カナコの日常(脚本)
〇海岸線の道路
今日もカナコは金田さんの家へ向かっている
天気が崩れそうだ・・・
〇本棚のある部屋
僕は相変わらず狭い部屋から
カナコのドライブレコーダーの映像を眺めている
30分もすれば車のエンジンがかかって
映像が流れてくるはずだ・・・
〇海岸線の道路
あ、ついた
ゆっくりと映像が動き出す
〇中規模マンション
今日も無事に帰宅
お疲れ様
〇住宅街
今日は昼から働いてる様だ
僕の家に近い大宮さんの家かな・・・
夕方だから
ご飯を作ってあげるのかな・・・
〇本棚のある部屋
アザミ「アサギ カナコちゃんが来たわよ」
母さんがカナコが来たことを告げに来た
カナコは週に何回か家に寄って行く
カナコ「お邪魔しまーすっ」
アザミ「お疲れ様」
アザミ「今日も夕飯食べて行くでしょ? すぐ支度するから待っていて」
カナコ「いつもすいませんーっ」
カナコ「ご馳走になっちゃいますーっ! お母さんのご飯美味しいから 食べたくなっちゃうんですよねっ!」
アザミ「あらーっ ありがとうっ! すぐ持ってくるからねっ」
時間が合えば
夕飯を僕の部屋で食べる事もしばしばだ
カナコ「ねー聞いてよ──」
夕飯が出来るまでカナコの話を聞くのは
僕の楽しみの1つだ
〇住宅街の道
今日は松田さんの・・・
!?
まもなく松田さんの家に止まろうとする
カナコの車の前に突然男が飛び出してきた
黒尽くめの男「──!!」
男は何やらこちらに話しかけているようだ
黒尽くめの男「──!!!!」
僕のパソコンでは
ドライブレコーダーの映像しか見れない
音声は聞こえない
黒尽くめの男は周囲に構わず
こちらに話しかけている
カナコ「──!」
車から出てきたカナコが
男に退くように言っているようだ
カナコ「──!!」
黒尽くめの男「───!!」
!?
突然
男がカナコの肩を掴んで車のボンネットに
叩きつける
え!?
カナコは抵抗するが
男の力が強いのか
後ろ手に捕らえられてしまった
!?
男は抵抗するカナコを無理矢理引きずって
画面の左に消えた
・・・どうしよう
少し車が揺れてから
いつもとは違う急発進で車が動き出す
〇街中の道路
どうしよう・・・
〇高速道路
これは・・・
誘拐!?
パニックになる僕の頭を他所に
車は遠くに向けてどんどん走って行く
どうしよう・・・
どうしよう──!?
と、とりあえず画面を録画しよう!!
〇山間の田舎道
急いで
わずかに動く指先でパソコンを操作し
録画を開始した
車はどんどん山の方へ向かって走る
辺りに街灯が無くなってきた
僕の目では車のライトで照らされた道路以外
何も見えない
ドッドッドッドッ・・・
かれこれ2時間程画面にかぶりついている
心拍数が上がりっぱなしでうるさい
〇山奥のトンネル(閉鎖中)
車は山奥のトンネルの前で止まった
カナコ「──!!」
カナコ!!
画面の左から出てきたカナコは
両手を後ろで縛られて
口もタオルの様なもので
猿ぐつわをかまされたいた
あぁ・・・泣いている・・・
どうしよう・・・
男は無慈悲にカナコを引っ張って
立ち入り禁止のフェンスの奥へ消えていった
再び車に戻って来た時
男は1人で
血のついたタオルを持っていた
そこで映像はブツリと消えた
情報が視覚のみで音声なし、しかもドライブレコーダーの視点のみ、この情報量ではいろんな想像が膨らみますね。斬新な設定のお話に興味が増していきます!