雄馬町の怪

平家星

#16 ミチオとくだん(脚本)

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〇黒
  順調にケセランパサランを増やすミチオ。
  とある日曜日。つかの間の休息・・・

〇男の子の一人部屋
  ミチオはリュックに財布を詰めて、何やら支度をしていた。
くだん「お前、何してるんだ?」
金丸ミチオ「隣町のショッピングモールに行くんだ」
くだん「ショッピングモール? 例の綿みたいなヤツ、増やさなくていいのか?」
金丸ミチオ「うん。しっかり増えてきているし、たまには自分へのご褒美に、服でも買おうかなって」
くだん「普段、制服ばかり着てるくせに」
くだん「チハルとの一件から、お前、妙に色気づいてるんじゃないか?」
金丸ミチオ「そ、そんなんじゃないよ! とにかく、今日は留守番よろしくな」
くだん「・・・留守番か」

〇田舎のショッピングモール
金丸ミチオ「へぇ~! 思った以上にデカい!」
  早速モール内を歩き始めると、背中のリュックがもぞもぞと動いた。
???「なかなか面白そうじゃないか」
金丸ミチオ「どこから回ろうか。・・・って、えっ!?」
  リュックの中から、くだんが顔をのぞかせる。
金丸ミチオ「おっ、お前!」
くだん「留守番など御免だ」

〇ショッピングモールの一階
金丸ミチオ「雄馬町とはくらべものにならないくらい人がいるんだ。静かにね・・・」
くだん「それはフリ・・・というやつか」
金丸ミチオ「そんな言葉、どこで覚えたんだよ」
くだん「TVだ。あの箱は面白い」
金丸ミチオ「先が思いやられるよ・・・」
くだん「おい、あそこに入りたい」
金丸ミチオ「えっ? ペットショップ!?」

〇ペットショップの店内
金丸ミチオ「可愛いなぁ。 未確認生物のお前から見ても、猫は可愛いの?」
  ミチオがリュックを見るが、そこにくだんの姿はない。
金丸ミチオ「!? くだん! どこ行った!?」
  ペットショップ内を探していると、子猫の柵の方から声が上がった。
客「ん? 変なのがいるな・・・」
  ミチオが駆け付けると、柵の中で子猫と一緒にミルクをなめるくだんがいた。
くだん「ペロペロ・・・」
金丸ミチオ(な、なにやってるんだよ!?)
  慌てて柵の中に入り、くだんを抱き上げる。
金丸ミチオ「おお! お前ここにいたのか! こいつ、うちの犬なんです。はは・・・」
  ミチオはくだんをリュックにつめると、慌ててペットショップから出て行った。
客「なんだか不細工な犬だったな・・・」

〇ショッピングモールの一階
金丸ミチオ「まったく。騒ぎになったらどうするんだよ」
  ミチオは人気のないベンチに座り、リュックのくだんに話しかけた。
くだん「トウニュウだと思ったが、牛乳だった。残念」
金丸ミチオ「勝手に行動するなよな!」
くだん「おいミチオ。騒ぎにするもしないも、俺次第。そのことを忘れてくれるな」
金丸ミチオ「ど、どういう意味だよ?」
くだん「俺の行きたいところに連れてけ。 言うことを聞けば、手荒な方法はとらない」
金丸ミチオ「おっ、お前! なんてやつだ・・・」
くだん「わかったら次は・・・あれだ!」

〇おしゃれなレストラン
  次にミチオたちがやってきたのは、バイキング式のレストラン。
金丸ミチオ「え~っと・・・あとエビチリと、肉じゃがと・・・」

〇おしゃれなレストラン
  ミチオはとってきた料理の皿を、机の下にそっと置いた。
金丸ミチオ「ほら、持って来たぞ」
くだん「寿司、忘れてるだろ!」
金丸ミチオ「しっ、静かにしてくれよ! 持ってくるから・・・」

〇映画館の座席
  食事後、ミチオたちは映画館に立ち寄った。
金丸ミチオ「UMAはやっぱり、ホラーとか好きなのか」
くだん「・・・ぶるぶる」
金丸ミチオ「くだん?」
くだん「・・・怖すぎる」
くだん「どうして人間はわざわざこんなものを作った・・・」

〇ゲームセンター
  ミチオたちはゲームセンター内にあるプリクラ機の中に入った。
くだん「派手な写真を撮る機械か」
金丸ミチオ「俺も初めて入ったよ・・・」
音声「撮るよ~! 一番の笑顔で! 3・2・1 パシャ!」
くだん「なんなんだ! 急に話しかけてきた!?」
金丸ミチオ「もっ、もう撮ったのか!?」
音声「次は変顔で~!」
くだん「変顔とは?」
金丸ミチオ「こ、こうか!?」
音声「3・2・1 パシャ!」

〇ゲームセンター
くだん「見ろこの写真」
くだん「二人とも目が・・・化け物みたいにデカくなってるぞ!」
金丸ミチオ「化け物のお前が言うなよ!」
金丸ミチオ「あっ、まずい。人だ・・・」
  慌ててくだんをリュックに隠す。
チャラ男「あいつ、一人でプリクラ撮ったのかな?」
チャラ女「ヤバ! キモ過ぎじゃない?」
金丸ミチオ「・・・・・・」
チャラ女「友達、いない系?」
チャラ男「絶対そうだって。おい、根暗! 俺たちが一緒にとってあげよーかぁ?」

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コメント

  • くだん、かわいいー!

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