第4話 新システムで大成功!?(脚本)
〇裁きの門
これまでの失敗続きにより、私は自分の優柔不断さにほとほと嫌気が差していた。
いい加減に自分の性格を変えようと頑張ってはいたんだけど・・・。
園真帆「うう・・・何回やっても魂を天国送りにしてしまいます・・・」
餓鬼「・・・まあでも、最初の頃みたいに魂の話に丸め込まれることは少なくなりましたよ」
仏様「いちおう、進歩はしてるんじゃない?」
園真帆「・・・でも、このままじゃダメですよね」
仏様「当たり前でしょ。天国の人口密度がどんどん高くなってきてるんだから」
餓鬼「地獄の過疎化は進んできてます」
園真帆「はあ・・・どうしたら正しい判決を下せるようになるんでしょうか?」
仏様「ふふふ・・・そう言うと思って、新システムを開発したわ」
園真帆「どんなシステムですか?」
仏様「聞いて驚け! その名も『犯罪プレビュー』よ!」
園真帆「魂さんの犯した罪を見れる的なかんじでしょうか?」
仏様「そうよ、あんたがあんまり優柔不断だから無理いってシステム科に作らせたの」
園真帆「うう・・・私のせいで・・・申し訳ないです」
仏様「いいからいいから、これを使えば罪を犯したシーンが丸わかりよ」
園真帆「それなら、判決も下しやすそうです!」
餓鬼「さっそく、今日の審判で使ってみましょう!」
仏様「オッケー、じゃあ、いつものアレ、いくわよ!」
園真帆「え、もうですか?」
園真帆「もうちょっとどんなものか、雰囲気を掴んでからというか、心の準備を・・・」
園真帆「あ、でもどうせなら早く使った方がいい?」
仏様「ええい! 覚悟を決めなさい!」
「裁キングタイム、スタートでーす!」
〇裁きの門
お馴染みの裁きの場が出現し、少しおどおどした様子の魂が連行されてきた。
餓鬼「今回の魂の名は『西条真(さいじょうまこと)』」
餓鬼「罪は轢き逃げですね」
餓鬼「被害者は死亡してます」
仏様「これは完全に重罪人ね」
餓鬼「とりあえず今回は実地検証はなしで、プレビューと魂の弁論だけにしますか?」
園真帆「えっと・・・それでいい・・・かな?」
園真帆「でも実地検証も大事だし、やっとくべきかも」
園真帆「でもプレビューがあるなら飛ばしてもいい・・・?」
仏様「それくらいはさっさと決めて欲しいわ・・・」
仏様「とりあえず今回は実地検証はなしでいいんじゃない?」
園真帆「わ、わかりました」
餓鬼「それじゃ、犯罪プレビュー始めます!」
餓鬼くんがそう言うと、裁きの場にプロジェクターが降ろされ、映像が投影された。
〇走行する車内
すごいスピードで車が走っている。
園真帆「・・・あれ?」
園真帆「この車、なんだか見たことあるような・・・」
仏様「まあ、よくある車種だからじゃない?」
餓鬼「そんなことより、そろそろ犯行シーンですよ。集中してください」
園真帆「は、はい・・・」
そのまま車は猛スピードのまま、信号を無視して横断歩道に突っ込んでいき、ひとりの人を撥ねる。
そして、ひどい怪我を負った女子高生の顔が映る。
苦悶に歪むその顔は・・・。
園真帆「わ、私・・・?」
仏様「な、なんてことなの!?」
餓鬼「こいつは・・・西条は、閻魔ちゃんを殺した犯人なんだ!」
画面の中の私は、最後の力を振り絞るように、もがく。
だが、だんだんと動かなくなり、無常にもその命を終えた。
園真帆「あ、あああああああ!」
餓鬼「閻魔ちゃん、しっかりしてください!」
仏様「きゅ、休廷! 一時休廷よ!」
薄れゆく意識の中、私は思い出した。
車の中で茫然とする、西条の顔を。
〇裁きの門
園真帆「うう・・・」
仏様「あ、気が付いたわね」
餓鬼「閻魔ちゃん、大丈夫ですか?」
仏様「まさかの事態だったわね。さすがのあたしも予想外よ、あんなの」
仏様「裁きはどうする? できそう?」
園真帆「わかりません・・・。今は、何も決められそうにありません」
園真帆「・・・これまでもそうでしたけど」
仏様「そう、それじゃ、あたしが決めてあげる」
仏様「やりなさい、閻魔ちゃん」
園真帆「・・・え?」
仏様「本当はあんたに決断して欲しいけど」
仏様「このまま時間切れになるくらいなら、あたしが決めてあげる」
仏様「無理してでも、向き合ってくるべきよ。・・・その方が、後悔しないから」
園真帆「・・・・・・」
園真帆「・・・わかり・・・ました」
餓鬼「・・・仏様、今回ばかりは地獄行きですかね?」
仏様「そうね、でも、それが正しい判断よ」
仏様「こんな形で閻魔ちゃんが選択できるようになるのは、悲しいことだけどね・・・」
〇裁きの門
そして数時間後、裁きは再開された。
私は予定になかった実地検証も行い、西条に関する書類をくまなくチェックした。
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