つながるオンエア

ウゴ鈴木

読切(脚本)

つながるオンエア

ウゴ鈴木

今すぐ読む

つながるオンエア
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇大きな木のある校舎

〇教室の教壇
ヒカル(良いネタないかな)
ナツミ「あれ〜、何そのメモ帳」
ヒカル「み、見ないでよ」
ナツミ「それラジオメールのネタ帳だよね」
ナツミ「一度も読まれたこと無いんでしょ 紙のムダ使いだ!」
ナツミ「それ見せてよ」
ナツミ「ダメ出ししてあげる」
ヒカル「ヤダ、引っ張らないで・・・」
  ビリッ
ヒカル「ウッ」
ナツミ「た、たかがメモ帳、破れたくらいで泣くかよ」
ナツミ「クソみたいなネタだろどうせ だったらトイレットペーパーに書きな」
コトリ「今の何!」
コトリ「ヒカルンには才能が無いよ でもさ、あんな言い方・・・」
ヒカル「才能が・・・無い・・・」
コトリ「こ、これから才能が開花するよ!」
ヒカル「咲かないよ コトリちゃんにトドメ刺されたから」
コトリ「すねるなよ〜」
コトリ「そうだ! 気晴らしにスイーツ食べに行こ」
コトリ「近くの駅前にオープンしたんだよ 知ってる?」
ヒカル「うん ラジオで聴いたよ」
ヒカル「しかも「ラジオ聴いた」って言うとドーナツ割引!」
コトリ「ナイスお得情報!」

〇渋谷駅前

〇ケーキ屋
「おいし〜」

〇渋谷駅前

〇広い改札
コトリ「楽しかったねー そろそろ帰ろ」
ヒカル「そうだね」
ヒカル「アッ!!」
コトリ「どうかした?」
ヒカル「サイフ、無い・・・」
ヒカル「わ、わたし探してくるね バイバイ!」
コトリ「・・・気をつけてねー」

〇空

〇渋谷のスクランブル交差点
ヒカル「ハ〜」
ヒカル(立ち寄った場所には無かった)
ヒカル(後は・・・)

〇街中の交番

〇交番の中
イケメン「サイフ拾いました」
ヒカル「すみません 落とし物をして・・・」
ヒカル「アーーッ!!」

〇街中の交番
ヒカル「ありがとうございました」
ヒカル「1割お礼を・・・」
イケメン「いらないよ」
イケメン「学生さんからお金は受け取れないよ」
ヒカル「でもお礼をしない訳には・・・」
ヒカル「じゃあ、お得情報を教えますね」
ヒカル「近くのネイルサロン 「ラジオ聴いた」と伝えると、ハンドケアが割引になるんです!」
イケメン「ネイルサロン・・・」
イケメン「男の僕にネイルサロンか」
ヒカル「ワワワッ! すみません、今の無しで!」

〇デパ地下
イケメン「僕の爪ピカピカだ! なんだかテンション上がるね」
ヒカル「そ、そうですね ですけど何かすみません」
イケメン「なんで謝るの?」
ヒカル「いえ、まさかネイルに興味を持たれるとは」
ヒカル「しかもわたしの分のお金も出して・・・」
イケメン「男ひとりでは行きにくいでしょ 気にしないで」
イケメン「いい経験ができたよ ありがとう」

〇渋谷のスクランブル交差点
イケメン「ラジオはいつから聴いてるの?」
ヒカル「小さい頃からです」
ヒカル「わたしの父、長距離トラックドライバーなんですけど、運転中はラジオ点けっぱなしみたいで」
ヒカル「共通の話題はラジオくらいで」
ヒカル「だからわたしも聴くようになって、自然と好きになりました」
イケメン「ラジオが親子の繋がりのかけ橋か」
ヒカル「はい でもそれだけじゃないとも思ってます」
ヒカル「リアルタイムで聴いてるリスナーとの繋がり メールを通したパーソナリティとの繋がり」
ヒカル「姿が見えないからこそ、頭の中で想像して だから近くに感じて」
ヒカル「ふと温もりを感じるような距離感で繋がっている そんなラジオがわたしは好きです」
ヒカル「まあ、わたしはメールを一度も読まれたこと無いんですけど」
イケメン「メールを読まれる醍醐味を知らないんだ・・・」
イケメン「それなら僕たちの出来事を送ってみたら? きっと採用されるよ」
ヒカル「きっとは言い過ぎですよ でもアドバイスありがとうございます」
イケメン「送り先は『ハートにタップラジオ』で この番組、聴いたことあるかな?」
ヒカル「はい、あります ふたりの声優さんがトークする番組ですね」
ヒカル「でもなんでその番組なんですか?」
イケメン「僕の勘」
イケメン「今日、星座占い1位だったんだ こういう時の僕の勘、スゴく当たるんだよ」
ヒカル「そうなんですね その勘にあやからせてもらいます」

〇広い改札
ヒカル「今日はありがとうございました」
イケメン「メール楽しみにしてるよ 気をつけて帰ってね」
ヒカル「・・・メール楽しみ?」
ヒカル「ああ、ラジオを通して聞けることがって事か」

〇綺麗な一戸建て

〇女の子の一人部屋
ヒカル「送信!」
ヒカル「読まれるといいな」

〇空
  そして放送日──

〇女の子の一人部屋
「先日、友達と遊んだときの出来事です」
「楽しく遊んだその帰り、改札口で気付きました」
「サイフが無いんです!」
ヒカル「よ、読まれた わたしのメールだ!」

〇ラジオの収録ブース
男性声優「・・・とのメールでした」
女性声優「ネイルに行くなんて、変わったイケメンさんですね 実はオネエだったり?」
男性声優「オネエじゃないよ!」
女性声優「なんで怒るんです?」
男性声優「だってそのイケメンって・・・」
男性声優「僕、だからね」
「エッ?」
男性声優「ほら、爪ピカピカでしょ 気づいてなかった?」
女性声優「それ、フライドチキンを手掴みで食べた、油じゃないんですか?」
男性声優「勝手に食いしん坊キャラにしないで!」
女性声優「てか、リスナーの女子高生に手を出すなんてサイテーですね」
女性声優「通報します!」
男性声優「やめて! そもそも手を出してないから!」

〇女の子の一人部屋
ヒカル(このラジオのパーソナリティだったんだ)

〇広い改札
イケメン「メール楽しみにしてるよ」

〇女の子の一人部屋
ヒカル(「読むのが楽しみ」って事だったんだ)

〇大きな木のある校舎

〇教室の教壇
コトリ「おっはー!」
コトリ「って表情がキモいよ どしたの?」
ヒカル「へへへ、実はね・・・」
ナツミ「先週は悪かったわね 弁償するわ」
ヒカル「う、うん」
ヒカル(・・・あれ? 新品じゃない、中身が書かれてる)
ヒカル「ラジオネーム「ナツナツナ」?」
ナツミ「ヒィッ!!」
ナツミ(渡す方、間違えた・・・)
コトリ「おや〜 ナツミもラジオっ子だったんだ」
コトリ「どうせナツミもメール読まれたこと無いんでしょ」
コトリ「それのイライラをヒカルンにぶつけてたのかな?」
ナツミ「〜〜〜ッ!」
ナツミ「ご、ごめん 素直に接しなくて」
ナツミ「・・・これからは読まれない同士、仲良くしてくれる?」
ヒカル「あー、ええと・・・」
ナツミ「・・・わたしなんかと無理だよね」
ヒカル「仲良くするのはOKだよ ただ、伝えなきゃいけないことが・・・」
ヒカル「実は、ラジオでメール読まれたんだ」
コトリ「お! やったね」
ナツミ「そんな、そんな」
ナツミ「くやしー!!」
コトリ「くやしがり過ぎだろ」
ナツミ「わたしもメール読まれたい」
ヒカル「じゃあ、作戦会議する?」
コトリ「いいね!」
コトリ「駅前のスイーツ店でしようよ 「ラジオ聴いた」でドーナツ割引だからね」
ヒカル(ああ、ドーナツは先週までで)
「今週はパンケーキが割引だよ」
「!?」

〇渋谷駅前

〇ケーキ屋
「おいし〜」

〇店の入口
イケメン「おや、あの子はこの間の・・・」

コメント

  • 最終的に、はがき職人同士の女子高生が仲良くなれてよかったです!!イケメンさんともオンエアを通して繋がる事ができて、ほっこりとする物語でした!
    とても素敵な物語ありがとうございます!!

  • いいね!とてもほっこりする小説。
    イケメンもちょいちょいいい役で出てくるし^_^

  • ラジオでつながる人の輪、温かくて良きですね。
    私自身も高校生の頃ラジオっ子でしたので、読まれる読まれないで気分が変わる彼女たちの様子に妙に共感してしまいました(笑)
    彼女のような出会いをしたら運命感じちゃうなぁ。その出会いも一時の思い出として、最後はみんな仲良くなってパンケーキ食べに行っちゃうところが現実的で可愛かったです~😊

コメントをもっと見る(10件)

成分キーワード

ページTOPへ