ちゃんと選んで、閻魔ちゃん!

安芸沙織理

第3話 聞き込みはとっても大事(脚本)

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安芸沙織理

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〇西洋の円卓会議
  閻魔になった私だけど、どんな人も天国送りにしてしまうことは、やはり問題らしい。
  今日はその件で話があると、仏様と餓鬼くんに呼び出されてしまった・・・。
園真帆「うーん・・・話ってなんだろ。やっぱり怒られるのかな?」
園真帆「それなら、会議室に入る時にあんまり元気があると反省してないって思われそうかな・・・」
園真帆「いやでも、落ち込んでる風だと演技して同情を引こうとしてると勘違いされてしまうかも・・・それはよくないよね」
園真帆「こうなったら、ここはあえてやっぱり入らないとかもあり・・・?」
園真帆「でも、呼び出されたのを無視するっていうのも・・・」
仏様「ええい! 扉の前まで来てぐちぐちうるさい!」
仏様「さっさと入りなさいよ!」
園真帆「う・・・ごめんなさい」
園真帆「えーっと、今日はどうされたんですか?」
仏様「どうしたもこうしたもないわよ。あんた、最近の天国の状況わかってる?」
園真帆「・・・罪人のみなさんは、天国に行って改心した。なんてことは・・・」
仏様「あるわけないでしょ。むしろ治安が最悪になっていってるわ」
餓鬼「逆に地獄は人が来なくて、なんだか平和になってきてます」
園真帆「それは・・・良いことですかね?」
仏様「良いわけあるか! 天国が荒れて、地獄が平和なんて聞いたことないわ!」
餓鬼「おかげで仕事にハリがなくて、毎日退屈です・・・」
園真帆「うう・・・ごめんなさい」
園真帆「これからは、おふたりのためにもきちんと天国送りか地獄送りかをジャッジしていきます・・・!」
仏様「お、やる気はあるみたいね。安心したわ。じゃあ、今回は実地調査をしましょう」
餓鬼「魂のプロフィールは・・・名前『葛田卓(くずたたく)』、罪は恐喝とか盗みとかですね」
仏様「今度こそ、迷う余地はなさそうね」
仏様「それじゃ、下界へレッツゴーよ」
園真帆「え? え? 下界? それに実地調査ってなんですか?」
仏様「行けば分かるわよ」

〇渋谷のスクランブル交差点
  仮の肉体へと意識を移された私は、街へとやってきた。
  もうここは自分の場所じゃないんだと切なくなったけど、しっかりしないと。
園真帆「とりあえず・・・誰かに話を聞けばいいんですか?」
餓鬼「葛田の友人とか、知り合いとかをこの辺りに集めてますから、適当に話しかけてください」
園真帆「なるほど・・・それじゃ、あそこの男の人に・・・」
園真帆「いや、あっちの女の人の方がいいかな?」
園真帆「いや、その向こうにも人が──」
仏様「誰でもいいから、さっさと行け!」
園真帆「は、はい!」
園真帆「ちょっと葛田さんについて話を聞かせてもらえますか?」
男A「あいつは無職だし、借金ばっかりするし、最低だよ。そう思わないか?」
園真帆「え、私の友達にはそんな人いなかったし、わかりません・・・」
園真帆「でも、働かずに借金は良くないかも・・・」
園真帆「あ、でも何か理由があるなら・・・」
餓鬼「ロクでなしっぽいし、次こそは地獄行きでしょう」
園真帆「そうなんですかね・・・」
園真帆「じゃあ、地獄行きにしようかな・・・」
仏様「決めるのまだ早いって」
園真帆「とりあえず他の人にも話を聞いてみます・・・」
園真帆「すいませーん、葛田さんの話を──」
女A「ああ、あいつは最低の男よ。嘘ばっかりついて、女をナンパしてすぐにポイするの」
女A「そんなの、女の敵だと思わない?」
園真帆「確かに良くないかも・・・」
園真帆「でも、優柔不断なせいで一人の女の人に絞れないとかかも・・・」
園真帆「それだと私もいつも悩むし、無理もないかも・・・」
園真帆「いちおう、もうちょっと・・・聞きこみを・・・」
男B「ねえちゃん、あんたあいつの関係者か?」
園真帆「関係者っていうならそうかもしれないですけど、そこまで深くはないというか」
園真帆「あ、でも行く先を決めるには関係してないとダメなのかな・・・?」
仏様「ええい! だからはっきりせい!」
男B「なんかよくわからんが、関係者っていうなら、葛田の借金を代わりに払って──」
仏様「無関係よ!」
園真帆「うう・・・結局、聞き取りがうまくいってません・・・」
餓鬼「そろそろいいんじゃないですか? 地獄行きで決定してしまいましょうよ」
園真帆「そう・・・ですね」
園真帆「あ、でもまだ人は残ってますし、これで切り上げるとなんか気になるというか・・・」
園真帆「でも、時間的にそろそろですかね?」
仏様「ええい! 悩む前に聞いてきなさい!」
園真帆「は、はい!」
  そして最後に、ポツンと佇んでいた老女に声を掛けた。
園真帆「あの・・・葛田さんの話を聞かせてもらってもいいですか?」
老女「卓のことですか・・・?」
老女「あの子は・・・確かに世間で言われてるように、どうしようもない子でした」

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