改造途中人間チュート

栗山勝行

第14話 『転校生』(脚本)

改造途中人間チュート

栗山勝行

今すぐ読む

改造途中人間チュート
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇教室
  二学期が始まった。
  代わり映えのしない平凡で平穏な学生生活を宙斗は噛み締めていた。
担任教師「えー、突然だが、二学期からうちのクラスに転入生を迎えることになった」
班馬宙斗(この時期に転校生・・・?)
担任教師「じゃあ、自己紹介を」
斐阿吉良「・・・甲斐阿吉良(かいあきら)です」
担任教師「・・・・・・」
斐阿吉良「・・・・・・」
担任教師「・・・それで終わりか?」
斐阿吉良「はい」
担任教師「もう少し、何かあるだろう? 興味のある部活とか、将来の夢とか」
斐阿吉良「ありません」
担任教師「そうか。無いんじゃしょうがないな。そういう訳だから、みんな仲良くしてやってくれ」
班馬宙斗(将来の夢、無し。部活にも入る気、無しか。なんか電奈先輩に会う前の自分を思い出すな・・・)
  宙斗も将来の夢を見つけた訳ではない。
  ただ、これまで抱えていた悩みが少し解消されて、「仲間を守る」という目標ができただけだ。
  ただ、それだけのことなのだが、それだけで世界が少し違って見えた気がした。
担任教師「甲斐は急な転校だったこともあって、まだ教科書が準備できていないんだ」
担任教師「班馬、甲斐に教科書を見せてやってくれ」
班馬宙斗「はい」
  宙斗の横の席に案内された転校生は、立ち止まって、宙斗の顔をジッと見た。
班馬宙斗「あ、えっと・・・甲斐くん、よろしく。 僕、班馬宙斗」
斐阿吉良「・・・よろしく」

〇教室
  ──昼休み──
斐阿吉良「班馬くんは、為定先生って知ってる?」
班馬宙斗「為定先生? うちの部活の顧問だけど・・・知り合いなの?」
斐阿吉良「いや。前の学校で、優秀な先生だっていう噂を聞いたから、どんな先生なんだろうって・・・」
班馬宙斗「へぇ、そうなんだ。うちじゃ『ダメ定』とか『ダメ教師』とか言われてるけど」
班馬宙斗(言われてみれば、僕の体を修理できるくらいだから、ダメ教師な訳ないんだよな・・・)
班馬宙斗(ダメ教師は、世を忍ぶ仮の姿ってこと?)
斐阿吉良「ところで、班馬くんの部活って?」
班馬宙斗「ん? ああ、『探偵部』だよ」
斐阿吉良「『探偵部』・・・そうか、ありがとう」
班馬宙斗(甲斐くん、探偵部に興味あるのかな・・・)

〇体育館裏
班馬宙斗(どこ行ったんだろう、甲斐くん?)
班馬宙斗(弁当を持ってなかったみたいだし、食堂の場所、知ってるのかな?)
  他人に無関心な頃の宙斗なら、放っておいたかもしれない。
  だが、宙斗はどこか孤独な雰囲気を漂わせる阿吉良に親近感を覚え始めていた。
  かつての自分に似ているかもしれない、と。
  だから、宙斗は耳を澄まして、彼の声を探した。
甲斐阿吉良「・・・はい。 転校生ですけど、それが何か?」
???「お前、一人暮らしなんだって? だったら、ある程度、自由にできる金持ってるよな?」
班馬宙斗(あいつら・・・あれだけ痛い目にあったのに、また・・・!)
  宙斗は、阿吉良に話しかけている男子の声に聞き覚えがあった。
  それは、春先、まだ改造途中人間になりたての宙斗を袋叩きにしたあの不良達の声だった。

〇教室の外
班馬宙斗「まだ、そんなことやってるんですか?」
不良「あァン? だれだ、てめェ?」
斐阿吉良「班馬くん・・・」
不良「・・・こいつ、いつかの正義の味方気取りじゃねェか?」
不良「おお、鼻水垂らしながら泣いてたやつか」
不良「また泣かされてェのか、てめェ!」
  不良の1人が殴りかかってきた。
  宙斗は微動だにせず、その拳を片手で受け止めた。
不良「何だ、こいつ・・・? あの時と感じが・・・」
  あの時とは違う。
  あの時の宙斗は、体のコントロールができなかった。
  彼らを壊してしまうことが怖くて、ただ一方的に殴られるという選択をした。
  だが、夏合宿を経た宙斗は、別の選択肢を選べるようになっていた。
  彼らを壊さない程度に力を抑えるという新たな選択肢を・・・。
不良「痛ェっ!」
  宙斗は、ほんの少しだけ、受け止めた拳を握りしめた。
  ほんの少しだけなら、体が熱くなることもない。
班馬宙斗「覚えてないんですか、先輩。弱い者いじめは『悪』だって言われたでしょう?」
不良「ひっ・・・! 忘れてた・・・。こいつ、あの後、探偵部員になったって・・・!」
不良「探偵部員? てめェ・・・! 覚えてろよ!」
斐阿吉良「・・・ありがとう、班馬くん。 強いんだね、君・・・」
班馬宙斗「いや。僕はまだ、全然だよ。 強い人にあこがれて、頑張ってる途中だから」
  実際、宙斗は冷静を装っているだけだった。まだまだ真城や電奈のようにはいかない。
斐阿吉良「・・・探偵部って言ったっけ? そこに入れば、強くなれるのかな? ボクも・・・」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:第15話 『学園祭』

成分キーワード

ページTOPへ