然ダメ!!」
ヒマ「ってか、100点ってどうやったら出るのよ。 声量、音程、音の伸び、全然違うわ・・・」
ヒマ(ほんとに、これからやっていけるのかな)
ヒマ「えぇい、悩んでる暇があったら練習よ! 帰ったらボイトレの動画探そう!」
〇学校の下駄箱
コノハ(1.2.3、で左腕を上げて・・・)
──やっぱり!
あなた、「アイドルstruggle」に出てたコノハでしょ!
コノハ「ひっ!?」
いつもクラスの中心にいる、ギャル系の女の子達が、私の周りを囲んだ
コノハ(やばい、これは、いじめられる・・・!?)
歌めっちゃうまかったよ!!
ってか、学校終わった後あんなに練習してたんだね。超努力家じゃん
コノハ「い、いや、そんなことは・・・」
なんでいつも俯いてるの?
よく見たら、フツーに美人じゃん!あの中でもスタイル良くて目立ってたよねー
でも、ジメジメ系アイドルはヤバいって!!
初めて聞いたよ、そんなの!!
〇ダイニング(食事なし)
コノハ「行ってきます」
あら、今日は練習?
コノハ「いや、学校の友達と遊びに・・・」
なにっ!?
学校で友達ができたのか!?
お父さん、落ち着いて。
学年も変わって、うまくクラスに馴染めたんでしょうよ
コノハ(我が親ながら失礼だな・・・)
〇ゲームセンター
アヤメ「いらっしゃいませー!」
私は、アルバイトを2つ始めた
漫画喫茶とゲームセンター。
両方ともそこそこ時給が良かったから
高校には行っていない。
というか、そもそも受験もしていない
アヤメ(とにかく、早くお金を貯めて、あの家を出たい)
アヤメ(デビュー見送りになったけど、アイドルは結構楽しかったし、これから稼げるかもしれないから続けたい)
〇CDの散乱した部屋
16歳 深夜バイト
アヤメ「はー・・・やっぱこの歳じゃ、夜勤は無理かー。深夜のが稼げるのになぁ」
アヤメ「かといって、これ以上バイト増やすのもなぁ」
アヤメ(うわ、あいつ、また暴れてるのかな。 最近よりひどくなってるんだよなー)
アヤメ(歌もダンスも頑張らなきゃ。 そうだ、後で写真撮ってインスタにあげないと・・・)
アヤメ(早く売れっ子になって、稼げるようになりたい。 この業界でやっていくって決めたんだ)
それぞれの半年間を終え、
アイドルグループ「Pass☆Tell」は、再始動を迎える