オネエ系マンガ家、無表情系編集者に初恋されてます!

あいざわあつこ

第3話 オネエ、愚痴る(脚本)

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〇シックなバー
柊「現代っ子、わっっかんないわああああ!」
愛川一夫「きゃは! 柊、マジウケるぅ〜」
柊「だって、ほんとにわっかんない!」
愛川一夫「いえぇい、かんぱぁい!」
柊「もう、やけくそよ! 乾杯っ! んぐっ、んぐんぐんぐっ」
愛川一夫「きゃはは! いい飲みっぷりぃ! ハイボール濃い目、 もう一杯 作っとくわね〜」
  ケラケラと笑うのは愛ちゃんこと、
  愛川一夫、四十ピー歳。
  オネエ友達のお店に久しぶりに顔を
  出したアタシは、
  ひたすら愛ちゃん相手に愚痴っていた。
柊「やばいんだけど、 これってジェネレーション なんたらってやつなのかしら」
愛川一夫「どうかしらね? 単純にその子がちょーっと おかしいんじゃなぁい?」
柊「ああ、それはアリよりのアリ」
愛川一夫「言うよねぇ〜。 若者言葉使ってみちゃったりして。 でも、使い方間違ってなぁい?」
柊「え、マジで? つらっ」
愛川一夫「んふふ。まあ、とはいえ〜。 お友達としては、柊に彼ピができて すっごい安心したけどねぇ〜」
柊「え」
愛川一夫「だって、アンタ! 前の男にはこっぴどくフラれたじゃない? トラウマなのかと思ってたのよ」
愛川一夫「だから、新しい出会い探さないんだって 思ってたけどぉ」
柊「待って待って待って」
愛川一夫「なによぉ。 トラウマはマジでしょ?」
柊「そ、それはそう。 鬼橋だから無理って言われた・・・。 ヤクザ描いてるオトコ、無理って」
愛川一夫「何度聞いても失礼な話ぃ〜。 柊はそれでご飯食べてんのにぃ」
柊「それもそう。 めちゃくちゃ失礼」
愛川一夫「けど、アンタの描くオトコ、 めちゃくちゃ無骨でエグいもんね。 わからんでもないわぁ」
柊「アンタ、どっちの味方なの!? じゃなくって! ていうかねぇ──」
愛川一夫「あ、そうだ。写真ないの? せっかくだし、のろけなさいよぉ。 イケメンなんでしょ!? その子!」
柊「なっ、ない! ないわよ! 写真も! のろけも!」
愛川一夫「は? のろけはあんでしょ?」
柊「ないっ!」
愛川一夫「え、どゆこと?」
  キョトンとする愛ちゃんに、
  アタシは慌てて首を振った。
柊「アタシ! 断ったから!」
愛川一夫「は、はあああ〜〜〜〜〜っ!?」

〇漫画家の仕事部屋
柊「あの、えっと・・・」
滝沢晶「好きです、先生」
柊「・・・それは、付き合いたい的な」
滝沢晶「的な、です。 付き合ってもらえませんか」
柊「ごめんなさい!」
滝沢晶「!」

〇シックなバー
愛川一夫「あーあ、もったいない。 うっそ、意味分かんないんだけど」
  一気にテンションが下がった愛ちゃんが
  アタシに冷たい視線を向ける。
  さっきまでとはぜんぜん違う態度に、
  アタシは針のむしろ状態だ。
柊「だ、だって・・・」
愛川一夫「ねえ、なんで? なんでダメなの? 若くてイケメンなんでしょ? タイプじゃなくってもオッケーじゃん」
柊「オッケーじゃないわよ!」
愛川一夫「どこがよ!」
柊「だ、だって! 愛がないもの! 愛! ラブ! 一番大事でしょ!? ラブ!」
愛川一夫「・・・ハッ」
柊「鼻で笑うのやめて〜!!」
  アタシがすがると、
  愛ちゃんは逆にアタシの肩を掴んで、
  じっと見つめ返してきた。
愛川一夫「あのね、アンタ、後悔するわよ」
柊「うっ」
愛川一夫「そもそもだけど、ゲイのアタシたちが 両思いになれるなんてレアなの」
愛川一夫「ゲイコミュニティ以外で恋人を 作れるなんて、とんでもない確率だわ」
柊「確かに、それは」
愛川一夫「真面目に付き合ってみたら、 好きになれるかもしれない。 そんなチャンス、逃していいわけ?」
柊「うぐぐ」
  愛ちゃんの手に、力がこもる。
  そして、ことさら真剣な声音で、
  アタシにこう言い放った。
愛川一夫「いつまでもイケメンじゃいらんないのよ」
柊「ヒッ」
愛川一夫「今はまだ、柊はイケメンよ。 でも、いずれイケメンじゃなくなるわ」
愛川一夫「今のうちに、そのオトコ、 捕まえときなさい」
柊「でもぉ」
愛川一夫「わかったわね?」

〇繁華な通り
柊(って、言われましても〜)
  うんざりした気分になりながら、
  町を歩く。
  少しだけお酒も入って、
  気持ちよくほろ酔いだったはずなのに、
  さっきの愛ちゃんとのやりとりで、
  すっかり酔いも覚めてしまった。
柊(だって、だって・・・。 恋人ってそうじゃないじゃない。 恋って、そうじゃないじゃない)
  好きになってもらったから、
  好きになるって、違うと思うもの。
  アタシは、アタシから恋に落ちたい。
  アタシから求めて、手に入れたい。
  ・・・だけど。
柊(確かに、いつまでも若く、 美しくはいられないのよね。 それはわかってる・・・)
  そして、そうなる前にパートナーを
  見つけておけという愛ちゃんの
  アドバイスもありがたいものではある。

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