友達より好き 彼氏より好き

西の茶店

読切(脚本)

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西の茶店

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〇雑踏
千春「また未読無視か・・・」
  同い年の彼氏はいても、月に一度程度しか会えない
  いつ電話しても、眠そうな声
  Lineもめんどくさいと、既読も付かずに放置されることもめずらしくない
  そんな隆也に慣れて、千春も連絡しなくなった

〇雑踏
千春(声が、聞きたいな・・・)
  相手は、半年前に辞めてしまった、元同僚の和樹だ
  久しぶり、元気?
  今日は残業で今帰り。
  疲れたー ( ;∀;)
  残業帰りの電車を降りてコンビニからでたところで、lineを送った

〇雑踏
  二年前転職した千春と違い、新卒で入社していた和樹は二つ年下の二十五歳だが千春の先輩だった
  和樹に彼女はいるし、千春にも彼氏はいるとお互いわかっている
  友人よりは少し仲がいい、和樹は気配りのうまい男の子だった
  突然、「やってみたいことがある」と退職願を出した時は、ショックで涙が出そうになったけれど・・・

〇事務所
  千春を「ちーねえ」と呼んで、慕ってくれていた和樹。
和樹「もしさ、ちーねえに彼氏がいなくて、俺に彼女がいなければ、どうなってたかなあ」
  和樹が辞める前に一度だけ、真面目な顔をして、聞かれた
  千春は三年隆也と付き合っていたし、和樹にも二年付き合っている彼女がいた

〇事務所
千春「たら、れば、はないよ」
  そう言った千春に、和樹は笑った
和樹「ちーねえのことだから、そう言うと思った」
  ほかに、なんて言えばよかったのだろう・・・

〇雑踏
  スマホの着メロが鳴った
  めずらしいと思いながら、3コール目で、スライドした
千春「もしもし、和樹?」
和樹「おー、俺。なんか、声聞くの久しぶり。元気だった?」
千春「うん、まあ。忙しくはしてるけどね。どうしたの、電話くれるなんて?」
和樹「え、だって、ちーねえなんかあった時しか、俺んとこlineしてこないでしょ。話、聞こうかと思って」
千春「ごめん・・・そーいうつもりじゃなかったんだけど・・・」

〇雑踏
和樹「えー、何いまさら気ぃ使ってんの。ちーねえ自分から電話するの嫌いでしょ。lineくれたら、俺からかけてやるからいいじゃん」
千春「なんて入れるのよ」
和樹「声が聞きたいって」
千春「恥ずかしいでしょー!!」

〇雑踏
和樹「いーじゃん!だって俺はちーねえの特別だろ?」
千春「なんだ。知ってたの。和樹は特別だよ。好きだもん」
和樹「知ってる。彼氏の次に、だろ?」
千春「そう。だから、隠してないでしょ」

〇雑踏
和樹「ちぇー。手ごわいな、ちーねえは」
千春「ありがとね・・・。なんか、和樹と話すの、好きだわ」
和樹「うん、俺って、癒し系だから」
  甘えた声に、ウインクしている姿まで目に浮かぶ

〇雑踏
和樹「お茶くらい、いつでもOKだからさ。ちーねえ一人で考え込むなよ」
千春「んー、わかってるつもりなんだけどねー・・・」
和樹「彼氏には、言えない・・・?」
千春「そんなんじゃ、ないけど・・・」

〇雑踏
  無意識にためいきが漏れた
和樹「もしもし?ちーねえ、ためいき?」
千春「もうすぐ部屋着く」
和樹「一人じゃさみしいだろ?」
千春「そうだけど、今から晩御飯だし・・・」

〇綺麗なリビング
  アパートの階段を上がり、突き当りの部屋のドアを開けて電気をつける
千春「暗い部屋に帰るのって、なんか嫌よね」
和樹「じゃ、俺が毎日待っててやろうか?」
千春「バカ。彼女が怒るでしょ」
  ローファーを脱ぎ、パスタをレンジに入れる

〇綺麗なリビング
千春「・・・和樹?」
和樹「俺、彼女と、別れた・・・」
千春「・・・え・・・?・・・そう、なんだ・・・」
  折り合いが悪いと、時々愚痴を言っていた和樹を思い出す

〇綺麗なリビング
千春「ダメじゃない、ちゃんと、捕まえてなきゃ・・・」
和樹「ダメだったんだよ、彼女じゃ・・・」
和樹「ちーねえ・・・」
千春「それ以上言ったら、ダメ」

〇綺麗なリビング
和樹「ちーねえ。俺、待ってる」
千春「・・・え?」
和樹「それくらい、できる。待ってるから・・・いつか、言わせて」
  優しい優しい、甘い声
和樹「だからちーねえも、俺のこと、考えてて?」

〇綺麗なリビング
  体中が、熱くなる
千春「・・・わかった」
和樹「よかったあ・・・。ブチ切れられたら、立ち直れないとこだった・・・」
  安堵した声が聞こえて、千春は思わずくすりと笑った

〇綺麗なリビング
千春「今日はありがと。また、連絡するね」
和樹「おー、待ってる。めちゃめちゃ待ってる」
千春「そんなに待たないで。連絡しづらくなるから」
  互いにクスクスと笑いあって、緊張の糸が解けた

〇綺麗なリビング
千春「じゃ、またね」
和樹「わかった。ちーねえ・・・好きだよ」
  和樹が言い逃げをして、電話は切れた
千春「もう!言わないでって、言ったのに!」
  顔が火照って、目が潤む

〇綺麗なリビング
千春「あー、もうどうしよう・・・」
  隆也のこと、嫌いじゃないのに
  でも、和樹には、敵わない
  会いたいときに会えない
  欲しい言葉をくれない
  二言目には、めんどくさい

〇綺麗なリビング
  逆に、陰ながら支えてくれた和樹
  甘え上手で、癒し上手で、会話も楽しい
  短いlineですぐに気づいて、電話をくれる
  もう無理だよ、隆也
  私のこと、当たり前にし過ぎたよ

〇綺麗なリビング
千春「私だって、めんどくさい彼氏なんか、返品するわよ!」
  ちょうど明日は金曜日
  
  昔の歌にあったよね
千春「決戦は金曜日~♪ってね」
  友達より好き
  彼氏より好き
  自分に嘘なんてつけないじゃない?
  女は切り替えると、早いのよ
  
  
  END

コメント

  • 友達以上恋人未満の時期っていちばん気楽で、気を遣わずに遠慮なくいろんなこと話せて、気づいたら大切な人になってたりしますよね。とても共感しました。

  • 2人にしかわからないことってありますよね、でも客観的にみるとそんな彼よりって思ってしまう。女の子の気持ちが伝わってきました 。

  • 自分を大切にしてくれない彼氏より、彼の方がどうしても魅力的ですよね。
    さっさと別れて、彼と一緒になる方が彼女にとっては幸せになれると思います。

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