第14話 爆弾魔・スグル登場!②(脚本)
〇廃工場
夜空に浮かぶ三日月。
犬の遠吠えに混じって、ガシャガシャと金属音が鳴り響く。
〇荒れた倉庫
古くて薄暗い工場内。
丸型の機械を載せた大きなリフトが、天井付近から降りてきた。
盆場スグル「ふ~やれやれ。よいしょっと」
盆場スグル「どわっ」
機械はリフトから降りようするが、コードに脚をひっかけてゴロゴロと転がる。
盆場スグル「う~ん、この覗き窓の小ささ、なんとかせんとな!」
バシュウと蒸気が噴き出す音とともに、機械の乗り口が開いた。
盆場スグル「しかし、今日の作戦はどうしてうまくいかなかったんだ~?」
盆場スグル「うむ~、わたしの爆弾は最強のはずなのに!」
ぐぅ~
盆場スグル「よしよし、腹が減っては戦はできぬというしな!」
スグルは身軽にリフトから飛び降りると、作業台の上のチョコレートをつまんだ。
盆場スグル「ん~相変わらず美味い! チョコは至上の食い物だ!」
ちょうどそのとき、つけっぱなしのテレビからチョコレートのCMが流れ始めた。
CMの女性「はい、あ~ん?」
盆場スグル「あ~ん、か、いいな・・・」
盆場スグル「あんなふうに誰かが食わせてくれたら、食事中も爆弾が作れる」
盆場スグル「って! そうじゃない! 新しい最強爆弾のアイデアを練らなければ!」
盆場スグル「う~~ん!」
盆場スグル「・・・ひらめいたっ!」
〇古いアパート
〇雑多な部屋
ちゃぶ台の上には、美味しそうなオムライスと緑色のグロテスクな食べ物が並んでいる。
アテナ「光、なぜここに貴方が?」
嘉成光「え? お隣さんだからお裾分けに来たんだよ」
高原小太郎「嘉成光がお隣さんなんて、すごいよね! 俺、明日学校で自慢しようっと!」
みこが緑色の炒め物に箸を伸ばした。
高原みこ「いっただきま~・・・」
アテナ「! 御主人(マスター)、危険物を不用意に口に入れないでください!」
嘉成光「俺の特製野菜炒めが、危険物なわけないでしょ。食べてからそういうこと言ってよね」
高原みこ「あ、そっか。じゃあ先にアテナが食べる? ほら、あ~ん」
アテナ「あーん?」
高原みこ「口開けてって意味! 食べさせてあげる」
アテナ「結構です」
嘉成光「食わず嫌いは人生損するよ~」
高原小太郎「ぼく、ゲテモノって結構好きなんだよね~、いただきまーす!」
嘉成光「ゲテ・・・?」
小太郎は緑色の炒め物をパクリと口に入れた。
高原小太郎「うっ!」
高原みこ「美味しすぎたのかな?」
嘉成光「えっ、そうなの? 嬉しいなあ!」
アテナ「まずいんですよ」
高原小太郎「おえ~~~っ!!」
〇大きな木のある校舎
キーンコーンカーンコーン
盆場スグル「だっはっは~!」
盆場スグル「高原みこ! これから美味しい爆弾をプレゼントしに行くからな~!」
〇まっすぐの廊下
生徒たちに混じって、堂々と二階の廊下を歩いていくスグル。
周囲の生徒たちは、ギョッとした顔でスグルから距離をとった。
盆場スグル「だっはっは~! 誰もわたしの正体に気づいていないようだな!」
光の声「みこちゃーん!」
盆場スグル「!!」
窓に駆け寄ると、一階の校庭にみこと光の姿があった。
盆場スグル「そんなところにいたのか!」
スグルは窓を開くと、勢いよく校庭へと飛び降りた。
〇教室の外
盆場スグル「ぐえっ!」
盆場スグル「そ、そうだった、今日ははボンバ・スーツを着ていないから・・・」
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