雄馬町の怪

平家星

#23 救出作戦(脚本)

雄馬町の怪

平家星

今すぐ読む

雄馬町の怪
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇黒
  黒岩がBEKの取引を行う当日・・・。

〇バスの中
金丸ミチオ「計画はシンプル」
金丸ミチオ「ケセランパサランでみんなを元に戻し、一緒に杉沢村を出る」
くだん「単純なだけに、困難だろうけどな」
くだん「UMAが押し寄せる・・・という予言も忘れるなよ」
金丸ミチオ「わかってる。 だからこうして、準備を整えてるんだろ」
  ミチオの持ってきた大きなカバンの中で、何かがもぞもぞと動く。
金丸ミチオ「こいつ、肺呼吸はできるんだよな?」
くだん「ただの魚じゃないんだ。大丈夫だろう」

〇村に続くトンネル

〇湖畔の自然公園
金丸ミチオ「杉沢村の湖。ここなら、たぶん・・・」
くだん「ああ。うまくいくだろう」
  ミチオはカバンの中身を湖に放した。
人魚「ボォォォォ!」
  カバンの中にいた人魚は、湖を勢いよく泳いでいった。
  そのとき、少し離れたところから話し声が聞こえた。
黒岩の声「歓迎する。よくぞ来てくれた」
金丸ミチオ「マズい! 黒岩だ・・・誰かと一緒だ」
  ミチオは慌てて木の影に隠れる。

〇湖畔の自然公園
三滝「さっさと取引しようぜぇ・・・。 楽しみにしてたんだからぁ」
黒岩現「まぁ、そう焦るなって。 三滝、金は持ってきたんだよな?」
三滝「ああ。BEKが一人減ったと聞いたぞ。 減額という形で、問題ないよな?」
黒岩現「もちろんオーケーだ。 約束した『座標』の方はどうだ?」
三滝「ほら、今、スマホで送ったよ。 さぁ、早くBEKに会わせてよぉ!」
黒岩現「よし。『座標』は確かに受け取った。 ついてきな」

〇湖畔の自然公園
金丸ミチオ「奴ら研究所に向かうぞ・・・」
金丸ミチオ「『座標』って言ってたけど、なんのことだろう?」
くだん「さぁ。とにかく、一刻を争うぞ」
金丸ミチオ「まだ準備が万全とは言えないけど、仕方ない。研究所に急ごう!」

〇ダクト内
  ミチオたちは研究所のダクトを伝って、天井部から中の様子を覗いた。
  黒岩と三滝が何やら話している。
金丸ミチオ「あの男がBEKを買いに・・・」
くだん「見るからに異常者の面構えだな」
金丸ミチオ「よし、奴ら異次元の扉に入るぞ。 おっさん、頼む!」
  ミチオが声をかけると、ポケットから小さな人影が飛び出した。
小さいおっさん「出番やな! 任せとき!」

〇魔物の巣窟
  沢山のUMAが行き来する異次元の中を、黒岩と三滝が進んでいく。
  二人は声を出さないよう慎重に歩く。
「・・・・・・」
  そのとき、黒岩と三滝の足元に小さな人影が忍び寄った。
小さいおっさん「人間がおる! ここに人間が歩いとる!」
黒岩現「な!?」
三滝「誰!? 騒いだらやばいよぉ!?」
  二人は周りを見るが、素早く動く小さいおっさんは見つからない。
小さいおっさん「集まれUMAども! ここにおるのは、人間や!」
  異次元にいる全てのUMAの視線が、黒岩と三滝に注がれた。

〇研究所の中
  研究所のモニターには、UMAに囲まれてパニックになる黒岩たちの姿が映っている。
金丸ミチオ「小さいおっさん、上手くやってくれた・・・。よし、行くぞ!」
  ミチオはくだんと共に、異次元への扉に駆け込んでいった・・・。

〇魔物の巣窟
金丸ミチオ(いいぞ! UMAはみんな、黒岩たちにくぎ付けだ)
金丸ミチオ(これなら、すぐにたどり着ける!)
口裂け女「私って、綺麗?」
小豆洗い「人取って食おうか?」
チュパカブラ「グルルルル・・・」
三滝「お、おい! どうするんだよぉ!?」
黒岩現「慌てるな・・・対策はある」
  黒岩は大量のケセランパサランを入れたランタンをかざす。
  すると、喚いていたUMAたちが途端に黒岩にひれ伏した。
黒岩現「ははは! このランタンさえあれば、UMAは俺の思うままだ・・・」

〇白
  ホワイトゾーンに飛び込んだミチオ。
  そこには、BEKになった仲間や、小さな子供たちの姿があった。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
金丸ミチオ「みんな! すぐに元に戻すからね!」
  ミチオは袋に入れたケセランパサランを取り出し、皆にかざしていく。
浦上ナオキ「ミチオ・・・くん?」
三上ショウマ「俺たち・・・BEKにされてたのか」
南雲チハル「・・・。ミチオが助けてくれたの?」
金丸ミチオ「助けてくれたのはチハルさんの方だよ!」
金丸ミチオ「チハルさんがマスコットに入れてくれた、ケセランパサランのおかげで俺は・・・」
金丸ミチオ「って、あ、あれ? カナちゃんは!?」
くだん「いないな」
金丸ミチオ「どこだ!? なぁ、みんな、何か知ってるか!?」
南雲チハル「う、ううん、わかんないよ」
三上ショウマ「俺たちにわかるわけないだろ!」
金丸ミチオ「どうしよう! カナちゃんも連れて、みんなで逃げるつもりだったのに!」
  慌てるミチオ。それを見て、子供たちが泣き出してしまった。
子供「怖いよ~!」
子供「おうちに帰りたい!」
子供「ママは!? ママどこ!?」
三上ショウマ「おい! しっかりしろよ、ミチオ!」
金丸ミチオ「うるさいな! 今、考えてるんだよ!」
  頭を抱えるミチオの足に、突然くだんが嚙みついた。
金丸ミチオ「痛っ!」
くだん「落ち着け、ミチオ」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:#24 それぞれの危機

成分キーワード

ページTOPへ