第11話 恋は毒薬②(脚本)
〇中規模マンション
〇高級マンションの一室
ピンポーン
嘉成光「ん? 誰だ・・・?」
〇シックな玄関
光は玄関のドアスコープから外を覗いた。
嘉成光「? 誰もいない・・・」
ドアを開けて辺りを見回すが、やはり外には誰もいない。
首をかしげて室内に戻ろうとした次の瞬間、光は膝からガクリと崩れ落ちた。
嘉成光「ッ! し、しびれ薬・・・まさか」
首に刺さった吹き矢を引き抜く。
嘉成光「この吹き矢・・・鈴音・・・か・・・?」
伴丹鈴音「あったり~! すぐにあたしの正体を見抜くなんて、さっすが光ちゃん!」
伴丹鈴音「でも、やっぱり不用心だよ。里にいる頃から、全然変わってないんだから」
伴丹鈴音「飛常葉流の掟、第3条。 常に注意警戒を怠らず、だよ?」
嘉成光「ど、どうしてここに──」
言い切らないうちに、光は意識を失った。
〇高級マンションの一室
伴丹鈴音「ん~! かっこいい・・・!」
ソファに寝かされた光を、鈴音は携帯のカメラでパシャパシャと撮影した。
嘉成光「・・・!」
伴丹鈴音「あ、起きた」
嘉成光「鈴音・・・夢じゃなかったのか・・・」
伴丹鈴音「見て見て、光ちゃんが寝てる間にいっぱい撮っちゃった!」
鈴音の携帯画面には、眠る光を抱きしめる鈴音の写真が並んでいる。
嘉成光「はあ!? なにこれ!?」
光は慌てて携帯を奪って写真を消去する。
嘉成光「あのね、こういうのかなり犯罪だよ!?」
伴丹鈴音「あーん! いじわる!」
嘉成光「はぁ・・・仲間に毒を盛るなんてどうかしてる・・・」
伴丹鈴音「だってそうしないと・・・光ちゃん、イチャイチャしてくれないじゃん」
嘉成光「してくれないって、鈴音が勝手にやってるんだろ!」
伴丹鈴音「あたし、光ちゃんのためにここに来たのに・・・!」
嘉成光「・・・俺のために? どういうこと?」
伴丹鈴音「光ちゃんが帰ってくるのが遅いから、見て来いって、長老が」
嘉成光「偵察か。 よりによって鈴音が来るなんて.・・・」
ため息をついたあと、光はハッと思いついた。
頭によぎったのは、彼の特製のスープを飲み干したアテナの姿だ。
嘉成光「鈴音、手伝ってくれ!」
伴丹鈴音「なになに!? なんでもする!」
嘉成光「任務に、かなり邪魔な奴がいるんだ!」
〇古いアパート
〇雑多な部屋
アテナ「やはり、あのときの衝撃で・・・」
高原みこ「どうかした? アテナ」
しきりに右足を気にしているアテナに、みこが声をかけた。
アテナ「いえ、少し右足の調子が悪いようで」
高原みこ「どれどれー?」
みこはアテナの右足のパーツを外すと、もう一度はめ込もうとする。
高原みこ「う~ん、なかなか入らない・・・」
アテナ「あまり無理にすると──」
高原みこ「えいっ!」
バキッ!!
高原みこ「これで完璧! やるじゃん!」
アテナ「・・・・・・」
アテナが一歩足を踏み出すと、一層大きな音でバキバキと音がした。
アテナ「・・・悪化している」
〇屋根の上
嘉成光「とりあえず、鈴音の前では任務やってる感じを出さないと・・・」
伴丹鈴音「どう? 光ちゃん。アテナは現れた?」
嘉成光「あ、いや、まだ──」
光が遠眼鏡を覗くと、玄関から一人で出てくるみこの姿があった。
嘉成光「アテナがいない!」
嘉成光「じゃ、俺、学校行ってくるから!」
伴丹鈴音「学校!? えっ、アテナは?」
嘉成光「今いないみたいだから、また出てきたら知らせるよ!」
嘉成光「とにかく今は、二人っきりになれる・・・かなりチャンスなんだ!」
光は屋根から飛び降りると、急ぎ足で去っていった。
伴丹鈴音「は? チャンスって・・・任務の!?」
屋根の上に取り残された鈴音は、望遠鏡で光の姿を追いかける。
伴丹鈴音「! な、なにあれ・・・!?」
〇通学路
嘉成光「おはよう、みこちゃん」
高原みこ「おはよう、光くん!」
光は自然にみこの肩に手を回し、小さくガッツポーズをした。
嘉成光「今日はあいつ・・・アテナ、どうしたの?」
高原みこ「ん? アテナなら今日は私の鞄に・・・」
みこが通学鞄を探るがアテナの姿はない。
高原みこ「あれ? どこだー?」
みこが鞄を探っていると、どこからか現れたアテナが光の肩の上に降り立った。
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