雄馬町の怪

平家星

#29 残された時間(脚本)

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〇黒
  ミチオの発する言葉・・・それは予言となって、あたりに響き渡る。

〇研究施設の屋上
  ・・・くだらん道具は力を失うだろう
  ミチオの言葉の直後、黒岩が持つUMAを操るランタンは、はじけて壊れる。
黒岩現「こ、これはいったい・・・」
  終わりだと言ったはずだ。
  お前の野望は叶わない・・・
男の骸骨「ウウウ・・・」
女の骸骨「ワタシタチハ、ナニヲ・・・」
黒岩現「こ、これはいったい!?」
三上ショウマ「な、何が起きてるんだ?」
  ・・・空からの来訪者たちは行き先を見失い、引き返すだろう
黒岩現「何を言う! 座標を送り続ける限り、飛行体はこちらを目指して・・・」
  黒岩がカナの組み込まれた装置を見ると、座標の数値を表示している計器が、激しく動いている。
黒岩現「どうなってる!?」
  空に現れていた飛行体は、ひとつ、またひとつと姿を消していく。
黒岩現「待てッ! 待ってくれッ!」
  やがて装置は静かになり、停止する。
黒岩現「と、止まるなッ!」
南雲チハル「ミチオの言った通りになった・・・?」
浦上ナオキ「さっきの口ぶり、ミチオくんがくだんさんのように、予言を・・・」
黒岩現「こっ、ここまで、どれだけの苦労があったと思ってるんだ!」
  慌てる黒岩をミチオが指さす。
  ・・・それから、お前
黒岩現「!?」
  お前は異次元を彷徨うことになるだろう
黒岩現「な!? 黙れ! 黙れッ!」
  ・・・入り口は開かれた。出口はない
  黒岩の足元に、異次元の穴が発生した。
  ゆっくりと黒岩が沈み込みこんでいく。
黒岩現「やめろ・・・やめてくれ!」
  穴の中から、たくさんのUMAの腕が伸び、抗う黒岩を引きずり込もうとしている。
黒岩現「ふ、ふざけるな・・・俺はまだ、この世に証明できてない!」
黒岩現「俺は嘘つきなんかじゃない! 俺は、俺は・・・」
  抵抗も虚しく、その体がついに異次元に引きずり込まれていった。
  その姿は、完全に消え去った。
黒岩現「UMAども・・・来るな!」
黒岩現「・・・ハハハ・・・そうか、もとより俺が呼び寄せたのか・・・」
黒岩現「フフフ・・・ハハハハハハハッ!!」
  黒岩の狂気的な笑い声が響き、消えた。
金丸ミチオ「・・・・・・」
  ミチオが地面に倒れこむ。
  くだんも同様に、ミチオのそばで倒れた。

〇黒
浦上ナオキ「ミチオくん! くだんさん!」
南雲チハル「しっかりして!」
三上ショウマ「カナちゃんも・・・みんなで運び出すぞ!」

〇田舎の総合病院

〇病室
金丸ミチオ「ん・・・」
「ミチオ!」
浦上ナオキ「やった! 意識が戻ったんですね!」
金丸ミチオ「ここは・・・」
浦上ナオキ「安心してください! 病院です! あっ、すぐに知らせないと!」
  ナオキは慌てて病室を出ていく。
三上ショウマ「ミチオ。 お前、一週間ずっと眠ってたんだぞ」
南雲チハル「体には異常がないのに、お医者さんも目が覚めないのが不思議だって話していたの」
三上ショウマ「まあ、あんな光景見せられたら、今さら不思議なんてないけどな」
金丸ミチオ「・・・あんな光景?」
三上ショウマ「お前が、くだんみたいに予言したんだ。 話すこと全部、本当の出来事にしやがった」
三上ショウマ「黒岩をぶっ飛ばして、痛快だったぜ」
金丸ミチオ「俺が黒岩を倒した・・・?」
三上ショウマ「ああ。前までクラスで嘘つき呼ばわりされてたミチオとは思えなかった」
南雲チハル「そう呼んでた筆頭は、あんたなんでしょ? ショウマ」
三上ショウマ「は? ああ、まあ、そうか」
金丸ミチオ「ハハハ・・・」
北条カナ「ししょう?」
  声がする方をミチオが見ると、病室の入り口にカナとナオキが立っていた。
金丸ミチオ「カナちゃん!?」
北条カナ「ししょう!」
  ミチオのベッドに駆け寄るカナ。
金丸ミチオ「カナちゃん、大丈夫? ケガはなかった?」

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