この顔にキュンと来たので110連(ガチャ)

MHP

絶対に引きたい!(脚本)

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〇店の休憩室

〇店の休憩室
由美「ねーねー、最近美咲めっちゃバイトシフト入れてない?」
  由美はバイトのシフト表に目をやる。
美咲「ふっふっふ それには意味があるのだよ」
  そう、それは──

〇女の子の一人部屋
美咲「え、このイベントキャラめっちゃ欲しい!」
  4月、私が熱心に行っている、大正ロマン乙女ゲーのソシャゲのイベント情報が発表された。
美咲「声優は誰だろう?」
美咲「うそ、声優も私の好きな田丸さん!?」
  ――これは
  お迎えするしかない。

〇店の休憩室
由美「それでガチャに課金するためにバイトのシフトを増やしてるってことね」
美咲「だって、今回は絶対当てたいんだもん!普段は課金しないけど、今回は絶対当てたいんだもん!」
由美「興奮しすぎて語彙力無くなってるけど・・・・・・」
美咲「それにあのゲームはシナリオゲーだから普段気にならないけど、ガチャ排出率が渋いの!」
美咲「だからこそ軍資金は多目に取っておきたいの!」
  そう、あのゲームはキャラのガチャ排出率が低い。
美咲(ただそんなことは言っていられない!)
美咲(私はもうサンプルボイスだけで──)

〇路面電車
肇「こんにちは、今日はどこに行きましょうか」
肇「あなたと一緒にいると時間がたつのを忘れてしまいます」
肇「もっとよく、君の顔が見たいのです」

〇店の休憩室
由美「美咲、意識が大正に飛んてるよ」
美咲「は!?、今の元号は令和であります!」
由美「なんで急に元総理みたいに・・・・・・」
由美「って休憩終わりだよ!」
美咲「うそ!」

  こうして私は厳しいバイトシフトをこなし、
  そして・・・・・・

〇女の子の一人部屋
美咲「ついにこの日が来た!」
  イベント情報が判明してからバイトのシフトを増やしてためた軍資金、
  その額、なんとか3万円。
美咲(こんなことなら普段から貯金しておくべきだったなぁ・・・・・・)
美咲(ただ、悔やんでも始まらない!)
美咲「3万円だから、10連ガチャが10回、100回がリミットか・・・・・・」
美咲(イベントキャラの排出率は1%)
美咲(1%なら100回回せばちょうど1回は当たるように思えるけど・・・・・・)
美咲(1回ごとに1%当選なので、100回回して当たる確率は実際は2/3程度)
美咲(正直微妙な確率だ)
美咲「考えてもはじまらない、いけ、美咲!私はやればできる子よ!」
美咲「行くわよ!」

〇女の子の一人部屋
  ・・・
  ・・・
  ・・・
美咲(・・・・・・ヤバい、全然当たらない)
美咲(さっきから結構回してるのに、狙ってないキャラばかり来る)

〇路面電車
吾郎「ずっと、君を待ってた・・・・・・」
美咲「私はお前を待ってない!」
治「オールドファッションで決めてみたんだけど、どうだい?」
美咲「大正にちょんまげはないだろ!散切り頭でも叩いとけ!」
平吉「中大兄皇子と中臣鎌足がクーデターを起こしたのですか?」
美咲「そうだよ、蘇我氏は滅んだんだよ」
美咲「っていつの時代だよ!」
梢「ずっと・・・・・・先輩のことをお慕い申し上げておりました」
美咲「百合まで完備するとは痒い所に手が届くいいゲームだな!」
  そんなこんなで・・・・・・

〇女の子の一人部屋
美咲「あと10回しかない・・・・・・」
  私は震える指でスマホをタップする。
美咲(お願い・・・・・・)

〇路面電車
美咲「これは・・・・・・、来る!」
  肇のメガネを手に入れた!
美咲「あ――!イベント排出キャラのアクセサリーにキャラ当たり演出と同じ演出を入れるんじゃねぇ―――」

〇店の休憩室
美咲「あぁ──」
由美「美咲、また意識が大正に飛んてる・・・・・・わけじゃなさそうね」
美咲「大正な訳ないじゃない・・・・・・。今の元号は・・・大化だっけ?」
由美「蘇我氏が滅びた元号なわけないじゃない。令和よ」
美咲「あー令和か。そうだよね、蘇我氏だと去年の桜花賞勝った白馬だもんね・・・・・・」
由美「それはソダシよ」
由美「その様子だとガチャ外しまくったわけ?」
美咲「・・・・・・もう女の子同士でもいいんじゃないかなぁ」
由美「ちょっと、急に何言ってるのよ!」
由美「・・・・・・まあ、私は別にそれでもいいんだけど。。」
美咲「え?」
由美「──なんでもない!ほら、休憩終わりだから行くよ!」
美咲「う──」

〇女の子の一人部屋
美咲(ヤバい、悔やんでも悔やみきれない)
美咲(ずっと肇のことが頭から離れない)
美咲(ただこれ以上回すと今月大ピンチになる・・・・・・)
美咲「でも、どうしても欲しい!」
  そう、誰かが言っていた!
  手を付けてはいけないお金に手を付けてからが本番だって!
美咲(お願い・・・・・・)
  私は10連ガチャを回す。

〇路面電車
美咲「これは・・・・・・!?」
肇「こんにちは、ようやく私を見つけてくださいましたね」
肇「あなたに会えて、本当に良かった」
肇「これを、私にくれるのですか。ありがとうございます。これであなたの顔がもっとよく見られるようになりました」
肇「どうしたのですか、顔が赤いようですが・・・・・・熱でもありますか?」
肇「大丈夫ですか。それなら、良かったです」

〇路面電車
肇「そういえばこの前ハイカラな乗り物、自転車を購入しました」
肇「良かったら、後ろに乗りませんか?」
肇「落ちないように気を付けて、私の肩か腰に手を置いてください」
肇「こうしてあなたの体温を感じながら、一緒にどこかに行けることに楽しみを覚えます」
肇「よかったら、このままずっと君だけを──」

〇店の休憩室
由美「美咲、意識が大きく大正に飛んてるよ・・・・・・」
由美「って聞こえてないね」
由美(でもいいなぁ、そんなに夢中になれるなんて)
由美(・・・・・・私もそのゲーム、やってみようかな)
  ―──翌日、大正へ意識が大きく飛んだ女性が1名追加された。

コメント

  • 私がア〇ール・アー〇ェングロット(CV田丸さん)を引き当てたときの興奮を思い出して、激しく共感しました。金銭的に越えてはならない壁がある。でも、その壁を越えて手に入れたキャラこそ、課金勢の宝物なのだと思います!

  • ゲームに詳しくない世代なんですが、読んでいくうちに彼女が求めているものがわかって応援の気持ちに変わっていました。バイト代が消えてしまうのはもったいないなあと思いつつも、こうして高揚できる何かって生きる張り合いになるかもですね。

  • 推しを引き当てた時のエフェクトが彼女の心境の演出としてすごく的確だったと思います。
    あの瞬間はすごい高揚して、言葉で言い表せないですよね。
    とりあえず、引けて良かったね!と。

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