第8話 暗殺者夫婦・シゲ&ウメ!②(脚本)
〇広い公園
みこの背中におぶさった梅子は、みこの首に手をかけて締めあげた。
バキバキバキッ!!
高原みこ「ぎゃああぁあ!? おばあちゃん大丈夫!?」
若井梅子「きいてない!?」
高原みこ「おばあちゃんの手から、ものすごい音したよ!?」
若井梅子「何!? アタシの指だって!?」
若井茂蔵「な、指が鳴っただけじゃと・・・今のは確実にやったと思ったが」
若井梅子「ええい、おんぶはもういい!」
高原みこ「あ! おんぶのおかげで元気になった!?」
若井梅子「ああ、そうさ! 久しぶりにアタシのハートに火をつけてくれたこと、感謝するよ!」
梅子が車いすのハンドルをひねると、手すりの部分がガトリングガンに変形した。
若井茂蔵「ほあぁ!? ジャングルで2個中隊を数分で壊滅させたアベック・ガトリング殺法! こんな場所で使うつもりか!」
若井梅子「血祭りじゃあ!」
若井茂蔵「やめろばーさん! この町がめちゃくちゃになってしまうぞ!」
梅子が思いっきりハンドルを握る──が、ガトリングガンはびくともしない。
若井梅子「・・・・・・」
若井茂蔵「・・・・・・」
高原みこ「うわ! その車いす、かっこいい!」
みこは梅子の車いすを押しながら公園を駆け回った。
若井梅子「・・・整備はどうなってるんだい。 錆びちまってるじゃないか!」
若井茂蔵「すまなんだ・・・まさか小娘相手に使うとは思わなんだから・・・」
高原みこ「えーい、発射! なんちゃって!」
みこは銃口を梅子たちの方へ向けて、車いすのハンドルを握った。
ダダダダダダッ!!
爆音とともに弾が飛び出し、茂蔵たちの背後の木にハチの巣のような穴が開く。
「・・・・・・」
〇可愛い弁当屋(看板あり)
〇店の休憩室
アテナ「御主人(マスター)、サボるのもいい加減にしてくださ──」
アテナ「・・・いない」
嘉成光「みーこちゃん、遊びに来たよ~!」
アテナ「! この声は・・・」
〇川に架かる橋の下
高原みこ「おんぶパワーってすごいね。 おばあちゃん、歩けるようになっちゃうなんて!」
若井梅子「・・・ああ、あの車いすはもう用なしだよ」
若井茂蔵「まだ車いすメリーゴーラウンド殺法に車いすサンダーストーム殺法、車いすウルトラヨーヨー殺法もあったんだがのう」
高原みこ「楽しそうー! いつか見てみたいな」
若井梅子「そのいつかは、永遠に来ないさね」
高原みこ「えっ?」
梅子は腰の鞘から黒色の長い物を抜く。
若井茂蔵「そうくるか!」
若井茂蔵「ばーさんの鎌さばきは天下一品! 接近戦で右に出る者はおらんかった・・・伝説の鎌マスター、人呼んで──」
若井梅子「荒野の女かまいたち!」
高原みこ「おお! そのリモコンで、なにするの!?」
若井梅子「リモコン? 何をわけのわからないことを」
若井茂蔵「あぁ!? ばーさんよく見てみろ!」
梅子は手にした黒色の長い物を見る。
若井梅子「!?」
高原みこ「どこのスイッチ入れるの!?」
若井梅子「ま、まさかアタシがこんな凡ミスを」
若井茂蔵「ばーさん! 立ち上がるんじゃ、ばーさん!」
高原みこ「そうだ、おばあちゃん! 立ち上がれー!」
若井梅子「・・・無茶いうんじゃないよ」
若井茂蔵「鋼鉄のメンタルを持つばーさんが、ここまで打ちのめされるとは・・・」
高原みこ「元気出してよ~」
若井茂蔵「・・・ばーさんがこうなってしまった以上、眠れる獅子ことワシの出番のようじゃな」
高原みこ「なになに? 次は何するの?」
若井茂蔵「目覚めよ、ワシ! 唸れよ、ワシの杖―!」
茂蔵が右手を大きく振り上げる。
若井茂蔵「ん!? な、ない!!」
高原みこ「おじいちゃん、杖なんか持ってたっけ?」
若井茂蔵「・・・しまった。 玄関に置いてきたままじゃった!」
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