蟻地獄に咲く薔薇のよう

戸羽らい

Ep.3 風見陽の推測(脚本)

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〇荒れた倉庫
  がさがさ
倉木響「武器の配置は毎回同じ」
倉木響「マジで情報ゲーだなこれは」
風見陽「ういっす〜」
倉木響「よぉ さっきぶりだな」
風見陽「さっきぶり〜」
風見陽「ぶりぶり〜〜」
倉木響「このやり取り何回目だ?」
風見陽「ぶりぶり〜」
倉木響「そういえば敵の正体は分かったのか?」
風見陽「分かったよ〜 まあうちらの予想通りだったよ」
風見陽「敵はあの化け物じゃなくて〜 化け物を操る人間の方〜」
倉木響「確信はあるのか?」
風見陽「うん」
風見陽「化け物を倒せばいいならそうアナウンスするだろうし、あえて「敵」って表現するのはそこに意味がある」
風見陽「明確でないルールには明確でない理由が存在するものだからね」
風見陽「「生存者」って言葉を聞いた時に最初はバトロワ系だと思ったけど、それだとループである必要がない」
倉木響「ふむ」
風見陽「何回も繰り返すのにも意味があって、それはこのゲームが謎解きの要素も孕んでるから」
倉木響「なるほど じゃあ化け物の存在は脅威であると同時にヒントでもあるってことか」
風見陽「そういうこと」
風見陽「襲われない人がいるのは不自然だからね」
風見陽「でも一周だけじゃ、その人が本当に襲われない人なのか判断付かない」
風見陽「だから私たちは同じ時間を繰り返して、化け物の挙動や人間の反応などをパターン化して・・・」
風見陽「違和感がないか観察して・・・敵を暴いていくわけさ」
倉木響「なるほどな」
倉木響「つまりこれは「誰が敵か味方か分からないチーム戦」ってわけか」
風見陽「そーゆうことー」
倉木響「流石ガチゲーマー風見陽」
倉木響「ゲームへの分析力に関しては右に出る者がいないな」
桐谷凍夜「まあゲームってのは捉え方の一つで、実際のところ何なのかわかんねーけどな」
倉木響「よぉ凍夜 さっきぶり」
風見陽「ぶりぶり〜」
風見陽「この世の全てはゲームに置き換えることができるから〜 きっとこれもゲームだよ〜」
倉木響「ゲーム脳ここに極まれり・・・だな」
桐谷凍夜「まあゲームくらいで考えた方が気が楽かもな」
倉木響「・・・ところで陽から説明を受けたんだが」
倉木響「このゲームがチーム戦だってのは分かったが、俺たちが全員仲間だっていう保証はあるのか?」
桐谷凍夜「・・・」
風見陽「ないよ〜?」
倉木響「おい、それはやべえんじゃねえのか」
風見陽「・・・?」
風見陽「全く問題ないけど? むしろ別陣営の方が都合良いよ」
倉木響「えぇ・・・」
桐谷凍夜「敵味方関係なく、共闘するってことか」
風見陽「そーゆーことー こういうのって敵ともパイプあった方が有利だしね〜」
倉木響「おいおい・・・」
倉木響「・・・まあでも、納得だな」
倉木響「風見陽ほどの人間が、敵かもしれない俺にこんな話をするわけないとは思っていたんだ」
風見陽「あはは〜♪」
桐谷凍夜「まあもし本当に敵同士なら・・・ 最後は戦うことになるけどな」
倉木響「勘弁願いたいぜ」
倉木響「あと・・・やっぱり自分がどっちかってのは自覚してないものなのか?」
風見陽「うん」
風見陽「最初はみんな自分が襲う側か襲われる側か分からなかったと思う」

〇荒廃した街
  だって・・・
  ある周では逃げ回ってた人が・・・
  別の周では逃げるのをやめた場面を目撃してるからね
  ループを経て、自分が他とは違うことを自覚したんだと思う

〇荒れた倉庫
倉木響「なるほどな」
倉木響「謎解きの要素ってのはそこか」
倉木響「・・・まあ もし俺が襲う側だったとしても、既にお前らには見抜かれてるんだろうな」
風見陽「大丈夫 倉木くんはこっち側だよ♪」
倉木響「え?」
風見陽「だって、今まで何回もあの化け物に殺されかけてるもん」
倉木響「ははは・・・」
倉木響「その節はどうも、お世話になりました」
風見陽「ちなみに私や凍夜があっち側だったら見殺しにしてるから〜」
風見陽「なんだかんだうちらは同陣営だと思う〜」
倉木響「それはなんというかまあ、安心だな」
桐谷凍夜「お前ビビりだもんな」
倉木響「うるせぇ!」
倉木響「てか・・・敵とも組むって話はガチなのか?」
風見陽「まぁ機会があればねえ 明らかに危険な相手は避けるけど」
風見陽「勝利条件は敵の殲滅 裏を返せば・・・ 敗北条件は味方の全滅」
倉木響「?」
風見陽「これってうちら以外が死ぬのは別に問題ないんだよね」
桐谷凍夜「最終的に自分が生き残ればいい」
桐谷凍夜「ここに関しては両陣営共通だろうな」
倉木響「?」
倉木響「・・・つまり?」
風見陽「敵と同盟を組んで、自分たち以外全員殺すのも一つの手ってこと」
風見陽「同盟間で情報を共有して、それをもとに敵は私たちの味方を殺し、私たちは敵の味方を殺す」
風見陽「互いに味方の情報を売るってわけさ♪」
倉木響「は・・・はは」
倉木響「お前らやっぱクレイジーだぜ」
桐谷凍夜「・・・クレイジーなのが俺らだけという保証はない」
風見陽「他の人たちも同じことを考えるかもしれない」
倉木響「おいおい」
風見陽「同陣営だからといって信用できるわけじゃないんだよね」
倉木響「そんなぁ・・・」
風見陽「ははは〜♪」
桐谷凍夜「まあ、警戒するに越したことはないってことだ」
  きゅいーーーーーーん
倉木響「来やがった!」
風見陽「ちょっと話し込みすぎたね」
桐谷凍夜「俺が殺してくる」
倉木響「おい凍夜!武器はあるのか?」
桐谷凍夜「おう」
倉木響「一人で大丈夫か?」
風見陽「まあ大丈夫じゃない?凍夜だし」
倉木響「・・・」

〇霧の立ち込める森
化け物「きゅいーん」
桐谷凍夜「・・・」
化け物「きゅいーん」
化け物「きゅいーん」
桐谷凍夜「さっき面白いの拾ったんだよな」
  【リムーブ・ムービー】
  
  カメラで録画した対象をこの周から除外する
  
  対象:人間以外
  使用可能回数:使い切り
桐谷凍夜「せっかくだし使ってみるか」
「きゅいーーーん」

〇霧の立ち込める森
  ジーーー
「Queen・・・」

〇霧の立ち込める森
桐谷凍夜「使い勝手いいな 次の周でも回収しとこう」
  きゅいーーーーーーん
桐谷凍夜「!」
桐谷凍夜「陽たちの方からだ あいつら大丈夫か?」
  ミッション「敵を殲滅せよ」
  
  現在11周目
  生存者304名

次のエピソード:Ep.4 悪童ルーイ様の作戦

コメント

  • 情報戦の様相を呈してきましたねぇ!
    アイテム出た!ループ要素と合わせると、拾いに行くべきか行かぬべきか…みたいな展開も想像できて楽しい!ぶりぶり~!😆

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