第13話 『再会』(脚本)
〇学校の廊下
皆と会って話すべきだと言われた宙斗だったが、誰とも連絡を取らないまま、登校日を迎えた。
班馬宙斗(いきなり石を投げられることも覚悟してたけど、拍子抜けするくらい、何も起こらなかったな・・・)
久しぶりの学校は、何も変わらなかった。
日焼けした者や、付き合い始めたカップル、クラスメイトに若干の変化はあったが、それだけだ。
班馬宙斗(みんな、黙っててくれたんだ。 僕が人間じゃないことを・・・)
だが、今までと全く変わらない訳でもなかった。
階段ですれ違った三輪燈和には目を逸らされた。
廊下で会った山田は、敵意に満ちた視線で宙斗を睨みつけてきた。
班馬宙斗(覚悟はしてたけど、思ってた以上にけっこう来るものがあるな・・・)
班馬宙斗(これで、電奈先輩にまで無視されたら──いや、それで済めば、まだいい方だ)
班馬宙斗(『ZOD』の改造人間は、電奈先輩にとっては憎むべき両親の仇・・・)
班馬宙斗(下手すると、目が合った瞬間、全力で息の根を止めに来る可能性も・・・)
班馬宙斗(いや、でも憎まれる方が無視されるよりマシか。無視はキツい・・・)
考えれば考えるほど、足取りは重くなり、部室までの距離が、やけに遠く感じられた。
班馬宙斗(考えてもしょうがない。 とにかく当たって砕けろだ)
班馬宙斗(まず、謝る。どんな攻撃も全て受け止めて耐える。疲れて先輩の息が切れたら、すかさず話しかける)
班馬宙斗(よし、これで行こう)
宙斗は綿密なイメージトレーニングを行った後、恐る恐る部室の扉を開いた。
〇学校の部室
来明電奈「久しぶりだな、宙斗くん。 どうした、入らないのか?」
宙斗は入り口で固まっていた。
あまりにも自然で、予想外の反応だった。
班馬宙斗「あ、はい・・・」
来明電奈「腕、繋がったんだな。 どっちの腕だったかわからないくらいだ」
班馬宙斗「はい・・・えっと、あの──」
班馬宙斗(想定外だ。 何から話すつもりだったっけ・・・)
班馬宙斗「怒ってないんですか・・・?」
来明電奈「怒ってるって、何に? 今まで連絡をよこさなかったことか?」
来明電奈「それはお互い様だなろう。 こちらも、君に連絡を取ろうとはしなかった」
来明電奈「だが、2人は責めないでやってくれ。 連絡を取らないよう指示したのは私だ」
来明電奈「君が話したくなるまで待つべきだと、そう判断したんだ」
班馬宙斗「いえ、そうじゃなくて・・・僕が・・・『ZOD』の改造人間だったことに対して──」
来明電奈「君に怒ってどうする? 怒るべきは、人違いで君を改造した『ZOD』にだろう」
班馬宙斗(えっ・・・?)
来明電奈「私達に打ち明けてくれなかったことに関しては思わないことがない訳でもないが──」
来明電奈「私も君達に、やつらとの因縁を黙っていたからな。君だけを責めるのは筋違いというものだ」
班馬宙斗「先輩は知ってるんですか? 僕が『ZOD』に改造された経緯について・・・」
来明電奈「ああ。為定先生が話してくださったんだ。 あの日、帰りの車内でな」
班馬宙斗「先生が・・・」
来明電奈「廃ビルで猿と遭遇した時も、君がいなければ危なかったと聞いた」
来明電奈「助けてくれて、ありがとう。そして、気づいてやれなくて、すまなかった・・・」
電奈は深々と頭を下げた。
班馬宙斗(何だったんだ、僕の今までの悩みは・・・?)
班馬宙斗「でも、2人は・・・三輪さんと山田は、僕のことを怒ってるんじゃ・・・」
来明電奈「・・・?」
班馬宙斗「だって、校内で会った時も──」
三輪燈和「宙斗先輩ー!!」
勢いよくドアを開け、三輪燈和が部室に飛び込んできた。
三輪燈和「腕っ! どっちの腕ですか? 繋ぎ目、見せてくださいよー!!」
来明電奈「待て! いきなり過ぎるぞ、三輪くん」
三輪燈和「だってー! 階段でガマンするの大変だったんですよー!?」
三輪燈和「さすがに、みんなの前で見せてもらうわけにはいかないと思って」
三輪燈和「とにかくガマンして、必死に目を逸らして!」
班馬宙斗(じゃあ、あの時、階段で目を逸らされたのは──)
山田「うるさいぞ、オカルトマニア! 外のやつらに聞かれたらどうするんだ」
班馬宙斗「山田・・・」
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