第18話 精霊祭を散策したら人の輪は広がって(前編)(脚本)
〇渓谷
渓谷の朝は早い。
空はまだ薄暗く三日月は僕等を見守るように照らしている。
僕は可愛い天使達の寝顔を堪能してから渓谷の水面を眺める。
朝から甘い展開を繰り広げるのもありだが、せっかくの自然を等身大で味わいたかったのだ。
そして流れる川に釣り竿をセットする。
新鮮なお魚も朝食に加えたい所だ。
想里愛「真樹さんっ。」
真樹「あっ、おはよ~。」
想里愛「起きて甘えようと思ったら真樹さんいなくて寂しかったです・・・。」
真樹「あ・・・ごめんね・・・。」
想里愛「だからあたしをぎゅ~ってして朝のちゅ~もしてほしいな・・・♪」
そう言うと僕に寄り添って甘えてくれる想里愛。
僕もそうしたくなったので、ぎゅ~っと抱きしめて想里愛を見つめてキスをする。
想里愛「えへへ・・・♪ 真樹さんのおかげで今日も幸せです♪」
真樹「良かった、僕も想里愛のおかげで幸せだよ♪」
想里愛「今日の水着のお買い物も楽しみですね! ・・・着替えのお手伝いお願いしますね?♪」
真樹「そうだね!もちろんいいよ!♪」
〇野営地
着替えの手伝いを考えるとわくわくが止まらない。
朝食を済ませたらさっそく帰りにお店に寄って着替える事にしよう。
僕は昨日の残りの食材をくべた薪と網の上に乗せ始める。
火を弱めに調整したので皆が起きた頃に焼けるという寸法だ。
咲桜里「おにいちゃん、おはよ~。」
どうやらまだ寝起きのようだ、目をこすりつつこちらへ歩く咲桜里。
寝起き美少女もいいねっ。
翠「お魚の良い匂いがする~。」
翠も起きてきた。
先程釣り上げた新鮮なお魚も良い感じに焼けてきた。
包丁でうろこは落としておいたので皮まで美味しく食べられる。
川魚なのでよく火に通す必要がある。
里乃愛「真樹くん、おはよ♪」
ぐっすり眠れたおかげか機嫌は直っているようで一安心だ。
想里愛「真樹さん、そちらの鍋は何を作ってるんですか?♪」
真樹「こっちは釣れた川魚をスープにしたんだ。朝は温かいスープで暖まらないとね♪」
想里愛「さすが真樹さん♪段取りが良いですね♪」
ふと横を見ると咲桜里が横で目を閉じて口を開けている。
僕はゆっくりスープを味見してもらう。
咲桜里「濃厚なお魚の活力が舌から伝わってきた!」
評論家顔負けのご感想を頂けた。
スープはうまく作れたようだ。
肉も焼けてきたのでみんなで火を囲み座る。
〇野営地
翠「ちょうど良い感じに焼けてきたね。」
里乃愛「うんうん、いただきまーす♪」
肌寒い森の中を火とみんなの体温で温める。
これもまた風情があって良い。
お、鮭に脂が乗っていて美味しいな。
火をくべつつ話で精霊の街でお祭りがある時期だと言う。
食べ終えたら服を買って、すぐ行く事に決まった。
想里愛「真樹さん、あたしにもあ~んして味見させてください♪」
真樹「ふふ、召し上がれ♪」
僕はスープの鮭の切り身を食べてもらう。彼女のおかげでとても充実した時間になる。
翠や里乃愛ちゃんには逆にお肉を食べさせてもらえて大満足だ。
〇車内
食事を終え、皆でテントを片付けて車に乗る。
良い旅の1ページを飾れたようだ。
異世界もこちらの世界も彩り輝いている。
まだ寝起きのためか咲桜里と翠は車の心地良い揺れと共に二度目の眠りに就き始める。
里乃愛「真樹くん、精霊祭の前に服を買いに行くんだっけ?♪」
真樹「そうだよ、もう少しみんなのいろんなファッションを見たくてね。」
想里愛「真樹さん、あたしと一緒に素敵な服を選びましょうね♪」
真樹「ファッション探偵真樹に任せて!」
勝手に役職を新しく自称しつつ服屋へ向かう。
幸い道は空いていて割と早くお店に着くのだった。