雄馬町の怪

平家星

#9 ナリーポンの実③(脚本)

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〇田舎町の通り(看板あり)
  塾を終えたチハルは、帰路についている・・・。
  友人と別れた、その数分後・・・。
南雲チハル「あ~、頭使ったからかな。 甘いもの食べたい」
???「・・・おい。お前、動くな」
南雲チハル「!?」
  背後からの声に、立ち止まる。
南雲チハル「なっ、なに・・・!?」
  チハルのぴったり後ろに、ショウマが立っていた。
三上ショウマ「・・・これ、見ろよ」
南雲チハル「・・・包丁!? きゃぁぁあ!」
三上ショウマ「静かにしろ。・・・あんたが必要なんだ」

〇けもの道
  ショウマに包丁を突きつけられたまま、チハルは山道を歩いた。
南雲チハル「友達も心配してたじゃん。 こんなことやめなよ!」
三上ショウマ「・・・これ以外の選択肢がないんだ」
南雲チハル「あ、もしかして相談相手が欲しいの? オッケー、話聞いてあげるよ!」
南雲チハル「ほら、私の方が、いくらか人生経験も豊富だと思うし」
三上ショウマ「黙って歩け」

〇山の展望台(鍵無し)
  チハルとショウマが山頂に着くと、木の近くでミチオが何やら作業をしていた。
金丸ミチオ「・・・嫌だけど、やるしかない」
三上ショウマ「お前! そこで何してる!?」
金丸ミチオ「ショウマ! ・・・やっぱり予言通り、やってきちゃったか・・・」
三上ショウマ「消えろ! 邪魔するならお前も殺す」
金丸ミチオ「落ち着け! その人を開放して、話をしよう。な?」
三上ショウマ「うるせえ! どいつもこいつも、俺たちに口出しやがって」
南雲チハル「ねぇ! この人、包丁持ってるの・・・あんまり刺激しないで・・・」
  ショウマはチハルに包丁を突き付けたまま、ミチオに近づく。
金丸ミチオ「この木の実が成長すると、町のみんなが危ない目に合うんだ・・・」
金丸ミチオ「言いなりになって、やがて征服される。 お前はそういうものを、育ててるんだぞ!」
三上ショウマ「何言ってるんだ? 母さんはそんなことはしない」
南雲チハル「母さん!? あの実が!?」
三上ショウマ「・・・俺ができることは、この女の血を捧げることだけだ」
南雲チハル「ちょ、ちょっと!」
  ショウマがチハルに包丁を突きつける。
金丸ミチオ「ナオキ!」
  そのとき、暗がりからナオキが飛び出して、ショウマの顔をライトで照らした。
三上ショウマ「!? 目が・・・」
  驚いたショウマは思わずチハルを放す。
浦上ナオキ「うぉぉぉ!」
  ナオキがショウマの腕をとり、二人は組合いになった。
三上ショウマ「何だてめえ・・・お前から殺してやる・・・!」
浦上ナオキ「ショウマくん、目を覚ましてください・・・!」
三上ショウマ「死ね、死ね、死ね!」
浦上ナオキ「ミチオくん、今しかありません!」
金丸ミチオ「わかった!」
三上ショウマ「!? お前それって・・・」
金丸ミチオ「・・・マッチだよ。すでに灯油も撒いた。 俺は今から、この木に火をつける」
三上ショウマ「やめろ・・・やめろっ!」
  ショウマは包丁を落として、ミチオに向かって走る。
  しかし、それよりも早くミチオはマッチを擦って木の実に火を放った。
金丸ミチオ「・・・ごめんよ」
  瞬く間に炎が広がり、木を襲う。
三上ショウマ「やめろぉぉぉぉ! 母さん! 母さん!」
  炎上する木に飛び込もうとするショウマを、ミチオは必死で抑えた。
金丸ミチオ「ショウマ、あれはお前のお母さんなんかじゃない! お前を惑わせてるんだ」
三上ショウマ「嫌だ! 母さん! 母さん!」
謎の実「・・・熱い・・・熱いわショウマ・・・。 助けて・・・お願いよ・・・」
三上ショウマ「・・・母さん! 放せコラァ!」
金丸ミチオ「お前の母さんは亡くなってるんだろ!?」
三上ショウマ「うるさいうるさい!」
  ナオキも加わり、振りほどこうとするショウマを二人がかりで抑えた。
浦上ナオキ「おうちで写真を見ましたよ! あんな奴より、ずっと綺麗な人でした!」
三上ショウマ「お前らに何がわかるッ!」
南雲チハル「わからないよ! わからないけどさ、こうやって心配してくれてる友達がいるじゃん!」
三上ショウマ「うるさい・・・! 母さんがいなければ、俺は一人になっちまう」
金丸ミチオ「一人にはしない!」
三上ショウマ「そんなの信じられるかよ!」
金丸ミチオ「信じろ! お前は嫌だろうけど、俺たちはお前の味方だよ!」
三上ショウマ「・・・・・・」
金丸ミチオ「ショウマ!」
三上ショウマ「・・・うっ・・・うっ」
謎の実「ショウマ・・・。 ・・・母さんを、助けてくれないの?」
三上ショウマ「・・・・・・」
謎の実「ショウマ!」
三上ショウマ「・・・ごめん。母さんは、もう死んだんだ。俺は、こいつらといるよ・・・」
謎の実「・・・・・・」
三上ショウマ「・・・・・・」
謎の実「・・・許さんぞ!」

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