オオカミちゃんを探せ!(脚本)
〇空っぽの部屋
斉木「君ってそんなに騙されやすくて、 よくこのゲームに参加したね」
吉田さん「た、助かりました」
吉田さん「実は私・・・ 友達の穴埋め参加なんです」
斉木「嫌ならドタキャンできたんじゃない?」
吉田さん「人数が居なかったら、 チームにご迷惑がかかるので」
斉木「真面目だね。 まあ、いいけど」
斉木「お化け屋敷じゃないんだから、 もう少し離れてくれる?」
吉田さん「スミマセン。 暗いの苦手なんです」
吉田さん「ギャッ、何か踏んじゃった!」
斉木「俺の足ね」
吉田さん「ゴメンなさ〜い!!」
三上「ちょっと後ろの人達、 静かにしてくれないかな」
ゆうや「気が散るんだよねぇ」
吉田さん「申し訳ありません!」
斉木(吉田さんは、戦力にはならなそうだ)
三上「【ペンギンとスズメ】までは解けたんだけどな」
桐谷「三上くんが解らないなら、 俺らもお手上げだね」
三上「斉木くんだっけ? 君はどうかな?」
三上「俺が最初に解いた謎、実は既に解ってたような顔してたよね!」
斉木(注目されると発言しづらいな)
斉木「この謎解きは、アミダくじ上にあるランダムな音を番号順に入れて言葉を導き出すんだけど、」
斉木「アミダくじの辿った軌跡をアルファベットに見立てて読むと、別の暗号が浮かび上がるようだ」
三上「FLY」
三上「そうか! ペンギンは飛べないから答えはスズメか」
桐谷「チッ、もっと早く教えてくれよ。 あと5分だぜ」
吉田さん「斉木さんスゴイ!」
斉木「君と違って疑り深い性分なんだ」
桐谷「三上くん、 これがトリガーじゃないかな?」
桐谷「この鈴が狼の像の目に、 上手くハマりそうじゃない?」
斉木「それは『飛ぶ』という暗号とは関連性が無いぞ」
三上「まあまあ時間がないし、 ダメなら違う方法を考えよう」
三上「じゃ、入れてみるね」
ゆうや「イヤアッ!!」
桐谷「アアア!!」
斉木「狼の石像に喰われた・・・だと」
〇空っぽの部屋
桐谷「この新感覚リアル脱出ゲーム 【オオカミちゃんには騙されないっ!〜封鎖れた廃墟からの脱出〜】は、」
桐谷「チーム戦だけど、デスゲームでもある」
桐谷「でも、協力し合えば全員が脱出することも可能だ」
桐谷「お互いの意見を出しあって、 意見が揃ってから動こう」
ゆうや(急に出張ってきたわね)
あかり「斉木くんはどう思う?」
斉木「スズメを飛ばすなら、羽が必要だ」
斉木「狼の像の頭についている羽飾りを動かしてみたい」
桐谷「ハッ、安直すぎねえか?」
あかり「私は斉木くんに乗っかる」
ゆうや「私もよ」
ゆうや「でも誰が試す?」
ゆうや「女の子にはやらせないわよね?」
桐谷「えっ? そんなのカンケーねーだろ」
桐谷「あれだ、 平和にジャンケンで決めようか!?」
あかり(コイツ、ダサ・・・)
吉田さん「私がやります!」
斉木「吉田さん?」
吉田さん「私がお役に立てるとしたら、 コレしかないんです」
吉田さん「それに・・・」
吉田さん「斉木さんを信じていますから」
吉田さん「いきますねっ! せ〜のっ」
吉田さん「石像のクビが取れちゃった!」
斉木「隠し扉が開いた!ありがとう、吉田さん!」
吉田さん「斉木さ〜ん! (ギュ!)」
斉木(落ち着け、俺)
斉木(大好きな円周率を数えるんだ。3.141592653589793・・・)
あかり「お二人さん、イチャついてないで、 次行くよ〜!」
〇貴族の応接間
斉木「家具が沢山ある部屋だな。 探索系のトラップか」
桐谷「ここはみんなで手分けしよう」
桐谷「隅々まで家具をひっくり返して 指示書を見つけてくれ」
桐谷「引き出しは、裏板まで見てくれよ」
ゆうや「は〜い」
桐谷「ゆうやさんは俺と来て」
ゆうや(なんか企んでる・・・?)
ゆうや「いいわよ」
斉木「吉田さん、頭の上の引き戸を開けたままだよ。立つ時には気をつけて」
吉田さん「はいっ!(スクッ)」
吉田さん「痛あ・・・ゴメンなさい。 今、教えてもらったばかりなのに」
斉木(可愛すぎかよ)
斉木「今、君が頭を打った場所に何かがあるな」
吉田さん「アルファベットが書いてあります!」
斉木「指示書だね」
あかり「私も見つけたわよ!」
斉木「アルファベットの暗号か。 換字式、転置式、アナグラム・・・復面式かも」
あかり「あ、2人が戻ってきた。 ──何か雰囲気悪くない?」
桐谷「お、見つけたのか」
桐谷「俺たちも見つけたぜ。 とりあえず4枚か」
桐谷「うーん。 日本語変換とか?」
ゆうや「斉木くんは、どうかしら?」
桐谷(さいきさいきって、 斉木にばっかり頼りやがって)
斉木「俺は単純に転置式、だと思う」
桐谷「おお、俺もそう思ってたよ」
ゆうや「どーだか」
桐谷「あの暖炉の上にある狼の頭の剥製がトリガーで、答えはWOLF(ウルフ)だろ?」
斉木「それだと安直かな」
ゆうや「確かに。脱出ゲームはだんだん難易度が増すからね」
桐谷「じゃあ、どう読むと思ってるんだよ?」
斉木「俺ならFLOW(フロー)かな」
斉木「50セント硬貨の額がトリガーで、ラッパーの50centに引っ掛けてるとか」
桐谷「深読みしすぎじゃね?」
桐谷「勝負しようぜ。どちらが謎解きできたか」
ゆうや「力を合わせてみんなで脱出するんじゃなかったの!?」
桐谷「よく言うよ。 俺はもう誰も信じない!」
桐谷「俺一人で脱出してやるよ」
ゆうや「暖炉に登って・・狼の頭を動かす気?」
あかり「やけに彼、トゲトゲしてるけど大丈夫なの?」
ゆうや「それがさあ」
あかり「わわ!地震!?」
〇手
〇貴族の応接間
ゆうや「暖炉に落とし穴!?」
ゆうや「生きているよね・・・!?」
あかり「スゴイ仕掛けすぎて引くけど、 さすがに法には触れないでしょ」
あかり「き、きっとどこかのモニタールームで、三上くんと私たちの悪口言ってるよ!」
ゆうや「そうだよね」
ゆうや「でも、良かったあ」
ゆうや「彼、人狼だったよね」
あかり「分かる!三上くんをわざと誘導したよね」
ゆうや「それに私の役職教えろって迫ってきたんだよ!」
吉田さん「人狼って、何のことですか?」
ゆうや「嘘でしょ?ゲーム内容を理解しないで参加している人がいるなんて」
斉木「この新感覚脱出ゲームは3重構造になっていて、」
斉木「普通の脱出ゲームに加えてデスゲームと人狼ゲームの要素もあるんだ」
吉田さん「ゴメンなさい。 私、親戚の穴埋め参加者なんです」
ゆうや「これだけは覚えておいて」
ゆうや「このゲームのコンセプトは、『仲間を信じること』よ」
ゆうや「まあ、吉田さんがポンコツな分、彼氏くんは使えるからオッケーよ」
斉木「お、俺は吉田さんの彼氏じゃないです」
あかり「あんなにイチャイチャしてたのに!?」
ゆうや「ま、そーゆーことで」
ゆうや「霊媒師が居たら、名乗り出てリタイアした二人の職業を占ってよ」
ゆうや「ちなみに私は『村人』」
ゆうや「吉田さんは?」
吉田さん「職業ってチケットに書いてます? ──『共有者』です」
斉木「俺は『騎士』」
ゆうや「あかりは『村人』よ」
吉田さん「なぜ、それを?」
ゆうや「実は、あたしたちは姉妹なの」
斉木「やっぱりね」
ゆうや「いつから気づいていたの?」
斉木「君が桐谷と別室で話している時だよ」
斉木「戸を少しだけ開けていたから」
斉木「誰かに盗み聞きしてほしいのかと思ってね」
ゆうや「よく見ているわね。 斉木くんが残ってくれて、本当に良かったわ」
ゆうや「全部ぶっちゃけちゃったから、 あとは皆でクリアしよう!!」
あかり「ゴメンね。おねーちゃんは、謎解きになるとテンション変わるんだよね〜」
斉木「まあ、それくらいマニアじゃないとここに参戦しないよ」
斉木「っと、吉田さんみたいなお人好しも居るか」
斉木「でも俺、そういう人好きだけど」
吉田さん「えへへ、ただ、要領悪いだけなのに・・・なんかテレちゃいますね♥」
〇謁見の間
俺たちはその後も順調に謎解きを進め、残すところあと一問になった。
斉木(なんだろう)
斉木(まるでボタンを掛け違えているような、この居心地の悪さは)
吉田さん「斉木さん」
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最後の謎解きからの二重底の急展開! 驚きに驚きました! オオカミちゃんの意味が何重にも重なっていたとは…面白かったです😆
斉木〜っ! 頼りになると思ってたけど、まさかそんなやつだったとは😱 あともしかして斉木って名前はサイコだからだったりしますか(笑)。謎解きも成る程って思うものばかりでとても面白かったです!
ゲームの緊張感やキャラクターの高揚感が伝わってきます。まさかのラストのどんでん返しが続くところは衝撃です。とっても面白かったです!