【1.父のハートに火が点いた】(脚本)
〇おしゃれなリビングダイニング
ミキヤ「お父さんな、タップライターで食っていこうと思う」
マドカ「・・・・・・」
マドカ「なんて?」
ミキヤ「タップライター。TapNovelの、ライターだ」
マドカ「いや、説明が欲しいのはそっちじゃなくて」
マドカ「食っていくって、何?」
ミキヤ「これからのお父さんは、TapNovelで物語を書く仕事をして、生きていくという意味だよ」
マドカ「丁寧にどうも! でも全然意味分からないから!」
ミキヤ「補足しようか。そもそもTapNovelっていうのは──」
マドカ「知ってるから! まさか父さん、専属ライターになったってコト?」
ミキヤ「専属ライター?」
マドカ「あ、違うんだ。そして知らないんだ」
ミキヤ「いいか、息子よ。TapNovelさんでは、コンテストが開催され、賞金が出る」
ミキヤ「それで稼げば、食っていけるだろ」
ミキヤ「お父さんな、TapNovelで賞金稼ぎになろうと思う」
マドカ「信じられないくらいの皮算用! 中学時代のオレみたい!!」
ミキヤ「大丈夫」
ミキヤ「ちゃんと仕事も辞めて、TapNovel一本に専念するから」
マドカ「しっかりしろ、大手企業の人事部長! 定年まであと少しなのに」
ミキヤ「TapNovelには、人生を賭ける価値がある!」
マドカ「かっこいい台詞なんだけどなぁ! 父さんの口から出なければ!」
マドカ「・・・」
マドカ「てか父さん。小説書いたりするんだね。正直、そこから意外なんだけど」
マドカ「仕事一筋ってイメージだったから」
ミキヤ「いや、TapNovelで書いたのが初めての小説だよ」
ミキヤ「ミキヤのデビュー作⭐︎」
マドカ「そういうのいいから」
マドカ「それでよく、TapNovelと出会えたね。広告で見かけたとか?」
ミキヤ「お前の部屋にあった公募ガイドで」
マドカ「勝手に読まないで」
ミキヤ「それはスマン」
ミキヤ「でもお父さんな、おかげで救われたんだ」
ミキヤ「だから「スマン」じゃなくて、「ありがとう」だな」
マドカ「勝手に感動路線走り出さないで」
ミキヤ「お前の言った通り、ずっと仕事一筋だったよ。家族のため、会社のため」
マドカ「そして止まらないんだ」
ミキヤ「でも最近になって、自分の人生これでいいのかって・・・考えてしまうことが多くなってね」
マドカ「そうだったんだ・・・」
ミキヤ「会社の若い子とは、なんか話が噛み合わないし。距離感じるし」
ミキヤ「息子も、家に居てもすぐ部屋にこもっちゃうし」
マドカ「父さん・・・」
ミキヤ「ミキヤ、とってもさみしくて」
マドカ「もっと重い話かと思った!」
ミキヤ「それでこの前、お前の部屋に侵入して──」
マドカ「言い方」
ミキヤ「お前や、今の若い人が好きなものを学ぼうと思ってね」
ミキヤ「それで公募ガイドを見て、TapNovelさんのコトを知ったんだ」
ミキヤ「勉強のつもりで、自分でも書いてみようと思ったんだよ」
マドカ「・・・そっか。スマホ操作も苦手なのに、よくやれたね」
ミキヤ「正直、仕事より大変だったよ。まさかこの年になって、まったく新しいコトに挑戦することになるとはね」
ミキヤ「それに・・・あんな風に褒められたのは、何年ぶりだろう」
マドカ「ほめ? ああ、感想もらえたってこと?」
ミキヤ「ああ。私の書いたものが人に読まれ、その感想を聞くことができるなんて・・・」
ミキヤ「会社では、誰も私の作った資料に「イイね」はくれない。感想だってもらえない」
ミキヤ「「了解しました」「拝受いたしました」、事務的で無機質な定型文ばかり」
マドカ「上司に対する態度としては当然って気がするんだけど」
ミキヤ「忘れもしないよ。あの「あなたの作品にコメントが付きました」の通知が来た時の喜び」
ミキヤ「母さんへのプロポーズ成功、生まれてきた息子と初めて対面した時・・・あの感動に匹敵する」
マドカ「人生のビッグイベント扱い!」
ミキヤ「あの時、久しぶりに・・・・・・いや初めてかもしれないくらい感じたよ」
ミキヤ「父さんの承認欲求が満たされるのを、ね」
マドカ「素直な言葉だなぁ! もう尊敬するよ!!」
ミキヤ「だから今、父さんは仕事よりTapNovelの世界に居たいんだ」
ミキヤ「ファンのみんなのために、これからも私の作品を届けなければならない」
ミキヤ「そしてまた、褒められたい!」
マドカ「き、気持ちは分かる。俺もTapNovelやってるから分かるけど、ちょっと父さん落ち着いて」
ミキヤ「やだ! 私は冷静だし本気だ!」
マドカ「駄々こねないのミキヤ!」
ミキヤ「本気の証拠に、もう新作だってできている。今晩アップするから、また読んで感想をくれないか──」
ミキヤ「──"小説王に俺はなる"さん」
マドカ/小説王に俺はなる「・・・」
マドカ/小説王に俺はなる「なんで俺のタップライター名を知ってるんだよ!」
マドカ/小説王に俺はなる「まさか父さんの作品に感想つけたの・・・俺かッ!!」
終わり
実話かな⁉️
と思うくらいセリフとシチュエーションがリアル❣️
お父さんな、というタイトルの冒頭&セリフの出だしが可愛くて好きです❤️😊たまに一人称ミキヤなったり、私になったりも良し❤️
あと、公募ガイド‥
まだあったんだ❣️私も若い頃はよくお世話になりました❤️
🤣ノシ⭐︎⭐︎
面白かったです🤗感想をもらえると、飛び上がるぐらい嬉しいですよね🌟私もそれを糧に生きているかもしれないと、時々考えたりしてます😌
タイトルに惹かれてしまいました!
お父さんの気持ち、わかるけど早まらないで!