雄馬町の怪

平家星

#21 黒岩の過去(脚本)

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〇黒
  BEKに変えられ、異次元に取り残されたミチオ達。
  研究所には、くだんが捕らわれている・・・。

〇研究所の中
  黒岩の眺めるモニターには、BEKになったミチオたちの姿が映し出されていた。
くだん「おい! ここから出せ!」
  檻に入れられたくだんが叫ぶ。
黒岩現「俺はこれから大事な商談をするんだ。 大人しくしていろ」
黒岩現「俺だ。送った少年たちの映像は確認できたな? ・・・ああ。中学生と高校生だ」
黒岩現「見ての通り、あんた好みの従順で無感覚のBEKに仕上がっているよ」
黒岩現「では、明日また」
黒岩現「世の中には珍妙なマニアもいるもんだ。 BEKに変わった子供を、高く買ってくれる」
黒岩現「資産家のジジイでな。BEKにいたずらするのが、長年の夢だったらしい」
くだん「ミチオ達を売るのか?」
黒岩現「ああ。ガキどもに恨みはないが、この取引で得られる金と情報で、さらなる活動を進めるつもりだ」
くだん「活動・・・?」
黒岩現「そ。目指すは、宇宙生物よ! 俺は奴らとコンタクトを取りたい」
黒岩現「いろんなアイデアが既にあるんだ。 最後のピースさえ揃えば・・・」
くだん「くだらん研究のために、ミチオ達は犠牲になるっていうのか」
黒岩現「・・・お前、さっきから気になってたんだが、あのガキどもに肩入れしてるのか?」
くだん「お前の汚い顔を見てるより、あいつらと一緒にいる方が、いくらかマシだからな」
黒岩現「不思議だ。UMAである『くだん』が、人間に情を移すとは・・・」
くだん「人間ごときが、俺を観察するな」
黒岩現「・・・少なくとも、俺といたときはそんなこと無かったのに」

〇古い畳部屋
  俺がお前を拾ったのは、まだ小学生の頃だった
黒岩現「・・・驚いたよ。また当たった」
くだん「当然だ。俺を誰だと思ってる」
黒岩現「人が消えるところなんて、初めて見たよ。 空に現れたあれは、UFOだよね?」
くだん「知らん。この地球の物では無さそうだったな」
黒岩現「学校に、イヤな奴がいるんだ・・・」
黒岩現「そいつを消しちゃうような・・・。 そんな予言を頼むよ」
くだん「勘違いするな」
くだん「俺はこれから起こる不吉なことを、前もって見ているだけだ」

〇田舎の空き地
  俺は、学校の人気者になりたくて、UFOのことをみんなに話した
  だが、信じてくれるものはいなかった
黒岩現「本当なんだ! 本当に見たんだよ!」
少年「証拠見せろって言ってんだろ! 口だけなら何とでも言えるんだよ!」
  少年が幼い黒岩を蹴り飛ばす。
黒岩現「やめてよ! 痛い!」
少年「UFOとか、わけわかんないこと、もう一回でも言ってみろよ」
少年「こんなもんじゃ済まないぞ。目立とうとすんな」
黒岩現「じゃ・・・じゃあ、うちに見に来てよ!」
黒岩現「『くだん』っていう、言葉を話す変な動物がいるんだ!」
黒岩現「UFOが来ることも、そいつが予言したんだから!」

〇古い畳部屋
  俺が友達を連れて、家に戻ったとき、すでにお前は姿を消していた
少年「クロよぉ。俺をからかってんのかよ?」
黒岩現「いや、確かにいるんだ! くだん! 出てきてくれ!」
少年「嘘ついたらどうなるか、話したよな?」
  少年たちは黒岩に詰め寄る。
黒岩現「や・・・やめて!」

〇古い畳部屋
黒岩現「どうして。 くだん、いなくなっちゃったんだよ」
黒岩現「俺が嘘つきじゃないと、証明してくれよ・・・」
黒岩の父「現。その傷どうした?」
  うなだれる黒岩の前に、ひどく酔った様子の父親が現れた。
黒岩現「・・・同級生にやられた」
  黒岩が呟くと同時に、父親はおもむろに黒岩を殴りつけた。
黒岩の父「お前の、その情けねえツラ見るのはうんざりなんだよ!」
黒岩現「やめて、父ちゃん。 お願い・・・ぶたないで」

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