噂のタイツマン

山本律磨

絵師『NAO』の爆誕!…における理想と現実(脚本)

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〇可愛らしい部屋
直「ふむ・・・」
直「否」
直「否」
直「否」
直「否」

〇明るいリビング
直の母「直~そろそろ出るわよ~」
直「お待たせ」
直「行ってきまーす」
直の父「待ちなさい」
直の父「学生服で行きなさい。カツラも外せ」
直「ズラじゃない!ウイッグ!」
直の母「いいんじゃない?一生に一度のハレ舞台なんだから」
直「一度って言いきらないでよ」
直の父「一度でもちゃんとするんだ」
直の父「市報にも載るんだろ。卒業式みたいなもんだ。マンガのな」
直の父「夏休みからは来年の受験に向けてもっと」
直「再来年!」
直の父「マンガ家になるなんてダメだからな!」
直「イラストレーター!」
直「着替えりゃいいんでしょ着替えりゃ!」
直の父「直!」
直の父「全く・・・」
直の母「賞取ったんだから、それなりに才能があるって事じゃない?」
直の父「子供なら誰でも良かったんだろう。ただの町長の人気取りだよ」
直の父「大倉建材んとこの大将が首取ろうとしてるって噂だからな」
直の母「おめでとうくらい言ってあげれば」
直の父「言っただろ」
直の母「言ってません。もう一度ちゃんと・・・」
直の父「疲れてんだよ。寝かせてくれ」
直「・・・」
直の父「・・・」
直「行ってきます」
直の父「おう」
直の母「寝てないじゃない」

〇オーディション会場の入り口
「それでは優秀賞に続きまして、大賞を発表させていただきます」

〇大広間
不敗郎「第一回裏山町シンボルキャラクターコンテスト。大賞は滝沢直さん考案」
不敗郎「『裏山戦士オニキング』です」
直「・・・」
不敗郎「では若竹たけし町長より賞状の授与です」
若竹町長「賞状。滝沢直どの。あなたはこの裏山町を盛り上げる為地元愛溢れる素晴らしいキャラクターを考案してくれました」
若竹町長「ここにその才能と栄誉を讃え、滝沢直どのと裏山戦士オニキングを表彰いたします。2022年7月1日」
若竹町長「裏山町町長若竹たけし!」
若竹町長「おめでとう」
直「ありがとうございます」
不敗郎「では滝沢さん。受賞のお言葉を」
直「こ、こ、このたびは、私の考えたジーク・デーモン・・・」
不敗郎「ごほんっ!ごほんっ!」
不敗郎「失礼しました」
直「・・・」
直「オニキングが優勝してとてもうれしいですどうもありがとうございました」
映見「はいはーい。それでは記念撮影になりまーす。まずは優勝された滝沢さんと町長」
映見「あ、是非お母さんも」
直の母「わ、私もですか?」
若竹町長「是非是非」
映見「町長とで挟む感じでお願いしまーす」
直の母「こ、こうですか?」
若竹町長「これじゃあまるで夫婦みたいじゃないか。違うか。はっはっは」
  『じゃあ撮りまーす!』
若竹町長「ではもう一枚、今度は優勝者と撮ってくれたまえ」
映見「はい」
若竹町長「これ一番大事な写真なんでしっかり頼むよ。記事の方もよろしく」
映見「かしこまりました」
  『撮りま~す。あ、直ちゃん笑って~』
  『はい。牛乳~』
直「ははっ」
映見「はいありがとうございました。次は優秀賞の方と特別賞の方、お二方とお願いしまーす」
若竹町長「同時にいこう同時に」
直「あ、あの!町長!」
若竹町長「うん?」
直(バカ親父を見返してやるんだ)
直「私、将来、ってか。まあ今もネットでですけどイラストの修行してて・・・」
直「将来、ってかまあ今もですけど、受注とかも受け付けてて・・・」
直「その、将来・・・将来デザイン系の仕事につきたいって思ってて」
直「こ、これ私が作ったオリジナルの名刺で」
直の母「こらっ!失礼でしょ直。すみません」
若竹町長「そうか~凄いんだね~がんばってね~」
直「・・・」
映見「・・・」

〇大ホールの廊下
不敗郎「あーしんど」
映見「マック」
不敗郎「マック言うな」
映見「ほれ。このタイミングでちゃんと謝ってこい」
不敗郎「何を」
映見「優勝させる条件として名前変更させたでしょ。黒雲の鬼皇子ジークデーモンを」
映見「オニキングて・・・」
映見「オニキングて・・・」
不敗郎「二回言うな」
不敗郎「何で知ってんだよ」
映見「地方雑誌の記者だからって甘くみないでよね」
不敗郎「提案しただけだよ。より町民に受けそうな分かりやすい名前にしてみたらどうでしょうって」
不敗郎「だったら好きにつけて下さいって言うから」
映見「オニキングて・・・」
不敗郎「分かりやすくていいだろっ!」
映見「そういうのをテキトーと言う!」
映見「ネーミングは作家の命なのよ!ホラ謝りに行くよ!」
不敗郎「何だよもう・・・」

〇大広間
不敗郎「あ、電話ではどうも」
直の母「滝沢です。直。挨拶しなさい」
直「・・・こんにちは」
不敗郎「な、何かゴメンね。こっちで名前変えちゃってさ」
直の母「いいんですよ名前くらい。直もいい思い出が出来たんだから、ね」
直「・・・」
映見「こんにちは。直さん」
映見「私、地方雑誌『ビバ農村』取材部澄川映見です」
直の母「滝沢です。ほら挨拶」
直「分かってるって!いちいち子ども扱いしないでよ!」
映見「まあまあ喧嘩しない喧嘩しない」
映見「あの、滝沢先生。お名刺頂けますか?」
直「え?」
直の母「すみません何だか気を使って頂いて」
映見「普通ですよ。名刺交換くらい」
直「ど、どうぞ」
映見「絵師『NAO』先生ですね」
映見「素敵。今度私も受注しようかな?」
直「は、はい!宜しくお願いします!」
映見「すみませんね。子供だからって名刺も渡さないで軽く扱う人間もいて」
映見「最悪ですよね~社会人失格ですよね~」
不敗郎「・・・どうぞ。お名刺の方を」
直「とべ・・・ふはいろう・・・?」
映見「ブッ・・・!くくくくく・・・」
直の母「卜部(うらべ)ってお読みするのよ。下は・・・」
直の母「・・・ふはい?」
映見「くくく・・・くくくくく・・・」
不敗郎「泣くほど笑うな!」
映見「だ、だってこのくだり、誰に聞いても同じリアクションだから・・・」
映見「うらべまっけんろう君。『不敗』と書いて負けん」
直「そうなんですか・・・」
直の母「失礼いたしました・・・」
不敗郎「・・・」
不敗郎「ところでこのあと懇親会があるのですけど」
不敗郎「良かったら是非!」
映見「こらー。態度悪いぞ公僕ー」
直「あの・・・澄川さんは出られんですか?」
映見「出るよ。たっぷり取材させてね、NAO先生」
直「はいっ!」

次のエピソード:ジーク・デーモンとやらを有効活用せよ!

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