雄馬町の怪

平家星

#10 次元のゆがみ(脚本)

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〇黒
  カナを追って、謎の異空間に飛び込んだミチオ。
  やっとの思いで追いついたが・・・。
金丸ミチオ「カナちゃん・・・」
  ほっとしてカナの手を取る。
金丸ミチオ「!? カナちゃん! 俺だよ、ミチオだよ!」
北条カナ「・・・・・・」
金丸ミチオ「その目・・・どうしたんだよ?」
金丸ミチオ「わからないの? ほら、いつも師匠って呼んで・・・」
北条カナ「・・・・・・」
  カナは沈黙したまま、再び走り出す。
金丸ミチオ「待って!」
  ミチオが必死に追いかけるが、カナはみるみる遠ざかっていく。
  ふと、カナの足が止まった。
  彼女の行く先にいたのは、異様に長い手足を持つ巨大な怪物。
  ──スレンダーマンが立っていた。
金丸ミチオ「あいつは・・・!」
スレンダーマン「・・・・・・」
金丸ミチオ「どうしてだ! そいつは君をさらったんだぞ! 一緒に帰ろう! カナちゃん!」
  ミチオが叫びながらカナに駆け寄る。
  しかし次の瞬間、ミチオの前に大きな時空のゆがみが現れた。
金丸ミチオ「!?」
  走る勢いのまま、ミチオはゆがみの中に飛び込んでしまう。
金丸ミチオ「うわぁ!」

〇学校のプール
  空中に投げ出されるミチオ。
金丸ミチオ(なんだ? 体の力が・・・入らない・・・)
  ミチオは叩きつけられるように、学校のプールの中に落ちた。
  バシャッ
金丸ミチオ(水・・・ダメだ・・・溺れる・・・)
三上ショウマ「ミチオッ!」
  ショウマがプールに飛び込み、沈んでいくミチオの体を抱きかかえた。

〇学校のプール
金丸ミチオ「・・・・・・」
金丸ミチオ「!? ・・・カナちゃん!」
  慌てて起き上がると、ミチオはずぶ濡れでプールサイドに横たわっていた。
浦上ナオキ「ミチオくん!」
三上ショウマ「目が覚めたか」
金丸ミチオ「学校のプール・・・。 ショウマが助けてくれたのか?」
三上ショウマ「飛び込んで、お前を引き上げただけだ」
金丸ミチオ「ありがとう・・・」
三上ショウマ「・・・前に体育館で俺が落っこちた時、助けてくれたのはお前なんだってな」
金丸ミチオ「え? ああ、まぁ」
三上ショウマ「チッ・・・なら俺は、お前にまだ借りが1つあんのかよ」
南雲チハル「本当に空から降ってきたから、びっくりした。この化け物の言う通りになるなんて」
くだん「くだん様な。 ほら、俺の勝ちだ、トウニュウよこせ」
南雲チハル「うるさいわね。後で買ってくるわよ!」
金丸ミチオ「そうか、カバンごと、くだん落として・・・」
くだん「冗談じゃないぜ。雑に扱いやがって」
浦上ナオキ「急に輪っかに飛び込んで消えたから、びっくりしました」
浦上ナオキ「くだんの予言を聞いて、ここに来たんです。『ミチオくんが、プールで溺死する』って」
南雲チハル「ねぇ、今まであんたたちの身の周りで起きたこと、イチから説明してくれない?」
人魚「ボォォォッ!」
  プールの水面では、人魚が楽しげに飛び跳ねている。
南雲チハル「あの気持ち悪い魚の話も含めて!」

〇学校のプール
南雲チハル「なんて悲しいお話なの!? ミチオ、あんた、大変な思いでいたのね!」
南雲チハル「私、応援するッ! カナちゃん絶対見つけて、助けてあげよッ!」
浦上ナオキ「すごいリアクション・・・」
三上ショウマ「なぁ、その子は、どこかにまた消えたのか?」
浦上ナオキ「ミチオくんが飛び込んだのは、おそらく異次元」
浦上ナオキ「得体のしれないその場所に、未だにいるんだと思いますが・・・」
金丸ミチオ「・・・連れて帰ってこれなかった」
浦上ナオキ「・・・・・・」
金丸ミチオ「・・・・・・」
南雲チハル「とにかく、今日は帰って休まなきゃダメ!」
南雲チハル「いつまでもずぶ濡れでこんなところにいたら、あんたたち風邪ひいちゃうよッ!」

〇教室の外
三上ショウマ「ミチオ。一人で弁当とは、寂しいもんだな」
  翌日、校庭の隅で昼食をとっていると、ショウマがやってきた。
金丸ミチオ「ショウマ。今日からか」
三上ショウマ「ああ。停学、明けたよ」
金丸ミチオ「早速、午前中はサボりか。お前らしいな」
三上ショウマ「カナって子のこと、考えてたのか」
金丸ミチオ「うん・・・」
金丸ミチオ「せっかく見つけたのに、俺、また助けられなかった」
三上ショウマ「なぁミチオ、お前そんなに自分を責め・・・」
浦上ナオキ「ミチオく~ん!」
浦上ナオキ「ああ、ショウマくんもいたんですか! ちょうどいいです」
金丸ミチオ「どうかしたの?」
浦上ナオキ「手紙、返ってきたんですよ!」

〇田舎の公園
  チハルも呼んで、ミチオたち四人は黒岩現からの手紙を広げた。

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コメント

  • スレンダーマン、やばすぎー!

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