〇繁華な通り
　　まただ
日向(ひなた)（視線を感じる）
日向(ひなた)「もしかしてストーカー！」
日向(ひなた)（なんてね。 明日の講義は午後からだし 今日は呑みまくるぞ〜♪）

〇シックなバー
　　ガチャ
陸(りく)「いらっしゃいま──」
陸(りく)「・・・」
日向(ひなた)（なんだろう？ 見つめられてる気が──）
陸(りく)「なぁ、あんたさ。 もしかして──ミカン？」
　　そのあだ名！
日向(ひなた)「陸さん!?」
陸(りく)「あぁ。 ・・・久しぶり」
日向(ひなた)「全然気づかなかった!! ──すっかり大人の男性って感じだね！ 最後に会ったの５年前くらい？」
陸(りく)「あぁ。 ・・・家庭教師だった頃思い出すな」
陸(りく)「数学教えてくれた礼だって いつも大量に蜜柑くれた」
日向(ひなた)「あ、あれは！ 親戚が蜜柑農園なだけで 別に好きな訳じゃ──」
陸(りく)「知ってるよ。 おまえの好きなものくらい」
日向(ひなた)（うぅ・・・。 これってからかわれてるよね？ ──５年前と変わらない。 私だってもう！）
日向(ひなた)「20歳なのに!!」
陸(りく)「えっ？ おまえが──」
日向(ひなた)「・・・見えない？」
陸(りく)「いや。 ──そうか、もうそんな経つのか。 俺も急がねえとな・・・」
日向(ひなた)「え？」
陸(りく)「何でもねえ。 それより飲みにきたんだろ？ ──おごってやる」
日向(ひなた)「えぇ！あの陸さんが!?」
陸(りく)「・・・成人祝いはミルクでいいんだな」
日向(ひなた)「ごめんなさい！冗談です!! えっと、それじゃあ──」
日向(ひなた)「陸さんのおすすめが飲みたい！」
陸(りく)「俺の？ ──了解」
　　カチャカチャッ──
日向(ひなた)（うわ〜。 シェイクしてる姿カッコイイ!! 何やっても絵になるなぁ──）
陸(りく)「・・・ほらよ」
日向(ひなた)「綺麗・・・」
陸(りく)「アプリコットフィズ。 意味は──」
陸(りく)「・・・後で調べろ」
日向(ひなた)「はーい！ ──じゃあ、早速！いただきま〜す！」
日向(ひなた)「ん〜♪ ──美味しい!!これなら何杯でもいけそう！」
陸(りく)「・・・ほどほどにしろよ？ 二日酔いになっても知らねえから」
　　30分後
日向(ひなた)「薬学部だったから、 てっきり薬剤師になると思ったのにぃ！ ──なんで？」
陸(りく)「さっきも言っただろ、秘密だ」
　　1杯でこんなになるのかよ。
　　──隙ありすぎ
陸(りく)「・・・おまえ、もうそれ以上飲むな」
日向(ひなた)「嫌です！ 今日は呑んで、呑んで！ ストーカーを撃退するんです!!」
陸(りく)「ストーカー？」
日向(ひなた)「うん！今ならボコボコにできそう!!」
　　ダッ
陸(りく)「はぁ!? おい、ちょっ──」
　　バタンッ
陸(りく)「──っ!! あのバカッ！」

〇ビルの裏通り
　　あれ？
日向(ひなた)「何しようとしたんだっけ」
「ひ〜なたちゃん♪」
新渡戸(にとべ)「ダメだよ〜？ １人でこんな暗い路地入っちゃあ」
新渡戸(にとべ)「それとも── 僕と２人きりになりたくて こんな事したのかな♪」
日向(ひなた)「・・・誰、ですか？」
新渡戸(にとべ)「──まだ酔ってるんだね。 〇〇喫茶、いつもそこでデートしてるでしょ」
日向(ひなた)「あっ！」
　　バイト先のお客さんだ・・・。
新渡戸(にとべ)「そろそろ君の本音を聞こうと思ってたんだ」
　　ザッ
新渡戸(にとべ)「まぁ聞かなくても分かるけど！」
　　ザッ
　　この人、なんか変だ・・・
　　ザッ
　　逃げないと──!!
　　ザッ
日向(ひなた)「足が動かない・・・!?」
　　ザッ
日向(ひなた)「──っ!!?」
「それ以上こいつに近づくな」
日向(ひなた)「あっ・・・」
新渡戸(にとべ)「何あんた？ 突然来てさぁ、 俺の日向ちゃんから離れてよ!!」
陸(りく)「厚生局麻薬取締部だ。 新渡戸──。 おまえを大麻取締法違反の疑いで逮捕する」
新渡戸(にとべ)「マトリ？ ・・・はっ！証拠でもあるわけ？」
陸(りく)「おまえの唾液から マリファナの成分が検出された。 ──BARで外人と取引もしただろ。 奴はもうとっくに留置所だ」
新渡戸(にとべ)「っ!? デタラメなこと言うなよ！」
陸(りく)「おまえに 美味いジントニック作ってやった奴、誰だよ」
新渡戸(にとべ)「あんた、あの時のバーテンダーか!!」
陸(りく)「じき応援も駆けつけてくる。 それまで大人しくしとくんだな」
新渡戸(にとべ)「クソが!! くたばれやあ!!」
　　グキッ
新渡戸(にとべ)「うっ──」
陸(りく)「っふ──。 おい！怪我はないか？」
日向(ひなた)「う、うん。 私は平気だけど、陸さんが──」
陸(りく)「気にするな。 ただの擦り傷だ」
　　キキッ──
陸(りく)（来たか）