夏を見送る帰り道

千才森は準備中

人生で一番幸せ?(脚本)

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〇教室
  高校生
  人生の中で
  
  一番幸せな一瞬
  
  らしい。
  へ~。
みぃ(前髪切らなきゃ)
  そんな事思いながら、
  バッグを開いて中の物を机に詰めてゆく。
  前髪を見て・・・
  歴史の教科書を取り出す。
  前髪を見て・・・
  筆記用具を取り出す。
  前髪を見て・・・
  野暮ったい前髪の向こうにネリュが座った。
  ネリュなんていうあだ名になったのには
  深すぎる訳があるのだが、
  説明は面倒なので省く。
ネリュ「おっはー」
ネリュ「何で睨むのよ?」
みぃ「え? あ、ゴメン! 睨んでないよ? 切りたいなって思っただけ」
  ネリュは私の間合いから離れた。
みぃ「そういう意味じゃないよ?」
  前髪をつまんで見せる。
ネリュ「切ったげよっか?」
みぃ「い、いらない」
  自由奔放なネリュに任せて
  前髪をパーマにされたとしても、
  誰も同情なんてしてくれないと思う。
  そんなの頼んだ方が悪いと言われるに決まってる。
  そんな彼女が
  手芸店なんて知ってるわけもないか・・・
  しかし、
  万が一という可能性も捨てきれない。
  捨ててるけど、億が一という可能性もある。
  誰かから借りたらしい
  ノートの課題を写し始めた背中に、
  小さく声を掛ける。
みぃ「ね、ネリュ。 隣町の『モモンジュ~』ってお店知ってる?」
ネリュ「知ってる~」
みぃ「ええええええーーーー!?」
  普段出さない声は、
  半径10メートルにいた
  全ての人の視線を集める程の威力だった。
みぃ「何で知ってるの!?」
ネリュ「人に聞いておいてその反応ってどうゆうこと?」
  ごもっとも
  耳を押さえた彼女は迷惑そうに振り返った。
ネリュ「手芸店でしょ?」
  こくこく首を振って、
  ネリュの手を包み込むように握る。
みぃ「お願い、場所教えて?」
ネリュ「んー。 口で説明するの面倒。 結構、小路のほうに入っていくから」
  そうなんだ。
  古いお店なのかな?
  入りにくいお店かも・・・。
ネリュ「絵に描くのも面倒だからねー。 『放課後連れてって?』 ってのならいいんだけど?」
  感極まって、
  握っている手を引き寄せて抱きしめた。
みぃ「ありがとネリュ! やっぱり持つべき者は家族より相棒より 信頼出来る親友だね」
  今まで頼ってきた何よりも頼りになる。
  そんな気分。
ネリュ「おーげさ」
ネリュ「それにみぃは親友より恋人を持つべきだと思うけど?」
  そこは・・・
  頼ったつもり無いんだけど。
ネリュ「別に不細工ってわけじゃないんだから、 もうちょっと明るい──」
  ぐにゃ。
ネリュ「――髪型にイタッ!! イタイイタイ、待って!冗談だって!」
  もっと強く、
  出来るだけ気持ちが伝わるようにと
  願いながら握りしめる。
みぃ「冗談? 気にしてるのに、冗談?」
ネリュ「ゴメッ ゴメンってば、指つる! つっちゃう!」
  触れてても気持ちって伝わりにくいよね。
  雑誌にそう載ってた。

次のエピソード:くまったくま~

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