雄馬町の怪

平家星

#17 くだんの秘密(脚本)

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〇学校のプール
  ナオキの持つ本『未確認生物大全』の中に、くだんの死に関する記載を見つけたミチオ。
  くだんを問い詰める・・・。
金丸ミチオ「この本に書いてあること、本当なのか?」
金丸ミチオ「『すべての予言を言い終えると、生涯を終える』って・・・」
くだん「ん? ああ、本当だぞ」
金丸ミチオ「本当だぞって・・・そんな大事なことを・・・」
くだん「なぁミチオ、トウニュウ飲みたい。 トウニュウくれ」
金丸ミチオ「すべての予言って、どれくらいで終わるんだ?」
くだん「わからん。 その時が来れば、消滅するだけだ」
金丸ミチオ「・・・・・・」
浦上ナオキ「ん? 何かあったんですか?」
金丸ミチオ「・・・ナオキ。知ってたんだろ?」
金丸ミチオ「予言を終えたら、くだんが死んじゃうって・・・」
浦上ナオキ「えっ・・・?」
金丸ミチオ「この本に書いてあるの、見たんだ」
浦上ナオキ「そうでしたか・・・」
金丸ミチオ「・・・どうして言わないんだよ?」
浦上ナオキ「くだんはミチオくんの相棒ですから・・・どうにも、言いにくくて・・・」
金丸ミチオ「言いにくいって・・・。 それだけの理由で、隠してたのか?」
浦上ナオキ「隠してたわけじゃないですよ! 折を見て、言おうと思っていたんです!」
金丸ミチオ「俺が見つけなければ、ずっと言わなかったくせに」
くだん「話したところで変わらないことを、やけにこだわるじゃないか」
金丸ミチオ「お前は黙ってろ!」
浦上ナオキ「ミチオくん、カナちゃんのことだけでも、頭がいっぱいじゃないですか」
浦上ナオキ「ちょっと気を遣っただけですよ・・・」
金丸ミチオ「それが余計だって言ってるんだよ! もういい!」
浦上ナオキ「怒らせちゃいました・・・」
くだん「変な奴だ。 なぁナオキ、トウニュウ飲ませろ」

〇田舎道
  ナオキはくだんをカバンに抱えて、畑沿いの道を歩いた。
くだん「次、バナナトウニュウ」
浦上ナオキ「はい、どうぞ」
くだん「うむ。こちらもオイシイ」
三上ショウマ「よっ。あれ? 今日はお前がそいつを連れてるのか?」
浦上ナオキ「はい・・・。いろいろありまして」
三上ショウマ「ふ~ん。さっき、チハルさんに会ったぞ。 ケセランパサラン、増えたらしい」
浦上ナオキ「そうですか・・・」
三上ショウマ「宮司は『絆』が大事とか言ってたけど、よくわかんねぇよなぁ」
三上ショウマ「ま、俺は気づかないうちに増えてたんだけど」
浦上ナオキ「はいはい。そうですね。 ショウマくんは、あっという間でしたね」
三上ショウマ「お前の方はどうだ?」
浦上ナオキ「まだ、増えてませんよ!」
三上ショウマ「なっ、何怒ってんだよ・・・」

〇田園風景
金丸ミチオ「くだんもナオキも、二人して秘密にしちゃってさ・・・」
  ミチオは沈んだ表情で田舎道をひとり歩く。
  ふと、くだんと初めて出会ったときのことが頭によぎった。

〇洞窟の深部
くだん「よう、人間」
金丸ミチオ「う、うわぁ!」
くだん「俺はくだん。 おい人間、お前ついてないな」
金丸ミチオ「ついてない・・・!? 何の話だ・・・」
くだん「俺は予言するために生まれてきた。この町で起こる凶事を」

〇田園風景
金丸ミチオ「突然現れて、突然予言を始めて・・・」
金丸ミチオ「出会ってからずーっと、くだんには振り回されっぱなしだよ・・・」
金丸ミチオ「でも、あいつがいなかったら、ナオキともチハルさんとも、ショウマとも・・・今のようにはなってなかったよな・・・」
  くだんのいないカバンを見る。
金丸ミチオ「くだん、これからもずっといるもんだと思ってたのに・・・」
  考えを振り切るように、頭を振った。
金丸ミチオ「いやいやいや!」
金丸ミチオ「スカしてるくだんも、黙ってたナオキも、ムカつく! それだけのこと!」

〇ボロい駄菓子屋
  ナオキはくだんを連れて、駄菓子屋にやってきた。
浦上ナオキ「どれにします?」
くだん「その、赤いやつ」
浦上ナオキ「酢漬けイカですね」
くだん「それから、その丸いやつ」
浦上ナオキ「たこ焼きくんですか」
おばあさん「おや、あんた誰としゃべってるんだい?」
浦上ナオキ「いやぁ、ははは・・・」

〇田舎の空き地
  二人は広い空き地にやってきた。
  くだんは豆乳を飲みながら、ナオキが購入した駄菓子を食べ始める。
くだん「酢漬けイカは、トウニュウには合わないな」
くだん「今のところは、ミスターカステラが一番だ」
浦上ナオキ「おかげで、お小遣いを使い果たしました・・・」
くだん「ミチオは何かを買ってくれる時、いちいち文句たれるんだ」
くだん「あいつはケチだからな」
浦上ナオキ「それに、短気です」
くだん「おまけに、神経質だ」
浦上ナオキ「・・・・・・」
くだん「しかも、ひとりよがり。その上、気取り屋」
浦上ナオキ「言い過ぎです」
くだん「なんだ。つまらない」

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