希望と絶望(脚本)
〇テレビスタジオ
MC「「アイドルstruggle」シーズン3 第一関門、ついに最後の1曲を迎えました」
MC「5曲の合計点が一番低いグループが、ここで脱落となります」
MC「これまでの各グループの合計点を発表します!」
MC「1位 SS Style 369点 2位 天女転生 363点」
MC「3位 Pass☆Tell 359点 3位 ハートフルハピネス 同じく359点 5位 barbs 355点」
MC「大接戦ですねぇ〜!」
MC「1位のSS Styleは、平均で92点を越しているんですね。実力派揃いで素晴らしい」
MC「3曲目で100点を出したのも、このグループのメンバーですね」
MC「さて気になる脱落ラインですが、現在5位のグループと同着3位のグループの差が、4点」
MC「歌う順番は、直前にくじ引きで決められます」
MC「また、最後の曲は、歌い終わった後に点数の発表はありません」
MC「くぅ〜〜〜っ!!ドキドキですね! エンディングまで目が離せない!」
MC「では、最後の課題曲の発表です!」
アヤメ(あぁ〜っ、お願いだから、モモの知ってる曲来てよ!!)
マリン「あっ!この曲、数年前のミリオンセラーの・・・」
ヒマ「モモ、さすがに大丈夫よね!?」
モモ「うん、この曲なら何度もカラオケで歌ったことあるよ」
モモ「大丈夫!いってくるね!」
「頑張って!!!」
〇ホールの舞台袖
モモ「・・・・・・」
──はい、じゃあモモさん、スタンバってくださーい
モモ(ダメ、ダメ。欲張っちゃ。 私今まで100点なんて出したことないんだから、ここで変に意識しちゃダメ)
モモ(まずは、グループとして脱落を免れなきゃ)
モモ(みんながつないでくれたバトン、しっかり受け取って、ゴールしよう)
〇テレビスタジオ
集計終わりましたー!
エンディングの収録に入りますので、指定の位置に移動お願いしまーす!
ヒマ「うわ〜、こういうのって、ほんとに事前に結果知らされないんだね」
モモ「あー胃が痛い・・・」
アヤメ「大丈夫だって! モモちんあの中で一番うまかったから!!」
10秒前、8、7、6・・・
MC「──はい!これで、全グループ歌い終わりましたね!」
MC「いやー、結果は全く予想がつきません!! 最後の曲も、みなさんうまかったですからね!」
MC「それでは、運命の結果発表です! モニターにご注目ください!!」
MC「1位 SS Style 465点!!」
私たちの隣に並んでいた4人組が、肩を寄せ合って歓声を上げる
その中には、100点を出した例の子もいた
MC「最後の曲も96点出したってことですか!? いやー素晴らしい歌唱力ですね!」
MC「続いて、2位の発表です!」
MC「2位 天女転生 455点!」
アヤメ(くぅ〜〜っ!!なにこの緊張感! 早く呼ばれてよーー!!)
MC「3位は、こちらのグループです!」
MC「3位 ハートフルハピネス 454点!!」
モモ「──・・・」
コノハ「・・・」
MC「・・・それでは、第4位の発表です。 呼ばれなかったグループは、ここで脱落となります」
ヒマ(うわー!!マジでマジで、お願い! こんなところで負けたら、アタシ、親にも友達にも顔向けできない!!)
マリン(まだ・・・ まだ、終わりたくない!!)
MC「・・・4位 Pass☆Tell 452点!!」
マリン「や・・・やった!!!」
モモ「・・・よかったぁぁぁ〜〜〜」
アヤメ「モモちん、みんな、よくやったー!!!」
うっ・・・
み、みんな、ごめん!!私が79点なんて出したから・・・!!
あれは仕方ないよ!
その後カバーできなかった私たちが悪いんだ。ほんと、ごめん
数名の女性の悲痛な叫び声が、会場を重苦しく包んだ
「・・・・・・」
私たちの高揚した気持ちは、一瞬にして悲壮感に飲み込まれた
これがきっと、唯一敗者が主役になるシーンなのだろう
MC「5位のbarbsは、445点でした」
MC「ビハインドを取り戻そうと、一致団結し、2曲目では4位に浮上したのですが・・・ 残念ながら、脱落となりました」
MC「次回からは、勝ち残った4グループのアイドルを追っていきます」
MC「念願のデビューを果たすのはどのグループなのか!」
──カット!
OK!お疲れさまでーす!
〇タクシーの後部座席
アヤメ「は〜〜〜っ なんか、ものすごーい神経使ったぁ」
マリン「なんとか残れたけど すごかったね、1位のグループの子たち」
アヤメ「ケタ違いだったよね。 あんなにうまい人たち、今まで見たことないよ」
マリン「この世界には、あんなレベルの人たちがたくさんいるのかな・・・」
・・・・・・
コノハ「だ、大丈夫だと思います」
マリン「うん?」
コノハ「アイドルは、歌やダンスがうまいってだけで、評価されるものではないと思います」
コノハ「シーズン1で優勝したグループも、当時は歌もダンスもそこまで秀でてはいませんでした」
コノハ「でも、一人一人が一生懸命努力して、今のような形になったんです」
コノハ「人はきっと、完璧なものより、未完成なものの方が応援したくなるんです」
コノハ「だから、4位は良いスタートです」
アヤメ「なるほど、確かに〜。 監督も言ってたもんね!前向きに!って」
マリン「うん。そうだね。 またたくさん練習して、あの子たちに少しでも近づけるように頑張ろう!!」
無事突破できてよかったです。
みんなの緊張感が伝わってくる回でした。
しかし、1チーム脱落という制度は本当厳しいですね。だからこそスリルとドラマと感動を生むのですが…
ギリギリのラインで予選通過!
ここから少し不穏な空気がしてきましたね……。
続き待ってます!