〇学校の体育館
藤堂カオル「オマエら、これは一体どういうことだ!!」
　　カオルは、自分の攻撃から何故かセリナをかばった二人の舎弟に向けて問いかける。
「・・・・・・」
舎弟A「アネキ、ひとつだけ質問があるッス」
藤堂カオル「どうしたんだ、急に」
舎弟B「アネキはオレらの名前覚えているっスか」
藤堂カオル「・・・・・・は？」
藤堂カオル「いきなり何を言い出すんだ、お前ら」
舎弟A「答えて下さい。覚えているっスか？」
藤堂カオル「・・・・・・」
舎弟B「ハハッ」
舎弟B「やっぱりアネキみたいに舎弟がたくさんいる人は、オレらの名前なんか覚えちゃいないっスよね」
藤堂カオル「それは・・・・・・」
神宮寺セリナ「お二人のお名前は『伊集院遥』さんと『高千穂静』さんですよね」
神宮寺セリナ「わたくし、覚えていましてよ」
藤堂カオル「なっ・・・・・・」
伊集院遥「セリナさんは、オレらの名前を分かってくれてたっス」
高千穂静「オレら感動したっス」
伊集院遥「むちゃくちゃ感動したっス」
高千穂静「そんなセリナさんを傷つけるわけにいかないと思ったっス」
伊集院遥「すんません、アネキ」

〇学校の体育館
担任 山田「あなたたち、そんな優雅な名前だったのね・・・・・・」
担任 山田（顔に似合わず、とは言わないでおきましょう）
藤堂カオル「オイ、そもそもなんでお前がそんなこと知ってやがるんだ!?」
神宮寺セリナ「覚えましたので」
藤堂カオル「何を？」
神宮寺セリナ「『全校生徒』の顔と名前です」
神宮寺セリナ「転校生ですので、在校生名簿を学校から貸していただきました」
藤堂カオル「はぁっ!?」
担任 山田「いやいやいや、覚えたって全校生徒の名前をですか!?」
担任 山田「だって・・・・・・一年生だけでも千人以上いるんですよ？」
担任 山田「それを全部、ですか・・・・・・？」
担任 山田（私だって覚えきれていないのに）
神宮寺セリナ「人の名前を覚えるのはレディのたしなみの初歩中の初歩ですもの」
神宮寺セリナ「少々時間はかかりましたので入学までに間に合うか心配でしたが、なんとか頑張りましたわ」
担任 山田「セリナさん、それ『頑張った』で済むレベルじゃありませんよ」
藤堂カオル「・・・・・・呆れたよ。とんでもないヤツだな、お前」
　　カオルは手に持っていたバットを足元に放り投げる。
藤堂カオル「勝負は終わりだ」
神宮寺セリナ「ええと。それでは、この勝負はわたくしの勝ちということでよろしくて？」
藤堂カオル「ああ。アタシの負けだ」
藤堂カオル「女に二言はねえ。約束通りお前の執事になってやんよ」
藤堂カオル「イマイチ何をすればいいかはわからねえけどな」
神宮寺セリナ「ではまず、わたくしからこちらを差し上げます」
神宮寺セリナ「執事といえば蝶ネクタイですが、カオルさんにはリボンをお渡しいたします」
藤堂カオル「そうかい。負けたアタシが物をもらうのも変な感じだが、ありがたく受け取らせてもらうよ」
神宮寺セリナ「どうぞ受け取ってください」
神宮寺セリナ「わたくし、ぜひともカオルさんには執事（バトラー）第一号になっていただきたかったのです」
藤堂カオル「へえ、それはなんでだ」
神宮寺セリナ「レディの勘です！カオルさんの名前と写真を見たときに、ビビッときたのです」
神宮寺セリナ「同じクラスになれたのは運命だと思っています」
神宮寺セリナ「わたくし、自慢ではありませんが、人を見る目はあるんですのよ」
藤堂カオル「ハッ。お世辞でもそう言ってもらえると嬉しいね」
藤堂カオル「・・・・・・何しろアタシは学園女番長（スケバン）ランキングでは下から数えた方が早いんだからな」
？？？「そうだね。そいつは鳳学園の女番長（スケバン）の中でも下っ端のほうだ。この恥晒しが!!」
藤堂カオル「ぐはぁっっっっ!?」
　　突然の攻撃に吹っ飛ぶカオル。
神宮寺セリナ「カオルさん!?大丈夫ですか！」
藤堂カオル「ぐうっ・・・・・・な、なんとか、な」
？？？「黙って聞いていれば何やら自慢していたみたいだが、セリナとやら、お前人を見る目はないんじゃないか？」
神宮寺セリナ「あなたは一体・・・・・・」
藤堂カオル「お前は・・・・・・大女番長（ビッグバン）!!」
神宮寺セリナ「大女番長（ビッグバン）!?」
大女番長(ビッグバン)「この鳳学園で女番長（スケバン）に挑もうだとは一体どんな奴かと思って見に来てみれば、自分の事をレディだと!?」
大女番長(ビッグバン)「ふざけるな!!そんな奴はこの学園に要らないんだよ!!」
大女番長(ビッグバン)「この大女番長（ビッグバン）がじきじきに、この学園にいられないようにしてやるよ、喰らえ!!!!」
神宮寺セリナ「──────!!」
　　続く!!!