改造途中人間チュート

栗山勝行

第6話 『校外活動』(脚本)

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〇物置のある屋上
鶏獣神ルースター「クケ・・・この国の夜明けも近いというのに、私はもう朝を迎えられそうにありませんね・・・」
???「当然の報いだ。お前も多くの人間から、朝を奪ったんだろう?」
鶏獣神ルースター「彼らは・・・百害あって一利なし・・・この星に必要のない・・・害悪です・・・」
鶏獣神ルースター「私は・・・死んで当然の連中に・・・神罰を下したに過ぎません・・・」
???「神罰じゃない。人殺しを肯定するな」
鶏獣神ルースター「貴方もじきに・・・人殺しだ・・・。まあ、私は改造・・・人間・・・ですがね・・・」
???「改造されても人は人だ。お前を殺した罪は、ちゃんと背負って生きていくさ」
???「報いを受ける、その日までな」
鶏獣神ルースター「そうですか・・・。 では、ごきげん・・・よう・・・」
  鶏頭の怪人は、泡となって崩れ、やがて屋上のコンクリートの、しみになった。
通信機「終わったみたいだな・・・ナイトウルフ」
ナイトウルフ「ああ。だが、泡になるなんて聞いてないぞ」
通信機「改造技術の漏洩防止策だ」
ナイトウルフ「俺も死んだら、こうなるのか?」
通信機「安心しろ。お前は大丈夫だ。その装置を取り付ける前に解き放ったからな」
ナイトウルフ「泡になって消えるのと、解剖されて実験材料になるのと、どっちが幸せなんだろうな」
通信機「・・・・・・」
ナイトウルフ「まあ、いいさ。死んだ後のことなんか心配してもしょうがない」
ナイトウルフ「今はただ、やつらと戦って、生き抜くことだけを考えよう」

〇繁華な通り
  休日、宙斗はあこがれの先輩と2人きりで繁華街を歩いていた。
班馬宙斗「えっと、その・・・電奈先輩・・・」
  緊張で喉が渇く。
来明電奈「なんだね、宙斗くん?」
  会話の間が怖くなって、宙斗は必死に共通の話題を絞り出した。
班馬宙斗「顧問の先生・・・! 見つかってよかったですね・・・」
来明電奈「ああ。あの新任教師に感謝しなくてはな」
  『教材費盗難事件』の後、例の教師は学校を依願退職した。
  電奈は代わりに赴任してきた新任教師に、顧問になってくれるように頼んだのだった。
班馬宙斗「大丈夫ですか? かなり強引に頼んだって、聞きましたけど・・・」
来明電奈「ああ。最初は断られたんだが、不思議なことに探偵部員の名簿を渡したら、OKしてくれたんだ」
班馬宙斗「部員の名簿を見て・・・? 人数が少ないから、楽だと思ったんでしょうか?」
来明電奈「さあな・・・」
???「おい、班馬! 距離が近いぞ、離れろ!!」
  背後から、聞き馴染みのある声がした。
来明電奈「・・・離れるのは、お前だ。山田・・・」
来明電奈「私と宙斗くん、お前と三輪くんで、別行動と言ったはずだが?」
三輪燈和「あはは、すみません。 私も必死に止めたんですけどねー」
山田「なぜ、俺と部長のペアじゃダメなんですか! 納得いく説明をいただきたい!」
来明電奈「私と2人きりになったお前は、激しく集中力を欠くからだ」
来明電奈「ハッキリ言って何の役にも立たん。 ただの足手まといだ」
山田「はうっ!」
三輪燈和「納得いく説明をいただけたようですねー」
来明電奈「私の役に立ちたければ、我々より先に、目的の猿を探し出すんだな」
山田「・・・わかりました。この不肖、山田、必ずや電奈様の期待にお応えしてみせましょう!」
山田「班馬! お前には敗けんからな!!」
  山田は、白昼堂々、大通りのど真ん中で宙斗の名を叫び、宣戦布告した。
  クスクスと笑い声が聞こえる。
班馬宙斗(他人のフリ、他人のフリ・・・)
  宙斗は山田から目をそらして、とにかく距離をとることにした。
来明電奈「・・・よし。これで捜査に集中できるな」
  そう。
  探偵部の4人は捜査目的でこの繁華街を訪れたのだった。
  これが、彼らにとって最初の校外活動だった。

〇学校の部室
  数日前──
来明電奈「校外活動の許可が下りたぞ。 最初の活動は『猿の捜索』だ」
三輪燈和「『猿』!? おお、例の『連続猟奇殺人事件』ですね!」
山田「おい、オカルトマニア。 部長は『猿の捜索』とおっしゃったんだ」
山田「なぜ、それが『連続猟奇殺人事件』になる?」
三輪燈和「フッフッフ・・・皆さんも事件の内容については既にご存知でしょう」
山田「あれだろう? 被害者全員、目と耳と喉が欠損した状態で見つかったという・・・」
班馬宙斗(今、巷で騒がれてる事件だ。 想像しただけで、気分が悪くなる)
三輪燈和「その事件の現場で、何度か巨大な猿が目撃されてるらしいんですよ!」
山田「また、その手の話か・・・」
三輪燈和「あの恐怖の鶏男が現れなくなって数週間、我らオカルトマニアは次のネタを探してました」
班馬宙斗(そう。改造人間と名乗った、あの鶏男は、 数回殺人を繰り返した後、忽然と姿を消した)
班馬宙斗(このまま、皆の記憶から消えてしまえばいい。そう思ってたのに・・・)
三輪燈和「そこに突如現れたオカルト界の新星!」
三輪燈和「その猿に目をつけるとは、さすが電奈先輩!」
来明電奈「いや、今回探すのは、生徒の1人に依頼された、ペットの猿だ」
三輪燈和「ええーっ!!」
山田「当たり前だ! 『連続猟奇殺人事件』だぞ? 連続して、猟奇的に、人が殺される、未解決の事件だ」
山田「連続して、猟奇的に、人が殺される、未解決の事件だ」
山田「好奇心で首を突っ込む素人など、次の犠牲者になるのがオチだ」

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