アテナ任務遂行中!

木佐マコ

第12話 恋は毒薬③(脚本)

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〇高い屋上
伴丹鈴音「知ってる? しゃっくり100回したら死んじゃうって話」
高原みこ「ひっ、ひっく、ひっく?」
伴丹鈴音「今ので5回目。高原みこ、あんたの命、あとしゃっくり95回分しか残ってないよ」」
高原みこ「ええ!? ひっく、わあ! ひっく。 あれ? 止まんないよ~~!」
伴丹鈴音「この解毒剤を飲まないと、しゃっくりは止まりませーん!」
アテナ「御主人(マスター)、名前を呼んでください!」
  アテナがみこの膝に飛び乗り、彼女の手を握った。
高原みこ「わあ! 『アテナ』、びっくりさせないでよ・・・ひっく!」
伴丹鈴音「! ふーん、あんたがアテナ?」
アテナ「その解毒剤、渡してもらいます」
伴丹鈴音「あたしが飛常葉流天才くのいち、伴丹(ともに)鈴音だって知ってて言ってる?」
伴丹鈴音「ていうか、私の用はもう終わったの! じゃーね!」
アテナ「行かせません!」

〇まっすぐの廊下
生徒1「おい! 屋上に忍者だってよ!」
生徒2「はあ? 何言ってんだ?」
嘉成光「忍者って・・・鈴音?」

〇高い屋上
  解毒剤を奪おうとして手を伸ばすアテナ。
  鈴音はその手を素早く避ける。
伴丹鈴音「あたしは帰るって言ってるでしょ!? しつこいなあ!」
アテナ「帰るのは解毒剤を渡してからです」
高原みこ「アテナ、ひっく、相手を傷つけちゃだめだからね、ひっく、約束は守ってよ!」
アテナ「わかっています!」
アテナ「今ので残り73回・・・御主人(マスター)はしゃっくりをそれ以上しないよう、黙って──」
伴丹鈴音「はあ!? 傷つけちゃダメって、バカにしてんの!?」
  鈴音がムッとしてみこの方を睨む。
アテナ「! いただきます!」
  アテナはその隙を見計らい、鈴音の胸元へと手を伸ばした。
伴丹鈴音「ッ!?」
アテナ「!? これは・・・」
伴丹鈴音「あっ、あたしの宝物!」
  鈴音は慌ててアテナの持つ写真を引っ張る。
伴丹鈴音「返しなさいよ!」
アテナ「・・・っ、解毒剤を渡してください」
伴丹鈴音「か~え~せ~!!」
  ビリッ!
伴丹鈴音「いやーっ!!??」
  二つに引き裂かれた写真が風に舞う。
伴丹鈴音「ゆ・・・っ、許さない! 高原みこもアテナも、もう絶対許さないんだからっ!!」
  鈴音は猛スピードでアテナに近づき短刀を振るった。
  アテナは薙刀を取り出し、鈴音の短刀を受け止める。
  ビキビキッ!
  その瞬間、アテナの右足から何かに亀裂が入るような音が鳴った。
アテナ「!」
伴丹鈴音「あんたの弱点、見つけた!」
  素早く腰を下ろしてアテナに足払いする。
アテナ「!!」
  さらに大きな音をたてて、アテナの右足のパーツが外れた。
アテナ「あ・・・っ!?」
高原みこ「ひっく! アテナ!?」
アテナ「今ので残り43回。 任務遂行率を上げるには・・・!」
伴丹鈴音「アテナの次は、高原みこ・・・」
アテナ「御主人(マスター)! 避けてください!」
高原みこ「ひっ、ひっく、う~、しゃっくりしすぎで苦しいよ~」
伴丹鈴音「そこで大人しくしてなさい!」
  短刀を構えた鈴音がみこをめがけて走る。
アテナ「御主人(マスター)!」
伴丹鈴音「覚悟!」
  鈴音が短刀をみこに振りかざした。
高原みこ「ひっく!?」

〇黒
  カキン!

〇高い屋上
嘉成光「みこちゃん、大丈夫!?」
アテナ「光!?」
高原みこ「! ひっく、ひっ、光くん」
嘉成光「何やってるんだよ、鈴音!」
伴丹鈴音「どいて光ちゃん!」
嘉成光「だめだったら!」
伴丹鈴音「ッ!」
嘉成光「っていうか、何!? みこちゃんに「しゃっくり地獄」の毒を使ったの」
高原みこ「ひっ、ひっく、ひっく」
伴丹鈴音「だ、だって・・・」
嘉成光「俺が頼んだのはアテ──」
アテナ「?」
嘉成光「と、とにかく鈴音、解毒剤持ってるんでしょ!  出して!」
伴丹鈴音「! や、やだっ、渡したくない!」
伴丹鈴音「光ちゃんの初任務、横取りしちゃうかもしれないけど・・・」
嘉成光「アテナ、みこちゃんのしゃっくり、今何回目」
アテナ「・・・84回目。時間がありません」
高原みこ「ひっく、ひっ、ひっく」
嘉成光「あと16回しか残ってないの!? 鈴音、解毒剤を早く!」
伴丹鈴音「やだ、やだあ~~! だって光ちゃん、高原みことイチャイチャしてた!」
嘉成光「ん?」
高原みこ「ひっく?」
アテナ「は?」
伴丹鈴音「それに、私の宝物も破かれた~!!」
嘉成光「宝物・・・?」
  光は足元に落ちていた二枚に引き裂かれた写真を拾い上げた。
嘉成光「うわ・・・何これ・・・」
伴丹鈴音「ウッ、ウッ、許さないんだから~!」
嘉成光「・・・・・・」
アテナ「宝物・・・」

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