異世界お届けドットコム

赤井景

第4話 「ハッピーエンドのために」(脚本)

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〇異世界のオフィスフロア
アキロー「はぁ・・・」
テンシエル「ちょっとー、またため息? さっきから全然仕事してないじゃない」
テンシエル「そんなにあの子が死んだのがショックだった?」
アキロー「当たり前じゃないですか」
アキロー「あの世界を救ったのは、アイリちゃんだっていうのに・・・」
  それにもかかわらず、勇者アイリは殺されてしまった。
  平和にさえなってしまえば、もう勇者など用済みだと言わんばかりに。
テンシエル「べつに、よくある話じゃない。 気にするだけムダよム・ダ☆」
アキロー「ムダだんて・・・そんな言い方しなくたっていいじゃないですか・・・」
  RRRRRRRRRRRR
テンシエル「はーい、それよりお客さーん。 ほらほらー、さっさと仕事して?」
アキロー「・・・わかりましたよ」
  なにをしていたって、どうせ気分なんて晴れない。
  だったら仕事をしていたほうが気も紛れるかもしれない。
アキロー「はい・・・こちら『まるちばドットコム』です」
???「あ、もしもし? アキローくん?」
アキロー「え?」
  この声・・・まさか!
アイリ「あ、わかるかな。私、アイリ」
アキロー「やっぱり! でもどうして? キミは死んだって・・・」
アイリ「ああ、うん。 まあいろいろあって・・・また転生したの」
アイリ「今は、『ロストエデン』っていう世界で、救世主(メシア)やってるんだ」
アキロー「へ? 転生? めしあ・・・?」
  アイリちゃんによれば、彼女は核戦争によって文明が崩壊した世界に転生したのだそうだ。
  そこでアイリちゃんは、人々を新たな楽園へと導く『救世主』として崇められているらしい。
アイリ「すごいよー、こっち」
アイリ「スキンヘッドとかモヒカン頭で改造バイクを乗り回してる人とかがいっぱいで」
アキロー「それ、大丈夫なの?」
アイリ「大丈夫大丈夫。 前の世界のモンスターに比べたら、人間なだけ全然マシだもん」
アキロー「そ、そういうものかな・・・」
アイリ「それよりも困ってるのが、食べ物のことなんだよねぇ」
  一度文明が崩壊してしまったせいで、ロストエデンは農業が壊滅状態にあるという。
  人々の争いの原因も、わずかな食料の奪い合いによるところが大きい。
アキロー「なるほどね・・・わかった。 こっちでいい商品を見繕っておくよ」
  食料そのものを送ることもできるが、それでは根本的な解決にはならない。
  劣悪な環境でも育つ種を送ったりして、農業を立て直すのがよさそうだ。
アイリ「うん、お願い。 ごめんね、頼ってばっかりで」
アキロー「いいよ。ほかにも困ったことがあったら、どんどん連絡して」
アイリ「えへへ・・・ありがとう。 頼りにしてるね。じゃあ、また」
  通話が切れる。
  ・・・『また』がある。
  そのことがなによりも嬉しい。
テンシエル「ほらねー、気にするだけムダだったでしょ?」
アキロー「・・・もしかして、アイリちゃんが転生してるって知ってたんですか?」
テンシエル「いちいち知ってるわけないでしょ。 ただ単に『よくある話』ってだけー」
テンシエル「ほら、テラバースのヒトはいろんな世界で人気だし?」
テンシエル「ハロワーさんだって放っておかないっしょ」
アキロー「そういえば、転生したばかりのとき、そんなことを聞いたような・・・」
テンシエル「ま、転生した先の世界ともつながれるのは、ウチの会社だからこそだけどねー」
  たしかに、数多の異次元とつながっている「まるちばドットコム」でなかったら、転生した先のアイリちゃんとまた話すことなんてできなかっただろう。
テンシエル「どう? ウチの会社に転生してよかったでしょ?」
アキロー「ええ・・・本当に」
  リアランドでは残念なことになってしまったけど、そのぶんはロストエデンで幸せになってもらえばいいんだ。
  そして今の僕には、その手伝いができる。
テンシエル「まあ、あの子のためにもがんばんなさいよね」
アキロー「はい! 僕の商品で、今度こそ彼女を幸せにしてみせます!」
  ──と。
  僕は心から思っていたのだけれど・・・。

〇異世界のオフィスフロア
アイリ「あ、もしもし、アキローくん?」
アイリ「私、今『ジュラドーン』っていう、恐竜があちこちにいる世界にいるんだけど・・・」

〇異世界のオフィスフロア
アイリ「あ、アキローくん?」
アイリ「ごめんねー、今は、『まほろバース』っていう縄文時代みたいなところで・・・」

〇異世界のオフィスフロア
アイリ「すごいよー。 今度の世界、電気のかわりになんでも蒸気なの!」
アイリ「『スチームギヤ』って世界なんだけど・・・」

〇異世界のオフィスフロア

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